7月9日(火)23:00からいよいよレギュラー放送がスタートするケヴィン・ベーコン主演のサイコサスペンス『ザ・フォロイング』。もしも凶悪犯が、カルト宗教の教祖のように自身の信奉者(フォロアー)たちを洗脳し、手足のように扱い凶行におこさせることができたら...しかもフォロアーたちはごく一般市民の中に混じって生活をし、静かに増え続けていたら...。
海外ドラマNAVI編集部は今回、本作のアフレコ現場に潜入!元FBIの元捜査官ライアン
役を演じる山路和弘さんと、凶悪犯キャロルを演じる東地宏樹さんにインタビューしてきました!
取材前に「昨日、鰻2匹分食べちゃったよ!」と笑いながら語る山路さんに「いいですねー。羨ましい!」と東地さん。いたって和やかな雰囲気ですが、作品が作品なのでどんな対談になるのでしょうか。さっそくお楽しみください。
――この『ザ・フォロイング』にキャッチフレーズをあえてつけるならどういう言葉になりますか?
山路:「みんなが、誰もが持っていること」かな? だんだんそういう展開になってきたよね。
東地:あぁ、そうですね。
山路:警察側が、犯人を追ってはいるんだけれど、結局、根本的に抱いている"気持ち"は同じ...みたいな話にちょっと近づきつつあるんです。
東地:人間の深層心理というか。
山路:「業(ごう)」でしょうかね。
東地:業か! 業に近いですね。
山路:案外、人間って残虐、みたいなことがいっぱいありますよ。
――吹き替えを始める前に、パイロット版をご覧になったかと思いますが、そのときの第一印象ってどうでした?
山路:これずっと演じるのか...って胃が痛くなる感じ(笑)。やっぱ胃が痛くなっちゃった、最初は。
――ライアンもさることながら、キャロルのなんとも言えない異常性、一見、異常に見えない異常性も演じるとなれば大変ですよね。
東地:そうですよね。僕ら、こういうことって小説で読んだり、実際に起きた事件を映像で見たりしているので、新興宗教といえばアレだよな...とか、なにかしらイメージはありますけど、実際にこういうのをやるとなると、想像し得ないことなのでちょっとあまりにもね(苦笑)。まぁ、ディレクターからもそういう演技を"望まれている"と思うのですが...その辺がちょっと難しいところではありますけども!
山路:...キャロルって色っぽいよね。
東地:そうですね。なんだかね。
――確かにモテそうですよね。
山路:あの色気に確かにやられちゃう感じはするよね。ライアンとキャロルの二人で
こんな場面、あったじゃん!(キャロルが自身をつなぐ手錠を机に叩きつける場面の真似)
東地:(笑)ガシャーンっていう。ええ。
山路:いちいちガシャンガシャンと音をさせながら、キャロルが話をしていくところがね...。わかっちゃいるんだけど...自分がその話を聞いていると、もう何だか、妙な魅力があるもんだから、吸いこまれそうになるよ。ライアンがそんなキャロルをあえて見ないようにしている感じってのも、すごくわかってね...。
東地:それがキャロルの魅力っていうか、色気っていうか、そういうもんだろうなと思って...。
山路:ケヴィン・ベーコン自身は、今回クッと、自分の演技を抑えているよね。
東地:あー、そうですね。
山路:その辺も面白いなーって。
――二人の対決っていうのが、この作品の見どころの一つだと思うんですが、お二人は演じながらどんな気持ちを感じていらっしゃいますか?
山路:僕は、さっき言ったような感じがあってね...。「ヤバいヤバい。ライアンがキャロルに近づきつつあるのがヤバいヤバい」って。その一方で、ライアンが怒ってみたり、笑ってみたり、無視してみたりっていうしぐさもちょっと面白いなって感じている。でも二人でやりあう場面が最近何話分か、ないんだよね。あの二人でやりあうところは、凄い楽しみで、演じていて好きなところなんだけど...。
東地:本当、そうですね。
――演じ続けていくうちに、ご自身のキャラクターの印象が、第一印象の頃から変わったり、何か気がついたりしたことってありますか?
