『アベンジャーズ』最終章の見逃せないシーンを大予想。過去作の伏線を徹底解説、エンドゲームを読み解く!【中編】

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を観続け、その魅力をこれまで何度も当サイトで語ってきた俳優・尾崎英二郎が、『アベンジャーズ/エンドゲーム』を大展望! MCU過去21作品の随所に散りばめられた伏線から見えてきた、最終章の「見どころ」を提示している。『エンドゲーム』の予習用、あるいは復習用にご活用下さい!

【関連記事】コラム前編はこちら!

3.アントマンは「量子の世界」からどうやって脱出するのか?

20190424_endgame_2_02.jpg

『エンドゲーム』で最も重要な役割を果たすパズルのピースの一つは、アントマンだとも言われている。ハンク・ピム博士(マイケル・ダグラスが演じる、初代アントマン)が開発したアントマン・スーツは、素粒子レベルまで身体を縮小させ、ミクロの世界を行き来することができる。アントマンの続編『アントマン&ワスプ』(2018年)のエンドクレジット・シーンで、こんなシーンが見られる。

ハンクと、ジャネット(ミシェル・ファイファーが演じる、初代ワスプ)、ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリーが演じる、2代目ワスプ。ハンクとジャネットの娘)、そしてスコット・ラング(ポール・ラッドが演じる、2代目アントマン)は、小型に改良された量子トンネル:Quantum Tunnel を使って量子エネルギーを採取しに行く実験を行っていた...。

ジャネット:Don"t get sucked into a time vortex.
 時間の渦に吸い込まれないように。
 We won"t be able to save you.
 そうなったら助けられないから。

ホープ:OK. Going subatomic in five, four, three...
 じゃあ、粒子化スタートするわ、5、4、3...

アントマン・スーツを着用したスコットは、ヴァン・ダイン家の3人が見守る中、量子トンネルの中に入っていった。しかし、この実験の最中にサノスによる「生命体の抹殺」が行われ、ハンクとジャネットとホープもこの世から消えてしまう。スコットは、量子世界:Quantum Realm に突入したまま、置き去りにされたのだ。

量子トンネルを操作しないと、スコットは自力で引き返すことはできない。一体、誰がアントマンの量子世界からの脱出を手助けするのだろう?

「量子世界:Quantum Realm」 は、聞き慣れない名前かもしれないが、MCUファンの皆さんは実は『アントマン&ワスプ』と『アントマン』(2015年)以外の過去作ですでに一度目にしている。

その作品とは『ドクター・ストレンジ』(2016年)。

エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントンが演じる、至高の魔術師:Sorcerer Supreme であり、スティーヴン・ストレンジの師)が、ストレンジと初対面した際、彼の意識を多次元宇宙:マルチバースに一気に引き込む圧巻のシークエンスの中で見せている。監督のスコット・デリクソンは、その多次元のバースの描写の中に、量子世界も含まれていたことを認めている。

20190424_endgame_2_03.jpg

『エンドゲーム』には、ティルダ・スウィントンが再登場することが発表されている。何らかの形でこの「量子世界」に関わるのか、「時間(もしくは次元間)のトラベル」を導く役割を果たすのか? それとも、師エンシェント・ワンが臨死状態のストレンジを導くような再会シーンが見られるのだろうか? ワンの出現の仕方に注目である。

4.トニーやキャップ、残されたアベンジャーズ全員が、時間を遡ることは可能か!?

もしも仮に、アントマンが誰の助けも借りず、自力で量子世界から抜け出すのだとすれば、前述のジャネットが口にした懸念、「a time vortex:時間の渦」をむしろ利用する...という手もあり得る。

20190424_endgame_2_04.jpg

量子世界とは、この映画シリーズの中での定義(ハンク・ピム博士の言葉)によれば、「時間と空間の概念がない世界」だという。至高の魔術師による魔術か、もしくはピム博士が発見したピム粒子を利用する量子レベルに縮小するスーツを身につければ、時間の領域を行き来できるようになるのではないか。

但し、スコットが「a time vortex」のエネルギーを使って、時間を超えて抜け出たとして、それがヒントになり、アベンジャーズ全員が時間を遡っていく賭けに出るとしても、ピム粒子の力でミクロに縮小するアントマン・スーツは何着も存在しない。ピム博士も塵となってこの世にいない。歴史上、ピム博士に匹敵する知力の持ち主は、亡きハワード・スタークだけだ。

いや、1人いる。
ハンク・ピム博士そしてハワード・スタークをも超え得る、天才的な科学的知性を持つ者が...

