『アベンジャーズ』最終章の見逃せないシーンを大予想。過去作の伏線を徹底解説、エンドゲームを読み解く!【前編】

【注意1】本コラムにはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)"過去21作品のネタバレ"が含まれます。もし今『アベンジャーズ/エンドゲーム』公開に向けて、それらの過去作を鑑賞している方々は、シリーズの過去作を見終えた後、『エンドゲーム』公開日の直前に、このコラムをお読み下さい!!

【注意2】このコラムには"最新作のネタバレ"は基本的にはありませんが、著者が独自に予想した「見どころ」を挙げています。また、米国メディアの報道内容で伝えられている「スクープ的な事実と考察」や、特定の「過去作のキャラクターの再登場や新キャスト(すでに公表されている出演者名)」なども含んでいます。
熱烈なMCUファンで、一切の予備知識を入れずに最新作を観たいという方は、『エンドゲーム』鑑賞後にじっくり読んで(どれだけ伏線が回収されたか? 見どころの予想は的を射ていたのか?)お楽しみ下さい。

【注意3】著者は、MCUの過去21作品に加え、『エンドゲーム』の「第1予告編(昨年の12月7日公開)」、「スーパーボウルのTVスポット(今年の2月3日放送)」、「第2予告編(3月14日公開)」だけを観て、今回のコラムを執筆しています。それ以外のTVスポットや最新映像は観ておりませんので、必ずしも本コラムが最新の本編への関連情報を含んでいるわけではありません。完成作に関する決定的なネタバレを著者本人も知りたくないための処置であることをどうかご了承下さい。

尚、いつもの通り、本コラムの文中のキャラクターの名称や、監督名・俳優名などは、なるべく原語または米語の発音に近いカタカナ表記で書かせて頂いています。

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彼らは、一体どうやってAVENGE(逆襲)するのか?

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2008年公開の『アイアンマン』に始まり、11年間にわたって築かれてきたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)がついに集大成を迎える。

壮大なサーガの結末を、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)や『キャプテン・マーベル』(2019年)に続けて描く、22作目にして、(MCUの第1~3フェーズの)ヒーロー集結映画としては最終章となる。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の上映時間は、3時間00分58秒と決定!
これだけ長い尺の作品は、コミック原作ジャンルの映画では過去記憶にない。

ビジネス面だけを考えれば、製作者や配給側や興行主(劇場オーナー)らは、上映回転率の良い、2時間前後の作品を通常は好むものなのだが、サーガのエンディングを明かす大切な本作『エンドゲーム』には、「商品」としての側面を度外視し、「物語」をあらゆるところまで取りこぼすことなく、深淵に綴りたいという映画作家たちの心意気を感じることができる。

映画ファンにとっては、これ以上ない贈り物となるだろう。

今回のコラムでは、本作で「見事に回収されるのではないか!?」と思われる、過去作で敷かれてきた"伏線"のいくつかを、僕がオススメする《見せ場のポイント》として挙げていきたい。

1.アベンジャーたちが味わった敗北。彼らはいかに『インフィニティ・ウォー』で失われた者たちを取り戻すのか?

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「AVENGE THE FALLEN」

最新のキャラクターポスターに刻まれたこの言葉は、

「倒れた者たちのために、復讐せよ」

を意味する。

個人的な恨みを晴らす Revenge とは異なり、正義のために悪に報復するのが Avenge である。最終決戦となる『エンドゲーム』で果たされる目的は、単に最強の敵サノスを「討つ」ことではない。サノス(ジョシュ・ブローリンが演じる)が6つのインフィニティ・ストーンの力をもって指を鳴らした瞬間に、塵(ちり)と化して抹消された全宇宙の半分の数の生命体を、

「いかに取り戻すか、生き返らせるか!?」

という不可能とも思えるミッションに挑むのだ。

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『インフィニティ・ウォー』の中で、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチが演じる)が時間を操る魔術で見た未来の行方では、アベンジャーたちが逆転勝利するシナリオは、

14,000,605通りのうち、わずか1通りしかない。

ではどうやって、この世界に生き残ったアベンジャーズらは、サノスが決定づけた運命を覆すのか!?

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6つの石をインフィニティ・ガントレット(左手に着けた黄金のグローヴ)に収め、そのパワーによって"全能"となり、猛威を振るうサノスにアベンジャーたちは敵わなかった。

『インフィニティ・ウォー』で、惑星タイタン(アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマン、スター・ロード、ドラックス、マンティス、ネビュラ)と、地球上のワカンダ国(キャップことスティーヴ・ロジャーズ、ブラックパンサー、ホワイト・ウルフことバッキー、ブラック・ウィドウ、ソー、ロケット、グルート、他)、この2つの地で分かれて戦っていたアベンジャーたちは、敗北したのだ。

その結果、半分の者たちが現世界から消えた。
強大な敵サノスを打ち破る、あと一歩のところまで迫ったのに...。

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キャプテン・アメリカのシリーズ3作目『シビル・ウォー』を思い出して欲しい。もしあの時、スーパーヒーローたちが主義や理想の違いで仲間割れせずにまとまりを持てていたら、来たる強敵の襲来をも跳ね除けることができたかもしれない。
しかしヒーローたちは一枚岩にはなれなかった。
シールド(盾)を置いて去ったスティーヴ・ロジャーズ(クリス・エヴァンズ が演じる、キャプテン・アメリカ)から連絡用の携帯電話を受け取っても(亡きスタン・リー御大が小包をトニーに届けるシーン!)、トニー・スターク(ロバート・ダウニーJrが演じる、アイアンマン)は彼と連絡を取り合うことはなく、ヒーローたちは散り散りになっていたのだ。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)の宣伝コピーは、

「DIVIDED WE FALL(分裂すれば、滅びる)」

だった。あの言葉は、単に仲違いの悲しみを表現したものでは決してなく、チームの決裂はやがて致命的な敗北につながるという、未来への"予言"だったのではないだろうか。製作陣と脚本家のチームは、当然そこまで考え、数年先までのストーリーラインを構築してきたはずだ。

2.ドクター・ストレンジがトニー・スタークの命を助けた理由とは?

