1993年にトム・クルーズ主演で公開された法廷サスペンス・スリラー映画、『ザ・ファーム・法律事務所』を覚えているだろうか。この1月に始まった新ドラマ『The Firm』(NBC) は、映画『ザ・ファーム』のリメイク版ではなく続編として、同じ主人公ミッチと妻アビーの10年後の生活を描いたものだ。
シカゴの大物マフィアに関する事件に絡み、命を狙われる危険性からその後10年間米国連邦政府の証人保護プログラム (Witness Protection))によって各地を転々とし、身分や氏名を偽って生活してきた弁護士ミッチェル"ミッチ"マクディーア(ジョシュ・ルーカス)と、妻であり小学校教諭のアビゲイル"アビー"マクディーア(モリー・パーカー)。本作ではミッチとアビーが、マフィアのボスが獄死したことによって証人保護プログラムから解放され、本当の名前で再び堂々と生活するところから始まる。
肝心のストーリーだが、
(1)ミッチの扱う小さな訴訟事件
(2)保険会社と大手法律事務所の大きな陰謀が絡み、ミッチが弁護を手がける老女殺人事件
(3)マフィアのボスの息子がミッチの存在を付き止め、ミッチの命を狙う
...という3つの事件が絡み合い、結構複雑なストーリーとなっている。
『The Firm』の原作者として知られるジョン・グリシャムの小説は、法廷スリラーものを中心に映像化されている作品が非常に多い。本作も、彼自身が製作総指揮を執り脚本に眼を光らせているので、今後ドラマの中で起こりうる事件の展開にも大いに期待できる。
また、ミッチとアビーには、同じく証人保護プログラムによって守られてきたミッチの兄レイ(カラム・キース・レニー)と、ミッチの秘書で且つレイの彼女でもあるタミー(ジュリエット・ルイス)という強い味方がいる。マジメなミッチとアビーとは対照的に、ミッチの片腕的存在の調査員である一方、刑務所暮らしをしていたこともあって法律違反ギリギリの少々荒い調査をする兄レイと、仕事振りは良いが安っぽいセクシー系の女性タミーの存在が、ドラマをより面白くしている。
故意に意識しての演出だと思うが、映像がレトロっぽいのが少々気になるし、ドラマ放送曜日が変更されるなど視聴率的にも苦戦しているようだが、ストーリー自体は良く練られていると思うのでひとまずここは主役ミッチを演じるジョシュに頑張って欲しい。ラブ・コメディからシリアス、アクションものまで数々の映画で活躍してきたジョシュ。同年代で、なんとなく役柄がかぶるマシュー・マコノヒーやブラッドリー・クーパーに大きく遅れを取ってしまった感があるが、このドラマで、そろそろ彼にも"ひと花"咲かせてもらいたい。