ハワードが遺した一人息子、トニー・スターク。

彼なら作れるはずだ。
ドクター・ストレンジは、そこまでの「未来」を見ていたのだろうか?

予告編で見られる、アベンジャーたちが着ている、胸に「A」の文字が刻印された新たな白いスーツは量子世界に突入するために開発されたものなのか、それともサノスやインフィニティ・ストーン探索のために宇宙に向けて着て行くためのものなのか?
それは、完成した本編を見るまで判らない。

5.宇宙にいるトニー・スタークを誰が救うのか?

20190424_endgame_2_05.jpg

逆転の未来を描けるはずのトニーは、サノスとの交戦後、惑星タイタンに残された。この惑星で生き残ったのは、彼とネビュラ(カレン・ギランが演じる)だけ。『エンドゲーム』予告編の中で、宇宙の何処かを彷徨っている。2人はガーディアンズ(『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』2014年のメンバーたち)が『インフィニティ・ウォー』で乗っていた宇宙船ベナターでタイタンから脱出を図るも、食料、水、酸素が尽きてしまう直前の限界状態。アイアンマンのマスクの通信機能を使い、地球にいる婚約者ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウが演じる)にメッセージを送るが、果たしてその声は届くのか...。

サノスの一撃で深手を負い、宇宙空間で最期を迎えようというトニー。

一つ、このMCUにおける、ビジュアルから想起させるオマージュ的な希望の光は、

トニーのタンクトップ姿。

熱烈なファンの方々なら思い出すであろう、『アイアンマン』で彼が洞窟の中で自分の生命の動力源であるアーク・リアクターを組み立て、初めてアーマー(マーク1)をこの世に送り出した時のこと、あるいは『アイアンマン2』(2010年)で生命維持の危機の際に新たなバージョンの動力源を開発した時、彼が黙々と作業を続けたことを。両シーンで見せた強い意志と熱気に満ちたトニーのタンクトップ姿は、崖っぷちからのカンバックの象徴である。

彼を救い出すのは、宇宙空間を自在に行き来できるキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソンが演じる)かもしれないし、あるいはヴァルキリー(テッサ・トンプソンが演じる)ら生き延びたアスガルドの住人たちかもしれない。あるいはソー(クリス・ヘムズワースが演じる)&ロケット(声:ブラッドリー・クーパーが演じる)か...。ペッパー本人が、コミック原作にある"レスキュー"という名のキャラクターとして救出に向かうのでは?という説さえあるが、この彷徨の行方はいかに。

いずれにせよ、MCUのこれまでの流れを汲んで、トニーが危機を脱するきっかけの一歩は彼が自分自身で踏み出すだろうと筆者は見ている。その姿といつか見た光景に、ファンは喝采を贈るに違いない。

6.ソウル・ストーンの次なる犠牲者は!?

20190424_endgame_2_06.jpg

『インフィニティ・ウォー』でついにベールを脱いだソウル・ストーン。養女であるガモーラ(ゾーイ・サルダナが演じる)に白状させ、石の所在がヴォーミアという星にあることを突きとめたサノスはガモーラを連れて行く。そこで待っていた石の番人は、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年。キャップのシリーズ1作目)の中でかつてキャプテンが第二次世界大戦時に戦った宿敵レッドスカル(1作目ではヒューゴ・ウィーヴィングが、『インフィニティ・ウォー』ではロス・マーカンドが演じている)だった。その映画の終盤で四次元キューブ(スペース・ストーンが収められていた)に触れたレッドスカルは、突如吸い込まれるようにして空間を超え、宇宙に吹き飛ばされていたのだ。あの悪役が現代まで生き続け、なんとサノスの前に現れたというのは、『インフィニティ・ウォー』におけるビッグサプライズの一つである。

