『デクスター』『イエロージャケッツ』とヒット作を連発のShowtime、その理由とは

2006年より8シーズンにわたって放送された大人気サイコ・サスペンスドラマ『デクスター ~警察官は殺人鬼』の10年後を描く続編『デクスター:ニュー・ブラッド』などの生みの親Showtimeの新作が異例の大ヒットを記録。その理由を米Screandailyが報じている。

全10話構成の『デクスター:ニュー・ブラッド』は、週平均で800万人以上の視聴者数を獲得し、Showtime史上最も視聴されたシリーズとなった。その直後、高校スポーツのスター選手たちが荒野でサバイバル生活を送り、やがてめちゃくちゃな大人になっていく姿を描いた心理サスペンスドラマ『イエロージャケッツ』は、週平均500万人の視聴者を記録し、同サービスで史上2番目にストリーミングされたシリーズとしてシーズン1を終了した。

この『イエロージャケッツ』は米国(2021年11月下旬に米Showtimeで放映開始)だけでなく、世界的にも意外なヒット作となった。

米Showtime Networksのエンターテインメント部門の社長を務めるジャナ・ウィノグレードは、このシリーズの成功の一因として、そのオリジナリティと、ホラー、コメディ、ミステリー、青春ドラマをミックスした「錬金術」的な効果を挙げている。

「プレミアム・アダルト・プラットフォームとして、私たちはこのシリーズが洗練された大人の視聴者にアピールすることを重視していました。そして、この作品はそのバランスがユニークなのです」

ABCエンターテインメントで事業運営責任者を務めていたウィノグレードは、2017年に西海岸事業運営社長としてShowtimeに入社し、2019年にレヴィンと共に現職に昇格。『ナルコス』『オリジナルズ』のペア、アシュレイ・ライルとバート・ニッカーソン、そしてエンターテインメント・ワンが製作、多くの賞へのノミネートを記録している『イエロージャケッツ』の製作時、同社は1990年代半ばと現代をそれぞれ舞台にした若者向けと大人向けのストーリーのバランスを見事に取った作品を生み出した。そして、『イエロージャケッツ』は、他のストリーミング・サービスが行っていたような一挙配信ではなく、毎週エピソードをリリースするスタイルで放送された。

ウィノグレードによると、「我々のストリーミング視聴者数は、シリーズの放送期間中に4倍になりました。その大きな理由は、この番組が業界で話題となったからです。私たちがいくら口では言っても、実際にそのように人々の間で話題になる作品にすることは難しいものです」

Showtimeの持つParamout+今後の戦略は?

現在、Showtimeは、米CBSとして知られていたParamount Globalが新たに命名したレガシー事業の一つとなっている。それは、配信&ライブストリーミングサービス Paramount+により、グローバルストリーミング成長に焦点を当てているからだ。

先月行われた投資家向けプレゼンテーションでは、Paramount+、Showtime、および同社配信サービスの加入者が昨年末時点で世界中に合計5610 万人と発表。それは、HBO Max/HBOの約7400万件、Netflixの約2億2200万件にはまだ及ばない数字だ。しかしウィノグレードは更に以下のように話す。「我々のビジネスは非常に成功しており、会社もそれを認識しています。Paramount+は、より幅広い視聴者にアピールしようとしています。Showtimeは、よりキュレートされた特別なサービスです。私たちは限界を広げ、より大人で洗練された視点から物語を伝えたいと考えています」

今後、Showtimeの作品は、英国、イタリア、ドイツではSky、フランスではCanal+とのジョイントベンチャーによって間もなくスタートするParamount+の国際版や、SkyのオーナーであるComcastがヨーロッパの20の地域でサービスを開始する。Paramount+の拡大により、グローバルな制作が増えれば、Showtimeにもチャンスが生まれる可能性がある。例えば、Viacom CBS International Studiosは現在、英国、ドイツ、韓国でのシリーズ制作に取り組んでいる。ウィノグレードは、「私たちは常にグローバルな視点で物事を見ています。そして、Paramount+が世界中でプロジェクトを開発し、彼らのリソースと視野をもって素晴らしい才能を見つけることで、私たちのプラットフォームにそれを活用するつもりです」と述べている。

大ヒットを記録した『デクスター:ニュー・ブラッド』はHuluで、『イエロージャケッツ』はU-NEXTで独占配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『デクスター:ニュー・ブラッド』©2022 Showtime Networks Inc. All Rights Reserved./『イエロージャケッツ』 © Showtime Networks Inc. All Rights Reserved