東地:そうですね。僕の場合は、このキャラクターよりも、その周りの状況っていうのが、どんどん分かってきて...。こんなに「種」がばら撒かれていたのかっていう異常性をね。あと、「上に立つ」っていう、久々の感覚に喜びが...。「人の上の立っている」のではなく、「自分の仲間がいる」っていう感覚。で、それを自分が掌握できるという、なんだか人間の快感のようなものを感じながら、芝居をしているんだろうなっていうのがだんだん見えてきたんで...。最初はただ単に自分の目的を果たすために脱獄をするところから始まったんですが。徐々にそういう感覚が見えてくるんですよ。
山路:俺はねー、ライアンがFBIを辞めていて、「もう俺は世捨て人になってるんだ」みたいな場面から始まってね。でも突然、古巣から呼び出しくらって、「もう1回捜査官をやれ」って...とっても静かな状態から始まっていたんだけど、それがもう...今日なんて...何話だっけ今日撮ったの?
東地:10話
山路:10話ね。この辺になってくると、まぁ、ライアンったら元気になっちゃってて(笑)。
東地:そうですねー。
山路:キャロルに「君は、人を殺すたびに生き生きしてくるんだ」みたいなこと言われて(...あ、これネタばれになるか?)ライアンがそのとおりに、だんだん元気になっていっているっていう姿がねえ。
あと、想像していたよりもずっと、ライアンの偏屈さが奥深いって言うか。めんどくさーい男っていうのが、凄く最近分かってきた(笑)
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――お二人ともそれぞれ、他作品で様々な役をなさっていると思うんですが、特にライアンとキャロルを演じる時に、凄く気をつけていることはありますか?
山路&東地:うーん...(しばし考え込む)
東地:キャロルは殺人鬼、いや殺人鬼の長という感じですけど、やっぱ、そうじゃなく「自分の正当性」という意識を持っていますね。...全然正当でも何でもないんですけど。最終的に、どういう方向に行くのか、僕たちもわからないでやってるんですけど、今の現段階では、やっぱ自分(キャロル)に正当性を持たせたいって言うことは、自分の中であるんです。「正義」とまでは言いませんけど、やりたいものに対して邁進しているんだっていう異常さではなく"一生懸命さ"っていうのを、自分の中のどこかで置いておこうかなとは思っています。
――少なくともキャロル自身は悪いことをしているという意識は...
東地:うん。そういう意識はないですよね。彼の中の「作品」を作り上げようとしているだけなのか、思考の根本はわからないですけども。
山路:でも、キャロルが言うことって、ある意味すごく納得してると思うのね。ライアンもね。それはその通りだけど、実際にやってる手段が問題だから「いやそれは違うんだ、違うんだ」って、一生懸命距離をとろうとしていてね...。
――山路さんはケヴィン・ベーコンの吹替を過去何度かなさっていますが、特に本作でライアンを演じるときに、過去のケヴィンとは変えてみよう、と思うことはありますか?
山路:なんかあの「暗さ」というか「重さ」というか...。僕はケヴィン・ベーコンやるときは、よく悪役の時にやらせてもらうんですけど(笑)、今回はなんかこう、暗さが深いというか、なんか重たーいものがあって。あの人自身にこういう部分があるのか、そういう凄みを感じますよね。しかも、あまり演技を作ってない感じがするんですよね。
東地:うん。なんかリアルだし、しっくりきてますよね。
僕もケヴィン・ベーコンさんの作品を、そんなに沢山は見てはいないですけど、なにかすごくいい感じを受けます。
山路:素でいる感じがありますよね。
――東地さんは、以前『ROME [ローマ]』という海外ドラマで、ジェームズ・ピュアフォイさんと"すれ違って"ますよね。
※『ROME[ローマ]』では、ジェームズはマルクス・アントニウス役を演じ、東地さんはルキウスの声を担当していました。
東地:そうですね(笑)。ピュアフォイさんと絡んだ記憶はありますね
山路:あ、やったわけじゃないんだ(笑)
東地:(笑)やったわけじゃない。
山路:絡んだんだ。
東地:ええ。絡んだ記憶はあります。(笑)
――その時の印象も含め、今回ご自分が演じることになったジェームズ・ピュアフォイの役者としての魅力は、どういう点にあると思いますか?
東地:『ROME』の時の役は、征服欲があって、向上心の強い役だったんですけど、今やっているキャロルとは違って、こう、力でねじ伏せる感じもあったんです。でも、今思い出すと、その頃からちょっとずるいというか、策略を練りながら、力も知恵も使って上にあがっていく時の表情は、やっぱ今のキャロルにも通じるというか...、こう、目が半開きになって何かを口にしている感じは、ちょっとあの頃の演技を思い出すんですよね。彼のメソッドなんでしょうか。ジェームズの経歴を聞くと、やはりイギリスの方で、ちゃんと演劇をやられていて...。そういう方なんだな、やっぱりねって思うところはあります。
――そんなジェームズに声をあてていく上での役作りは?