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『インフィニティ・ウォー』の序盤、インフィニティ・ストーンを狙って地球を急襲したサノスの手下たちに拉致されたストレンジの身柄を救うために、敵の宇宙船に乗り込んだアイアンマンと、彼を追いかけたスパイダーマン(トム・ホランドが演じる、ピーター・パーカー)は、来たるサノスとの決戦に向け、地球に帰るのでなく宇宙でサノスを迎え撃つ作戦を立てる。戦いの場を地球に戻してしまえば、多大な犠牲が生まれかねない惨劇が、再び人類を襲うことになるからだ。

しかし、その戦いに挑むことに賛同したストレンジも、この時は冷徹とも思える態度でこう発言していた。

ストレンジ:All right, Stark. We go to him.
いいだろう、スターク。サノスのところへ行こう。
But you have to understand...
しかし、言っておく
if it comes to saving you or the kid or the Time Stone...
もし、君か、あの子供(ピーター)か、タイム・ストーンを守らなければならなくなった時、
I will not hesitate to let either of you die.
私は君らが死ぬことを厭わない。
I can"t, because the universe depends on it.
全宇宙の運命がこの石にかかっているからだ。

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ところが!!
映画のクライマックス、惑星タイタンでのサノスとの攻防でアベンジャーたちが劣勢になり、トニーがサノスに鋭い刃で胴体を刺され、抹殺されそうになった瞬間、ストレンジはサノスに驚くような取引を持ちかけた。

ストレンジ:Stop!
やめろ!
Spare his life...
彼を殺めるな...
and I will give you the stone.
代わりに石を渡す。

サノス:No tricks.
まやかしではないだろうな。

ストレンジ:No tricks.
まやかしではない。

トニー:Don"t.
ダメだ。

なぜストレンジは、タイム・ストーンを手放してでも、トニーを生かすことにしたのか? こうしてサノスは石を手に入れ、次なるマインド・ストーンを目指し、地球のワカンダ王国に向かった。そして、あの悪夢の瞬間が訪れた。マンティス(ポム・クレメンティエフが演じる)やドラックス(デイヴ・バウティスタが演じる)、ピーター・クイル(クリス・プラットが演じる、スター・ロード)、ピーター・パーカーたちが塵となって消えていく...。

最後にストレンジはトニーに告げる。

ストレンジ:Tony. There was no other way.
トニー、これ以外に道はない...

そして彼も消え去った。

14,000,605通りのうち、わずか1通り。

ストレンジにだけは見えていた、
トニー・スタークを生かさなければ、逆転の未来はないと。

MCUを構築してきた、MARVEL STUDIOSトップのプロデューサーであるケヴィン・ファイギ氏は、『インフィニティ・ウォー』で死んだ者たちは、本当に死んだのだ、ということをメディアでも明言している。
死者を蘇らせるには、何が必要か? 魔術なら可能なのか? しかしドクター・ストレンジももういない。時間を巻き戻そうにも、タイム・ストーンはいまやサノスの手にある。

起死回生のヒントは、『エンドゲーム』の「予告編」の中の言葉にある!

上記の予告編に使用されている音声は、スティーヴが1945年に氷漬けになる前に恋人だったペギー・カーター(ヘイリー・アトウェルが演じる)が、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)で70年以上ぶりに再会を果たした時のセリフ。現代にまだ生きていたペギーはすでに老女になっていた。

ペギー:The world has changed, and none of us can go back.
世界は変わってしまった、誰も戻れない。
All we can do is our best.
できることは、最善を尽くすだけ。
And sometimes the best we can do is to start over.
あるいは、やり直すしかないの。

これは、ペギーとスティーヴ、2人の切ない運命を語ったものだ。
誰も「元の世界」に戻れないし、もう一度やり直すことなど2人には叶わない。

しかし今聴くと、意味深であり、このセリフも"予言"めいている。

一つだけ、全てをやり直す可能性が...

『エンドゲーム』では、アベンジャーたちが時間を遡るのでは!?ということが予測され、メディアでも伝えられている。(※これはネタバレではなく、世界各国の映画ファンやエンタメサイトの多くが期待し、周知の事実として語られている)撮影現場のスチール写真などでも過去の衣装を身にまとった出演陣の姿が目撃されて大きな話題となった。

魔術やタイム・ストーンで時間を巻き戻すことが無理ならば、「科学の知恵」で過去(サノスが6つのストーンを手に入れていない時点)に戻ることはできないのか? そして科学といえば! トニー、そしてブルース・バナー博士(マーク・ラファロが演じる、ハルク)である。彼らが「時空を超えるという難題」に活路を見い出してくれるのかもしれない。

但し、過去に戻って歴史を変えるだけでは、「元の世界」を取り戻すことはできない。単に歴史を転じただけでは、「元」とは異なるタイムラインを生んでしまうからだ。タイムラインが大幅に変わってしまえば、S.H.I.E.L.D.元長官のニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソンが演じる)が1990年代から構築してきた、地球を含む全宇宙を守るべきアベンジャーズ計画も機能せず、より大きな危険に晒される可能性さえもあり得る。

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』は4月26日(金)全国ロードショー。
公式サイトはこちら

Photo:

『ドクター・ストレンジ』
©2016 MARVEL
『アベンジャーズ』
TM & ©2012 Marvel & Subs.
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
©2018 MARVEL
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
©2016 Marvel
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
©2019 MARVEL