『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』綱島郷太郎&遠藤綾 吹替キャストインタビュー

2015年5月より米NBCにて放送を開始し、早くもシーズン2の制作も決定している全米で注目の最新ドラマ『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』。主人公のサム・ホディアックを演じるのは、TV『X-ファイル』のフォックス・モルダーFBI 特別捜査官役で知られるデヴィッド・ドゥカヴニー。全米を震撼させた無差別殺人事件、その首謀者で実在の人物である悪名高きチャールズ・マンソンとその真相に迫る刑事。そして、チャールズ"チャーリー"・マンソンに魅了され堕ちていく少女エマ。60年代のアメリカを鮮やかに描く衝撃の話題作!
その日本語吹替版キャストのチャールズ・マンソン役の綱島郷太郎さんとエマ・カーン役の遠藤綾さんに、本作の見所やキャラクターの魅力、お二人の共演した感想などを語ってもらいました!

 

――本作は、今までの海外ドラマにないような、チャールズ・マンソンという実在の人物をメインに、フィクションとノンフィクションが交わった不思議な作品ですね。綱島さんは実在の殺人鬼を演じるということで、どのような意気込みで臨まれましたか?

綱島:最初にお話を頂いた時は、そういう人物を演じられるというのは俳優として嬉しかったですね。だけど、話を聞けば聞くほど、そこまで酷い人なのかと、恐ろしさを感じました。まだ獄中で生きている人を演じるというので、本人の動画とかを役作りのために観ると、改めて恐ろしい人だなと。ただ、僕が演じるのは、その人を演じた役者さんというのはありますけど。

――悪役というか殺人鬼という役を演じるというのは役者として面白味を感じますか?

綱島:まぁ、自分では絶対やらないことですからね(笑) そういう意味では、やりがいのある役ではあります。

――そのチャールズ・マンソンを演じる上で大事にした点や、心がけた点は?

綱島:基本的には彼を演じている俳優のゲシン・アンソニーの演技から、なるべく外さないようにしています。そこから自分が付け足せることがあれば足していったりですね。もちろん、日本語演出の伊達さん方からの演出も加味した上での話です。

 

――ゲシン・アンソニーが演じているチャールズ・マンソンには、不思議な狂気的なモノを感じました。それを演技にのせていこうというのはありましたか?

綱島:まだ狂気という程までは感じていないですね。まだ、ストーリー上では無差別殺人事件を起こす前の話なので、これから変貌していくかもしれません。作品の中で、なんか偉そうなことを言うキャラなんですけど、殴られたら「イヤっ!」とか「イタイっ!」みたいな声を出してますからね(笑) ヤラれ弱いんだなと(笑) ストーリー的には、これからどうなっていくかというのがあるので、今はなるべく作らないようにしています。

 

――遠藤さん演じるエマ・カーンは16歳でナイーブさというか不安気な感じが伝わってくる吹替えでしたが、本作に対する意気込みや、実際に演じられてのご感想は?

遠藤:そうですね。エマはお父さんもお母さんも束縛する家庭で、多感な年代で何をするか心配なんでしょうけど、彼女はそれが嫌で、家から出たいという気持ちは分かるんですよね。そこに、運悪くというか、たまたま居たチャールズ・マンソンという男の目ヂカラに吸い込まれてしまうという。束縛された生活から脱却したいというタイミングとしては、彼女にとって良かったんでしょうね。

――エマとしても何かアクションをしたかったんでしょうね。

遠藤:ちょうど良く彼が居て、言いくるめられるような怖いぐらいの力を見てて感じますし。まだ、チャールズ・マンソンはそのカリスマ性を出していないんでしょうけど、16歳の女の子にしてみたら、大人ですし、カリスマ性があるし、影響されたいという気持ちがあったんじゃないかと。

――そういう多感なエマの気持ちへの理解や共感とかはありますか?

遠藤:魅力的な人は自分が何歳になっても、すごいなと思います。もっと知りたいという気持ちが、良い方にいくのか、悪い方にいくのか分からないですけど、彼女の気持ちは分からなくはないですね。

――演じる上で、エマの不安さやナイーブさをどう考えていますか?

遠藤:今、収録が終わった話数までに関しては、彼女自身が流されるままに行動していて、チャーリーに嫌われて捨てられたくないので、それはすごく、こういう風にやろうという考えはないですけど。そのまま、チャーリーにすがるような役柄の心情に寄り添って、今は演じています。

 

――序盤はチャーリーとエマの二人が中心のシーンが多いですね。演じていて、お二人それぞれの印象はどうですか? チャーリーはミステリアスでプレーボーイなキャラクターですけど、遠藤さんから見た綱島さんのイメージなどは、どうでしたか?