東地:彼の原音を聞いた時に、声に...音になっていないことが多くて...。ささやきみたいな音声がベースになっているんで...。第1話では「声ちっちぇーな!」っていう感じだったんですけど、それに合わせていくことがまず大事なので、そのささやきを頼りに原音を聞きつつ、あとは自分なりの演技を...という感じですね。
山路:俺、今はジェームズの絵を観ても、なんか東地の声しか浮かばないもん。もう、本当に。この顔からこの声が!っていうのが、凄い想像できる感じになったんだよね。
東地:そうですか? 俺なんか、ゲヴィン・ベーコンの原音聞いてると山路さんの声に聞こえます。山路さんが英語でしゃべってるみたいに、ケヴィン・ベーコンが(笑)
山路:何を2人で持ち上げ合って...(笑)
東地:ヤバいヤバい(笑)
山路:持ち上げ合いをしてどうすんだ(笑)
東地:フォローイングですよ(笑)フォロー(笑)
山路:フォローし合ってる(笑)
東地:フォローし合ってる(笑)
山路:なるほどね。そういうことか!
東地:(笑)
山路:この間、俺見たなぁ。ジェームズ・ピュアフォイが出ている映画『ジョン・カーター』を(笑)
東地:出てるんですね、このジェームズが。"苦痛"って感じの演技でしたか?
山路:ちょっとずる賢い感じで入ってくるんだけど...悪い奴じゃないんだけどね。
東地:へえー。
山路:でも、ジェームズの「声」が違うから違和感あったよ(笑)
東地:(笑)
――山路さんのお墨付きですね(笑)
東地:いやいやいやいや
山路:本当、参りました。
――ケヴィン・ベーコンもジェームス・ピュアフォイも凄く魅力的、そして山路さんも東地さんも魅力的なんですが、お互いとお互いの演じている役に共通するイメージってありますか?
山路:声が...もう東地がしゃべっているとしか思えないっていうか、そういうイメージが凄いある。あの、得体のしれなさっていうのがね...なんか、そういう雰囲気も、とっても合ってると思ってるね。初めて会った時にも、やっぱりそう思ったんで。何だろう、この男はって...そういうのは、すごくありましたね。
東地:ケヴィン・ベーコンを、今この業界の中で誰が吹き替えるか?って話になったとき、僕は山路さんで良かったって思ってます。さっき、ケヴィン・ベーコンが生っぽいって話になったけど、やっぱりこういう山路さんみたいな感じ?がいいなって。あと、ぴったりくるのが...ライアンってやさぐれた感じで登場するじゃないですか。
山路:俺あの一番最初のシーン、凄い好きだった。「もう(FBIは)辞めたんっすよ」つって。あれ大好きでさぁ。
東地:もうあれで決まりですよ。あそこがオーディションだったら、それで一発OKですよ。もう、ぴったりなんですよ。
山路:ケヴィン・ベーコンって、俺、あのチンピラ加減が好きなの。いつまでも。
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――ドラマの内容が、凄く陰湿な感じですが、アフレコ現場の雰囲気はいかがですか? ムードメーカーみたいな方っていらっしゃいますか?
東地:ムードメーカーは誰だ?
山路:ムードメーカーは...。東地か?
東地:いや...
山路:佐古かな? エマ(役名)か。
東地:あーそうですね。エマですね。
山路:まぁ、今日はでもちょっと特別だったんです。マスクがあったし(笑)
※この日の収録では、フェイスマスクをかぶった人が話す場面があり、スタジオ内にも同じマスクが準備されていたことで、大騒ぎになっていました。
――普段は、割と佐古さんが盛り上げているのでしょうか?
山路:そうですね。こういう作品だからっていう訳じゃないですが、なんかあまりにひどい場面や展開だと、まぁちょっと、演じる側も笑うしかないっていうか...。
東地:うん。笑っていたい感じ。ただね、笑っている余裕ないんだよねー(笑)
山路:特にドラマの前半は回想シーンが多くて激しかったしね。
東地:言っとかなきゃいけないこともいっぱいあったり、見せとかなきゃいけないこといっぱいあったりするから。もう情報盛りだくさんなんですよね
東地:最初は。大変でしたね。
――これからの展開が非常に気になりますが、お二人が演じていて特に心に響いた!興奮した!っていう場面ってどこでしょう?...あの、ネタばれにならない程度で...。
山路:全部ネタばれになっちゃうと思う(笑)
東地:ぜーんぶネタばれだ(笑)
――(笑)お二人が絡むシーンとか限定でちょっとだけ...