しかもここでレッドスカルが明かした、石を手にする方法は、「愛する者の命(魂:ソウル)」と引き換えにするという、驚くべき条件だった。サノスは養女とはいえ愛していた娘を谷底に突き落とし、悲しみと絶望の代償としてソウル・ストーンを獲得したのである。

もし、アベンジャーたちが時間を遡り、サノスにAVENGEするなら、サノスが石を入手する動きを阻止するだけでは不十分である。「元の世界」のリアリティをもう一度取り戻すためには、アベンジャーたちが6つのインフィニティ・ストーンを全て先に手に入れ、完全なる「元の世界」を再現するしかないはずだ。つまりアベンジャーズの誰かが、インフィニティ・ガントレットを手に着用し、6つのストーンをガントレットに収め、サノスがやったように指を鳴らして、元の状態に全宇宙の生命体を戻すしかないのでは?(※脚本家と監督が、失った者たちを蘇らせるための全く別の方法を観客のために用意してくれていなければ)

だとすれば、一体アベンジャーたちの「誰」が、愛する「誰か」を犠牲にしてソウル・ストーンを手に入れるのか!? そしてガントレットを装着し、全ての石を手中に収め、再び指を弾くのか?

想像するだけでも、『インフィニティ・ウォー』以上に壮絶な葛藤と決断のドラマがここに刻まれることになる。コミック原作の映画史上、最も胸を苦しめるシーンになるかもしれない。

「誰」がその役目を果たすのか? ここではあえて予想を書かずにおこう。皆、今から想像して欲しい。本編で何が描かれるのかを...。

7.ハンマーをめぐる可能性と、ハルクの復活は!?

◆『ソー:ラグナロク(2017年。邦題は『マイティ・ソー バトルロイヤル』。ソーのシリーズ3作目)』で破壊された、ソーのハンマー。ムジョルニア(英語圏ではミョルニアのような発音になる)と呼ばれるこのハンマーは、アスガルドの王位を継ぐ者の象徴であり、高潔で汚れのない精神と価値を有する者しか持ち上げられないという武器であり至宝である。
アベンジャーズの2作目『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)の中で、トニーやローディ(ドン・チードルが演じる、ウォーマシン)やバナー博士らがこのハンマーを持ち上げようとするコミカルな場面がある。誰が触れてもビクともしないこのハンマーだが、スティーヴが全力で引っ張り上げた時にかすかにだが微妙に動いた。そして11年間のMCUの歴史の中、同作の劇中にたった1人、ヴィジョン(ポール・ベタニーが演じる)だけが軽々とこのハンマーを手に取り、アベンジャー全員が唖然として見つめるくだりがあった(※もう1人、ケイト・ブランシェットが演じるソーの姉ヘラはこのハンマーの動きを止め、打ち砕いている。但し、彼女は高潔で汚れのない人物ではない)。

『インフィニティ・ウォー』では、このムジョルニアの代わりに、その力を超える新たな武器、ストームブレイカーをソーが身を焼かれるほどの苦心の末に手に入れると、敵の襲撃を受けたワカンダ王国に降り立ち、旋風のごとくサノス配下の軍団を蹴散らした。

このストームブレイカーを、ソー以外にも自在に扱える者が『エンドゲーム』で現れるのだろうか?

もしこの新たなハンマーをアベンジャーズの他のメンバーが持ち上げることができたとしたら、その高潔さと秘めたパワーは、ソーをも超える可能性さえあり、『エンドゲーム』以降に始まる第4フェーズの行方をほのめかす重要シーンになるかもしれない...。

20190424_endgame_2_07.jpg

◆一方忘れてはならないのが、ソーの3作目で彼とタッグを組んで観客を魅了したハルク。『インフィニティ・ウォー』の序盤にソーとロキ(トム・ヒドルストンが演じる)の目の前で、サノスとの格闘で半殺しの目に遭ってしまったハルクは、バナー博士の姿で地球に送り返されると、変貌して暴れ回る超人的な能力をなぜか突然失ってしまった。バナー博士はいざという時に、自分の中のハルクが引きこもり、現れてくれないことに葛藤する。