綱島:正直に言っていいよ(笑)

遠藤:えー(笑) そうですね、収録前に家で映像を確認する時は英語しか入っていないので、チャーリーはワルそうというか、ダメそうな感じの人というイメージだったんですよ。綱島さんとは初めて共演させて頂いたのですが、日本語ではどういう声になるのかなと興味がありました。それで、最初の第一声を聞いた時は「うわあぁーー! そうそうそう!!」みたいな(笑) チャーリーの吹替えられた声を聞いたら、彼のユラユラとした掴み所がないキャラクターを思っている以上に感じられたので、スゴイなと思いました。綱島さんは元々こういう喋り方の人なのかと思っちゃうぐらいでした(笑)

綱島:遠藤さんとちゃんと喋ったのは、収録が始まってしばらくしてから。 居酒屋で(笑)

遠藤:当たり前ですけど、普段はチャーリーみたいじゃないんだと安心しました(笑)

――綱島さんは、エマを吹替える遠藤さんの印象をどう感じましたか?

綱島:遠藤さんのお話にもありましたが、共演は初めてで、同じように家で映像を観てきたんですけど、遠藤さんの声は透き通っていましたね。エマは粋がるんですけど、粋がりきれていないという所の遠藤さんの演技とか、いいなぁと感じました。遠藤さん、ご本人はどうでしょうかね(笑) もっと、ほわぁ~んとした方かなと思ってます(笑)

遠藤:ぼんやりしてます(笑)

――本作はハードでバイオレンスな作品ですが、アフレコ現場の雰囲気はどうですか?

綱島:結構、若い人たちがいるんですよ。彼らがふざけるというか、彼らとしては真剣なんだろうけど、ゲイバーのガヤとかで皆がそれオカマだろというのを平気で演じてくるのが、遊んでる感があって、いいなぁと思いましたね。

遠藤:挑戦してる感がありましたね(笑)

綱島:全体的に声優陣の平均年齢が若いのかな。おじさんキャラがいっぱい出てきますけど、若い人が吹替えているのが結構カルチャーショックでした。

遠藤:バイオレンスな作品ですけど、アフレコ現場はそんなバイオレンスで殺伐とした雰囲気じゃないです(笑)

綱島:皆、ツッコミまくってますよ。ツッコミどころ満載なので、主演のドゥカヴニーの声の小杉十郎太さんも「こんなの、ありえないだろ!」とか言ってます(笑)

 

――本作はファッション、音楽、社会問題など60年代のアメリカを舞台としていて、そこに現れたチャールズ・マンソンという人間に魅了されていくのですが、ドラマで描かれているこの時代の空気感というものに何か感じたものはありますか?

綱島:チャーリーの周りとは違って、ベトナム戦争があったり、ニクソンが大統領になったりなど、そういう社会的な背景が主演のドゥカヴニーの周りで大きな流れとして、必ず描写されているんですよ。それがあるから、チャーリーという人間がいるんだなと分かりますね。チャーリーがメインではなくて、アメリカ全体の流れの中でチャーリーみたいな人が生まれちゃったよというのが、僕には思えます。

遠藤:ヒッピーの集まりでのファッションや雰囲気も、そういう感じだったんだろうなと、観ていて新鮮ですね。

――そういうものに作品として関わるというのは、また面白いことですね。

綱島:そうですね、そこはもう演出の伊達さん方に整えてもらって、こちらは好き放題にやってますけど(笑)

 

――主演がデヴィッド・ドゥカヴニーということで、『X-ファイル』のイメージがあったんですが、年齢を重ねて渋みさや飄々さが増していて面白かったのです。本作での彼の印象はどうでしたか?

綱島:実は僕、『X-ファイル』を観てないんですよ。

遠藤:私も『X-ファイル』は子どもの頃に観た印象しかないです。

――遠藤さんは、ドゥカヴニー主演で本作と同じく小杉十郎太さんが吹替えていた『カリフォルニケーション』で長く吹替のレギュラーでしたね。

遠藤:そうです。この作品の前に収録していた『カリフォルニケーション』では、ドゥカヴニーがお父さんの役だったんですよ。それは、チャラチャラしたお父さんで、女性をとっかえひっかえしちゃうという(笑)

綱島:ドゥカヴニーそういうの好きだよね。今回も結構あるよね。

遠藤:そうなんですよ。だから、今回は堅物の役で、随分印象が違うねって小杉さんと話していたんです。古い時代のキャラクターなんでしょうけど、小杉さんが「角刈りが変だね」って言ってました(笑) ただ、堅物の役で進むと思いきや、こっちでも、それはそれであるんだなと(笑)

――新鮮さもありながら、彼らしさもあるという感じですか?

