ヒストリーチャンネル初となるドラマシリーズ、『ヴァイキング~海の覇者たち~』。2013年、ヨーロッパ、アメリカで放送され、現在シーズン3も製作されている超大型歴史ドラマがいよいよ日本上陸! 主人公のラグナル・ロズブローク(トラヴィス・フィメル)の声を演じる土田大さんに直撃インタビューしてきました。これまで数々の映画、ドラマで活躍されている土田さんが、本作の魅力についてたくさん語ってくれました!
――本作を最初に観た時の感想を教えてください。また、はじめ『ヴァイキング』についてどんなイメージがありましたか?
特に印象に残ったのはオープニングでした。僕の経験上、オープニングが良い作品は面白いものが多いんです。このオープニング曲もそうなのですが、作品全体で印象深い曲がたくさん使われているんですよ。本作の時代背景や民族を意識してつくっているのだろうなと思うのですが、日本人が聞いても、すっと入って来るような、どこか馴染のあるような感じの曲なんです。
海賊っていうと、昔、某かわいいアニメがありましたよね。ヘルメットにツノがついていて...でも今回のヴァイキングはツノついてないなあ...と(笑)。あとは食べ放題の「バイキング」ですね!この由来も「なんでも取り放題」ということで「ヴァイキング」から来ているんですよね。
――主人公のラグナルは実に独特なキャラクターですが、演じるにあたって、一番こだわった点、難しかった点を教えてください。
呼吸や空気感みたいなものを収録の前にリハで感じ取り、ひろってくるのですが、『ヴァイキング』は今までにない「息づかい」のドラマなんですよ。実にいろいろな息を多用する。ちゃんと見てからでないと、演じきれないというか、そこが大きなポイントでした。「今までこんな音出したことないなあ...」というような独特な息づかいが多いんです。
戦闘シーンで、戦っている時の呼吸一つとっても、バリエーションは多いですよ。僕たちの仕事では、「腹を殴られているのか、頭殴られるのか、わかるようにちゃんとやれ!」というように、「うめき」とか「叫び」とか、細かいところでよりリアリティを出せればと思っています。また、殴打する武器で攻撃するから、日本でいうところの刀で切るようなシャープな感じではないんですよ。重低音でやるのが多いですよね。絶対この斧じゃ切れないですからね。「鈍器で殴る」というイメージです。高音域でわめくよりも、低音の方が発声は楽なので、僕はそんなに疲れないので、10分間戦闘シーンでもいけますよ(笑)。
――ラグナルの魅力について教えてください
俳優のトラヴィス・フィメル、彼の演じ方なのかもしれないですけど、最初に結構激情型の人物かと思っていたら意外に冷静で、ずっと薄笑いを浮かべているような人物なんです。やはり頭がいい奴だったんじゃないかという...そして繊細なところがあるというイメージです。ただの筋肉バカじゃないぞ、と(笑)。すごい知識人だったと思います。その当時の決められた掟の中で、「新しい方法があるんだよ」ということを自分で提案できて、カリスマ性のある人物だと思います。
――首長のハラルドソン(ガブリエル・バーン/声:辻親八)と対立していくことになるラグナル、対照的な二人ですが、どちらに共感できますか?
今まで自分でやってきたことはラグナルに近いと思うんですが、そろそろハラルドソンのようになってもいいのかなという年齢になってきました。ハラルドソンは一見、「できないヤツなんじゃないか」と思われるかもしれないのですが、そんなことはないと思うんです。あの年齢までずっと首長の地位にいるわけですから、それなりに凄い人物だったと思うんですよね。時代というもので、若者(ラグナルたち)が出て来たというか、僕はどちらの道理もわかる気がします。でもやっぱりハラルドソンに賛成かな。事なかれ主義なので(笑)。いや、でもラグナルについていくかなあ...もうどっちなんだっていう話ですよね(笑)。
――ラグナルの兄・ロロ(クライヴ・スタンテン/声:玉木雅士)について、兄弟関係はどうなのでしょうか?
今後どうなっていくかなんですが、ロロの行動をラグナルは知らないので...。ラグナルは、兄弟だから対等だと思っていると思うんです。でも、ロロは対等じゃないじゃないか! と思っているかもしれない。弟が成長していくのを陰で支えていられない! みたいな。何事も無ければいいなあと思います。このままロロ役の玉木君とも仲良く...。実は別の現場でも玉木君と一緒なんだけど、彼、「僕、お兄さん役なんですけど...」って、本人はすごく抵抗あるみたいです(笑)。
――ラグナル(トラヴィス)と自分の声は似ていると思いますか?