『エンドゲーム』では、ハルクの物語も一つの終着点を迎えると見られており、巨体のグリーンモンスターの勇姿を再びファンたちが目撃することは確実である。しかし問題は、それがいつ、何をきっかけに復活の狼煙を上げるかであり、ハルクの強靭な能力がどうMCUのクライマックスで活かされるのかは大切な見せ場の一つである。

同時に、是非見てみたいのは、荒ぶり怒り狂ったハルクを『エイジ・オブ・ウルトロン』の時のようにブラック・ウィドウことナターシャ(スカーレット・ジョハンソンが演じる)が、優しくなだめ、ハルクからバナー博士として正気に戻らせる、あの絆の再現だ。

8.マーベル・スタジオお得意のフェイク、サプライズ、隠し球が見られるか?

『インフィニティ・ウォー』の予告編では、上記の画像にもあるように、ハルクがワカンダ王国の草原を他のアベンジャーたちと一緒に駆ける姿が見られた。しかし、それはフェイク(騙しの)映像で、前述のように、同作本編のクライマックスでは、緑の巨人に変貌したバナー博士の姿を見ることはなかった。

このような意図的な、観客を本編で楽しませるためのミスリードが最新作でもあって不思議ではない。

例えば、最先端文明大国ワカンダの王女シュリ(レティーシャ・ライトが演じる)。彼女は行方不明の状態だと思われている。しかし、『インフィニティ・ウォー』の中で、彼女が塵となって消えた姿は誰も見ていない。彼女は、トニーとバナー博士を上回るほどの明晰な頭脳と武器開発の能力を持っている。もし彼女が生きていたとしたら、堕ちかけたアベンジャーズにとって最強の追い風となることは必至だ。

仮に予想通り、彼女が死んだのが事実であったとしても、『インフィニティ・ウォー』の中盤で彼女は非常に大切なミッションを成し遂げかけていた。それは、ヴィジョンの額からマインド・ストーンを取り除き、ヴィジョンの知性・人格・歴史・データを温存して生かす試みだった。

その試みは完遂半ばで中断されたように見えた。そしてサノスがヴィジョンの額からマインド・ストーンをむしり取り、ヴィジョンは破壊され、6つの石の収集は完結してしまったのである。

しかし、"ヴィジョン"としての有機的な肉体は破壊されたが、知性とデータが不完全だとしてもシュリのお手柄で大方が救い出されていたとしたら、どうだろう? 『エイジ・オブ・ウルトロン』で"ヴィジョン"の姿に変わる前の、トニー・スタークの右腕的AIとして活躍していた、あの"ジャーヴィス:J.A.R.V.I.S."の機能は生かされていたら!? J.A.R.V.I.S.だったら、『エンドゲーム』の予告編冒頭で宇宙を彷徨っているトニーの手にある、アイアンマンの壊れかけたマスクからの通信を傍受できる...のでは!?

そ~~~んなシナリオはどうだろう?
(あくまでも、トニー・スタークファンである僕の個人的・希望的な予想... 笑)

『インフィニティ・ウォー』であのレッドスカルまでが隠し球として再登場したのなら、シュリが実は生き残っていたり、J.A.R.V.I.S.が復活したり、の展開は充分あり得る。

もしも本当に噂通り、アベンジャーたちが時空を超えて旅することを可能にするなら、『エイジ・オブ・ウルトロン』で命を落としたクイックシルバー(アーロン・テイラー=ジョンソンが演じる)や、『インフィニティ・ウォー』で絶命したロキなど、過去に登場したキャラクターにもう一度逢えるサプライズもあるかもしれない!!

コラム【前編】はこちら!

コラム【後編】はこちら!

20190424_endgame_2_poster.jpg

『アベンジャーズ/エンドゲーム』は4月26日(金)全国ロードショー。
公式サイトはこちら

Photo:

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
©2016 Marvel
『アントマン&ワスプ』
©Marvel Studios 2018
『ドクター・ストレンジ』
©2016 MARVEL
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
©2018 MARVEL
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
©2019 MARVEL