遠藤:『カリフォルニケーション』とはガラッと違う役柄なんですけど、でも、声が小杉さんですし、そこは嬉しく思いますね。

 

――最近の海外ドラマの刑事モノだと、一話完結という作品が多いですが、本作は連続物としてじっくり見せるタイプですね。お二人は犯人側としてずっと出演するという形ですが、演じている上で、その点について感じたことなどはありますか?

綱島: 今はキャラクターを固定しないようにしています。先が分からないので。刑事というキャラクターでいくというならば固定できるんですけど。結末は分かっているんですが、そこまでに辿るドラマがどう描かれるのか分からないので、そこは楽しみの一つかもしれません。その時、その時に向こうで作っているドラマの描き方や芝居の仕方とかが、そっちに行くのかと驚かされたりしますので。

――綱島さんの吹替の代表作に刑事モノの『HAWAII FIVE-0』がありますね。綱島さんというと、私はそのイメージが頭にあったので、本作での綱島さんの演技には驚きました。

綱島:チャーリーはスゴく真剣にやっているので、恥ずかしいんですよね。『HAWAII FIVE-0』は明るい作品なので、気楽にいけるんですけど。本作はそういう風にいけないんですよ。真剣に集中しないと、ここはこういう風にしたいなとか表現できない時に困るので。それで、チャーリーはクサい台詞で終わったりするんですけど、そのシーンのアフレコが終わった後に、周りがシーンとしていると「これダメだったんじゃないか......誰も反応しないぞ」という恥ずかしさがあります(笑)

――遠藤さんは刑事モノの海外ドラマ・シリーズで吹替レギュラーというのは珍しいですね。今まで吹替えされた海外ドラマと比べて、本作についての印象や感想などはありますか?

遠藤:そうですね、刑事モノで連続シリーズのレギュラーというのは初めてかもしれません。今まで自分が観ていた刑事モノもほぼ一話完結だったので、第一話から最後までずっと同じメンバーで、そのメンバーの家庭環境だったり、いろいろなことが少しずつ分かっていきながら新しい事件が出たりするのは面白いと感じました。自分の役もどうなるか分からないですし、自分がどういう状況に置かれるのかというのも分からないので、それを、その場その場で、決まった話数の中でキャラクターを作っていけるというのは、やりがいがありますね。

――それでは最後に、ファンの皆様へ本作の見所とメッセージをお願いします。

綱島:結末が分かっていても先が読めないドラマの作りになっています。見逃してしまってもオンデマンドの配信がありますので、必ず前回のエピソードを観てから、最新話を観るように一話一話じっくりと観てください。

遠藤:チャーリーもエマもそうですけど、他の登場人物達も非常に魅力的で、彼らの私生活も描かれていて、彼らがどうなっていくのかも見所です。特にエマの父親のケンがどうなっていくのか。まさかこんなに気になる父親だと思っていなくて、収録現場でもケンの話題で持ちきりです(笑)

綱島:最後にケンの話をするのか(笑)

遠藤:ケンがメインじゃないかと思うぐらい、ケンの見所があるんですよ(笑) 主要キャラクターだけでなく、他にも見所満載の作品ということです。ぜひ一話も見逃さずに観て頂けると、楽しめると思います。

 

『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』は海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVにて11月19日(木)独占日本初放送スタート!
(全13話)

[二カ国語版]毎週木曜23:00 ほか
[字幕版]毎週土曜 深夜0:00 ほか
公式サイトはこちらから

(※注)
下記のサービスでスーパー!ドラマTVをご覧いただいている方はオンデマンドで視聴ができます。詳しくは各ホームページまで。
J:COMご加入の方⇒J:COMオンデマンド
スカパー!ご加入の方⇒スカパー!オンデマンド
ひかりTVご加入の方⇒ひかりTVオンデマンド

「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」
配信開始日:11月20日(金)深夜0:00
以降、スーパー!ドラマTV 初回放送終了後、1話ずつ配信

Photo:『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』
(C)Tomorrow ITV Studios LLC 2014