どうかなあ。あまりつくっている感じはしないですね。なるべくナチュラルに演じたいと思っています。実際、あまりつくらず、楽に出来ています。それよりも「ハラルドソン」が上手く言えない...(笑)。
――お気に入りの台詞などがあれば教えてください。
「前回までのヴァイキングは!」(笑)。毎回言うんですけどね。タイトルが『ヴァイキング』なんですけど、本編中でヴァイキングと言う機会がないんですよ。「ヴァ」要素を強めにして「ヴァイキング」ですね!
――この時代にもし土田さんが生まれていたら、『ヴァイキング』になりたいですか?
うわー...なりたくねえ...。(一同笑)。だって死ぬのは怖いじゃないですか。船酔いもしそうだしな...色々弊害ありそうだな~。...でもロマンがある。...うーん、半分半分じゃだめですかね(笑)。航海に出ても、まあ戻って来ることが出来るから、いや、でも一回の航海も終わって帰って来られるまで長いからなあ。やっぱりあんまりやりたくないですね。
――土田さんからみてこのキャラクター面白い、という人物は?
船大工のフロキです。この人、船大工なんだけど、...本当に船大工? というような奇妙なキャラクターなんですよ。この時代にもし本当に彼のような人物がいたら、かなりアヴァンギャルドな人物だったのではなかったかと。そういった意味でも彼は目立つ役ですよね。
――どの女性キャラクターを妻にしたいですか?
それはもうラゲルサがイチオシですよ。恐妻だとうまくいきますね。これは現代でも変わらないんじゃないかと思います。あの嫁はよくできていますよ。家族をまかせられるし、ラグナルと非常に信頼し合っている。でも二人は夫婦喧嘩も激しいですからね(笑)。
――映画や海外ドラマでの吹替の良さを教えてください。
取得できる情報量の多さです。字幕だと、制限があるので、どうしても話をしている人中心の字幕しか出ないですが、吹替だと、脇で話している人の分も聞こえてきます。何かしながらでも観られる気軽さ、手軽さもありますよね。字幕だとやっぱり観る時には集中して「よーし」って構えますからね。だから、吹替版は色々な方にとって、とっつきやすいのではないかなと思います。実は僕、以前は字幕派でしたけど、この仕事するようになってからは吹替派です。勉強になりますし。
――この作品、特にどんな方におススメしたいですか?
もちろん、みなさんに! ということが第一条件としてあるのですが、そうですね...、小学生とか。表現がきつい場面もありますが、例えば学校の勉強があ まり面白くないと思っている子供たちに、観て欲しいなって思います。子供時代、僕は映画で育ったから。母親が大の映画好きで、よく映画館に連れて行かれて、結構影響受けました。
――印象的なシーンなどありましたか?
このドラマの最大の魅力は、民族の風習や生活様式が細かく描かれていることだと思います。そして信仰についても。宗教といってしまうと、結構身構えちゃうんですが、生活の中で、人々が神様のことを信じていて、それが根づいていたんだなって。生贄の風習なども描かれますが、説得性があるから、「ああ、実際にこういう文化があったんだな」と思います。
あとはですね...。性生活についても描かれていて...。これ、裏みどころです。
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――本作はヒストリーチャンネル初のドラマシリーズですが、土田さんご自身は歴史はお好きですか?
僕は日本史が好きです。この間、和泉守兼定(新選組の土方歳三が持っていた愛刀)を生家まで見に行ってきましたよ。普通の刀ですけど、これで戊辰戦争まで闘い生きたのだなと思うと感慨深かったですね...。うん、歴史、好きですね!
――最後に、本作での意気込み、また、ラグナルの‟ここをぜひ観て欲しい!"というポイントをお聞かせください。
やはり歴史ものですし、現代劇とは違いますから、この作品の時代から逸脱しないように、作品のメッセージをシンプルでわかりやすく、時代の空気感にあったような空間づくり、そしてセリフの喋り方にこだわっていきたいと思っています。
そして、ラグナルについてですが、僕はこんなに不敵な笑い方をする俳優を初めてみました! 彼の笑い方は本当に凄いんですよ。哀しくても、怒っていても、あの不敵な笑み!見逃すことがないくらい、いっぱい出てきますから、ぜひ注目してください!
全9話構成なので、とても観易い作品です。そして続きがもっと観たくなると思います。細かいところまで、穴があくほどぜひ何度でも観てください。きっと新しい発見があると思います!
――土田さん、ありがとうございました!
『ヴァイキング~海の覇者たち~』は、ヒストリーチャンネルにて、2月22日(日)21:00より日本独占初放送!
・全9話
・毎週日曜21:00~22:00
※2月22日(日)のみ21:00~23:00第1・2話連続放送
Photo:
『ヴァイキング~海の覇者たち~』ラグナル役ボイスキャスト 土田大
ラグナル・ロズブローク
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