山路:そりゃ二人で絡むシーンだったら、一番覚えているのはあのー
東地:刑務所で...
山路:刑務所...
二人揃って:(手錠を机に)ガシャーン!ガシャーン!(爆笑)
山路:凄い覚えてるよね。あれはねー。あと、俺は最近マイク・ウェストン(FBIの若手捜査官)が気になる。マイクにちょっとした事件があるんですが、そのときのヤツが可愛いんです。最初の頃はちょっとうっとうしい兄ちゃんなんだけど、最近可愛くなってきて。ちょっと根性見せることもあってね。
東地:そこら辺の関係性はみていると、感情移入しやすいっていうか...。僕は敵側ですけど、ああいいなって思いますね。
――先ほどお互い、フォローし合ってましたが(笑)、現実の世界でご自身がとってもフォローしたい人、尊敬する人っていらっしゃいますか?
東地:尊敬する人とかね...(考え込む)
山路:動きが止まっちゃったよ(笑)。
―――この人だったらついていこう、みたいな...。
東地:ああ、それなら僕はもう、山路さんですね。もう、間違いなく。ええ。
山路:もちろん俺も東地君で。
東地:出た(笑)フォロイング(笑)
山路:フォロワー(笑)
東地:ええ。フォロワー(笑)ええ。
山路:なんて取材なんだ(笑)
東地:僕、日本語吹替の仕事で初めて録った作品が山路さんとご一緒させて頂いたときの作品だったんですよ。
山路:そうなんだね。
東地:僕が生まれて初めて外画の吹き替えをしたのが、金城武さんの映画『アンナ・マデリーナ』っていう作品なんです。けど、僕があまりにもうまくできないんで、一人録りをしたんです。
山路:(笑)
東地:一回テストで呼ばれたんですけど、あまりにも...で。
山路:そんなことがあったんだぁ(笑)
東地:そうなんですよ。
山路:俺が東地と会った時...初めて会った時は、飲み屋だったんだよね。
東地:あ、そうかもしれない(笑)
山路:そう。そこから始まっているもんだから...こいつはどんな男なんだろうって、あの時思ったな。某プロデューサーの紹介で...なんだか、会わせようとしたらしい。
東地:(笑)ええ。
――そして、今に至ると。
東地:今に至りますね。はい。
――では、逆に、もしキャロルのように、自分にたくさんのフォロワーがいる、としたら...
山路:全国に?
――全国に。全世界でもいいです(笑)彼ら、彼女らにどんなことを命じたい、何をさせたいですか?
山路:それ、ありますよ!
東地:お!
山路:全国ただで飲める、飲み屋。いつでもそこ行って、なんか飲み食いできるっていう。
東地:土地土地に...
山路:土地のおいしいものを。
東地:あー!!!
山路:これはいいですよ。世界中に「お帰りなさい」って、どこに行っても言ってくれるお店が...。って、そんなことしか、浮かばなかったよー(笑)
東地:いやー、そうですねー。僕、ちゃんと考えなかったなぁ。
山路:"ちゃんと"って言わないで、俺の答えを。
東地:いやいやいや。僕はどうだろう...普段の私生活でフォロアーに支えてもらいたいこと...なんかあるかな?
山路:働いてもらう(笑)
東地:働いてもらう(爆笑) 働いてもらうもあるけど...仕事の行き帰りを軽くフォローしてもらいたいですね。
山路:あー、いいねぇ。ずーっと「がんばれ」とかささやいてくれたり。
東地:「がんばれ」(笑)いや、それはちょっと違う...。自分の見えないところで、自分に都合がいいときだけでわかるくらいがいいでしょうね。おもむろに、その、応援されても困りますけど。うーん。
山路:(囁き)大丈夫ですよ。明日は大丈夫。
東地:(笑)
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『ザ・フォロイング』WOWOWプライムにて
7月9日(火)スタート(全15話)★第1話無料放送★
二カ国語版:毎週火曜 23:00~
字幕版:毎週水曜 深夜0:10~
企画・製作総指揮:ケヴィン・ウィリアムソン
出演:ケヴィン・ベーコン(ライアン・ハーディ役/声:山路和弘)
ジェームズ・ピュアフォイ(ジョー・キャロル役/声:東地宏樹)
ナタリー・ジー(クレア・マシューズ役/声:岡寛恵)
ショーン・アシュモア(マイク・ウェストン役/声:下崎紘史)
アニー・パリッセ(デブラ・パーカー役/声:藤本喜久子)
カイル・キャトレット(ジョーイ・マシューズ役/声:伊藤実華)
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