海外ドラマの女性キャラクターと言えば、昔も今もたくましい女性が多い。恋に仕事に一生懸命な『アリー my Love』のキャリア弁護士アリーや、クライムサスペンスドラマ『THE MENTALIST/メンタリスト』のリーダー捜査官のリズボン、『グッド・ワイフ』で夫の不祥事に静かに耐える妻アリシア、『ビューティ&ビースト/美女と野獣』の正義感から危険な捜査に乗り出すキャサリン捜査官まで、いずれも男性顔負けの見事な仕事ぶりを発揮する女性キャストたちが目立つ。
そんな彼女たちに共通する点は、容姿端麗でストイックに働くが、恋愛だけはうまくいかない点だ。綺麗で、誰よりも責任感を持って働くのだが、相手に完璧を求めすぎたり、家庭より仕事を優先した結果、離婚してしまったりと、安定した恋愛をしている期間が少ない。どんなに強くてたくましくても、女性ですもの。たまには男性に守ってほしいもの。今回は、たくましい彼女たちと、そんな彼女たちを守り、助ける、彼女たちのヒーローにフォーカスしたいと思う。
まず、『アリー my Love』のアリー。白馬の王子様に憧れ、仕事もプライベートも自分の信念を決して曲げないアリー。正義感が強く、弱いものの味方である一方、恋愛では夢見る夢子ちゃんすぎて、相手が自分の理想と少しでも違っていたら許せない頑固さを持つ。そんな危なっかしい彼女のヒーローこそ、アリーの働く事務所のパートナー弁護士、ジョンだ。『アリー my Love』ファンには、「そこは、元カレのビリーだろう」と言われそうだが、ここはあえて、ジョンを推したい。裁判中に鼻を鳴らしたり、ペットのカエルを溺愛したり、自身も十分風変りなジョンだが、生きにくい道を自ら選択するアリーを常に気にかけ、支えている。裁判の進め方で悩んでいる時や失恋して落ち込んでいる時、アリーのそばには必ずジョンがいる。当初「ジョンとは絶対に交際できない!」と豪語していたアリーだが、徐々に「私の運命の相手はジョンなのではないか?」と感じる瞬間さえ訪れる。白馬の王子様へのあこがれが強いアリーの思いを揺るがすほど、ジョンのアリーへの愛は広く優しいのだ。わかりやすいヒーローではないが、心身共に疲れ切ったアリーを癒すほのぼのヒーローだ。
次に、『メンタリスト』のリズボン捜査官。上からのプレッシャーと、問題児ジェーンという部下を抱えて頭を悩ませる辛い中間管理職だ。ジェーンは人の表情を観るだけで状況やその人の心を読む力があるため、捜査に協力している。しかし、彼の皮肉たっぷりなぶっきらぼうな言い方は、いつも捜査関係者や被害者を怒らせる。リズボンは、そんなジェーンの一番の理解者だ。リズボンは、どんな時でも部下に弱音は吐かず、何かあれば自分の立場より部下を守る。日本の上司たちにも見習ってほしい見事な女性上司像。しかし、そんなたくましい彼女にだって時につらい時、泣きたい時がある。命の危険にさらされることだってしょっちゅうだ。そんな彼女のピンチに気が付き、一番に駆けつけるのが、いじわるでひねくれ者のジェーンだ。皮肉しかぶつけられないジェーンだが、リズボンは困ったときには必ず助けに来る。ニヒルな笑いをいつも見せるくせに、この時ばかりは本気でリズボンを心配し、リズボンの無事が分かったときには、半泣きで喜ぶ。2人は恋愛関係にこそ発展していないものの強い絆で結ばれている。まさに、ジェーンはリズボンのヒーローだ。
次に、『グッド・ワイフ』で、元州検事である夫の女性問題、汚職が全米でさらされたアリシア。アリシアは、ロースクールを首席で卒業した元エリート弁護士。州検事であるピーターと結婚してからは、家庭に入り、二人の子供を育てるよき妻であり母であった。しかし、ピーターのスキャンダルにより事態は急変する。風俗嬢とのスキャンダルをマスコミに嗅ぎつけられ、汚職の疑惑までかけられたピーターは辞任に追い込まれる。辞任&釈明会見の隣では、だまって正面を見つめる強き妻アリシアの姿。全米中にその情けない姿がさらされたにも関わらず、アリシアは、生活のために弁護士復帰することを決意する。外に出たら噂され、家に帰ると良い母親を演じなければならない。強い女性といえども、爆発しそうな気持ちでいっぱいのアリシアは、時に理由もなく涙があふれることだってある。そんな時、そっとアリシアに肩を貸すのが、ロースクール時代からの友人であるウィルだ。ウィルは、困っているアリシアを自身が共同経営者を務める弁護士事務所に雇い入れ、世間にもダメ夫にも負けず、子供たちを守ろうと必死なアリシアを陰ながら応援してくれるありがたい存在。ウィルがそこまでアリシアを思うのには、友達以上の思いがあるからなのだけど、何はともあれ、向かうところ敵だらけのアリシアにとって唯一のヒーローともいえるだろう。
最後に『ビューティ&ビースト/美女と野獣』の若手捜査官キャサリン。過去に何者かによって母親が殺害された彼女。現場に自分も居合わせたのだが、軍の極秘プログラムで遺伝子操作され、超人となったヴィンセントに助けられ、一命を取り留めた。その9年後、刑事となった彼女は、母を殺した犯人をずっと追っている。超人能力を持つヴィンセントに事件解決の協力をしてほしいキャサリンは、たびたびヴィンセントの元を訪ねるのだが、彼は、「軍から隠れて生活している身だからほっておいてくれ」と冷たくキャサリンをつっかえす。
しかし、キャサリンが危険な目にあうと、現場に必ず現れ、彼女を救い出してくれる。彼女が行き詰ったときには、必ず、自分が持っているヒントを与えてくれる。普段はキャサリンに冷たいくせに、なぜだか彼女をほっておくことはできない模様。表面では、俺のことはほっておいてくれ、裏面では、彼女を助けずにはいられない、2面を持ったクールなヴィンセントに観ているこちらも恋心すら覚えてしまう。まさに、キャサリンのヒーローだ。二人の恋の行方にも注目したい。
ここまで、何事にも動じず、ストレス耐性に強い、たくまし女子たちのヒーローを紹介してきた。昔も今もヒーローは変わらない。彼らはまるで、「本当は弱いこと、知っているから」と言わんばかりに、押し付けがましくない愛情で、たくまし女子たちを包んでくれる。そしてピンチの時はまるでスーパーマンのように突如として現れ、救ってくれる。今回紹介した、たくまし女子たちほど常に強気ではなくても、現代女子は、現実世界で強くでなければならないシーンが少なからずあるもの。そんなストレス社会で戦う女子たちの癒しになるのは、やっぱり、そっと見守り、いざというときには助けてくれるヒーローのような男性だろう。男性の皆さん、タイプの違う4人のヒーローたちを参考にしてみてはいかがだろうか?
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