『移動都市/モータル・エンジン』ヘラ・ヒルマー(へスター役)&ロバート・シーアン(トム役)インタビュー

世界中で社会現象を巻き起こした映画『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズで知られるピーター・ジャクソンが製作&脚本を務める『移動都市/モータル・エンジン』。

"都市が移動し、都市を喰う世界"を舞台に、衝撃的で新しく、壮大な物語を圧倒的な映像迫力で描き出す冒険ファンタジーに出演するヘラ・ヒルマー(へスター役)とロバート・シーアン(トム役)のインタビューが到着。本作で注目されること間違いなしの二人が、それぞれが演じるキャラクターやジャクソン監督との仕事について語ってくれた。

――本作のような映画に出られて、すばらしい役を演じられることは、長年の夢が実現したような感覚だったかと思います。きっかけは何でしたか?


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ヘラ:私はオーディション用の映像を送って応募したの。それから、本作の製作スタッフたちからSkypeで呼び出されたのよ。次に気づいたら、ニュージーランドにいて...

ロバート:そして歴史となった! そうだろ?

ヘラ:(ロバートが演じる)トム・ナッツワーシーの"歴史"ジョークね。

ロバート:僕は"プリンセス歴史家"さ。

まあ、僕も似たような状況だったよ。制作陣、つまりピーター(・ジャクソン)、(彼の妻で脚本家の)フラン、(製作総指揮・脚本の)フィリッパに(監督の)クリスチャン。彼らが僕の中に何かを見いだしてくれたんだ。僕がそれに気づいたのは、しばらくしてからだけど。僕も彼らとSkypeで話して、それからサンフランシスコでテスト映像を撮ったよ。

――演じる役について教えてください。ヘスターとトムはどんな人物であり、どんな旅をするのでしょうか?

ヘラ:二人は正反対の存在で、本来なら決して出会わないはずが、不可抗力によって引き合わされるの。トムは光、そしてヘスターは闇という感じね。彼らの違いは、過去を見つめて生きているか、未来を見つめて生きているかという点よ。でもそんな二人が突然、力を合わせて進まなければならない状況に追い込まれるの。ヘスターは決してトムに敵意を持っていたわけではなかった。トムだって、そうだったはずよね。

ロバート:感情的には、二人は真逆の立場にいた。ヘスターのほうは復讐を遂げることを目的としていたし、トムはこの世界の中では比較的...まあ特権階級とまでは言えないけれど、それなりに守られた生活に恵まれていたんだ。トムは体制寄りの人間であったし、ヘスターは混沌とした状況の中にいたということも、興味深い対比だと思う。

ヘラ:そうね、その通り。

ロバート:スピリチュアルな考え方に似ているね。物事には2つの面が同時に存在する。

――本作が成功したのも、ヒューゴ・ウィーヴィングが演じたヴァレンタインという恐ろしくも複雑な面を持つ敵がいたからこそですね。ヴァレンタインという人物、そして彼を演じたヒューゴについて何か言えることはありますか?

ヘラ:まず、2つのことが言えるわ。私たちはヒューゴが大好きよ。だけどヴァレンタインのことは嫌い。それだけは間違いないわね。彼は理想的な共演者だったわ。根っからのプロだし、人間的にもすばらしい人なの。

――アクションも満載ですね。身体的には、かなりのチャレンジだったのでは?

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ヘラ:とても大変だったわ。あちこち走り回ったし、よじ登ったりしたわね。私たち二人が演じたキャラクターは、ヘスターは荒野に慣れていて、トムは苦手という違いはあるけれど、どちらも、ごく普通の若者なのよ。身体能力はそれなりにあるけれど、たとえば、へスターは暗殺者になる為の訓練を受けているわけじゃない。だからこそ面白いんだと思うの。ごく普通の人間である二人が、岩壁をよじ登ったり、高い所から飛び降りたり、飛行船から走って逃げたりするのよ。

ロバート:人が成長する時に直面する問題の中には、たとえば"生き延びること"があると思う。あるいは、狩りの方法を学んだりすることもある。僕が演じたトムの場合は、彼は"歴史家見習い"なんだけど、平たく言うと彼の仕事はロンドン・ミュージアムのツアーガイドにすぎないんだ。そしてロンドンが飲み込んだ都市から"古代技術(オールドテク)"の廃品を回収する仕事をしている。ただしこの仕事は、トムの創造的な欲求を満足させてくれるようなものではなかった。だからトムにとって重要なのは"退屈"な時間を作らないことなんだ。そのために、小さいけれど凝った工房を持っていて、その中にこもっては機械をいじってる。古いDVDプレイヤーやトースターを違う物に改造したり...。いや、間違えた、トースターをDVDプレイヤーに改造したりするんだよ。それで単調な日々をやりすごすんだ。

ヘラ:そんなことができたらクールよね。

ロバート:そう、クールだろ?

ヘラ:だってすごくない? うちにあるただのトースターをDVDプレイヤーに改造できちゃうんだから。何かほかの物でもいいけど。

――クールといえば...ピーター・ジャクソンの作品に参加して、ニュージーランドで過ごしたのは、どんな体験でしたか。また、クリスチャン・リヴァーズ監督とのお仕事はどのような感じだったのでしょうか。


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ヘラ:まず言えることは、とにかく最高にクールだったってことね。まさにプロという仕事場という感じだった。みんな、ずっと一緒に仕事をしてきた仲間だということがよく分かるの。誰もが自分の仕事を見事にこなしていたわ。きちんと油が差されてよく動く機械のように、すべてがスムーズに運ぶの。リヴァーズについては、彼にとって初めての大作だったのに、手慣れていたわね。

ロバート:彼は視覚効果部門では立派な経歴を持つ人なんだ。『キング・コング』ではCGでいろんな動きを作っている。視覚効果スーパーバイザーだったんだよ。

ヘラ:ストーリーボードも担当していたのよね。

ロバート:だから視覚的な表現にすぐれているんだ。でも僕自身はニュージーランドに来るまで、リヴァーズのことは全然知らなかった。視覚効果の分野で活躍していた人だと知って、きっと映像表現に凝るだろうから、僕もぜひ協力しよう、なんて思っていたんだよ。そう思って僕なりに準備をしていったんだけど、彼は想像以上にこの作品に入れ込んでいた。

ヘラ:登場人物たちにもね。

ロバート:細かなニュアンスやドラマに至るまで50種類ぐらいのバリエーションを考えてきていて、僕らに提案してくれるんだ。監督として、実にすばらしい仕事をしてくれたよ。

ヘラ:彼は人を使うのも上手なの。裏方としての経験も長かったし...。監督の仕事は本当に大きなチャレンジだと思うけど、もうベテランのようだったわ。

ロバート:彼は慣れていたんだろうね、『ホビット 思いがけない冒険』でセカンド・ユニットの監督をしていたから。スタッフは、みんなファミリーのような存在だったよ。


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冒険ファンタジー超大作『移動都市/モータル・エンジン』は3月1日(金)全国公開。

Photo:

『移動都市/モータル・エンジン』
(C)Universal Pictures