LAスクリーニング2016:WB作品紹介

20160719_wb.jpg■『Lethal Weapon』
メル・ギブソン&ダニー・グローヴァーの名コンビで1980年代後半より大ヒットした映画シリーズ『リーサル・ウェポン』のTVドラマ版。

最愛の妻とお腹の中の子供どもを一瞬のうちに事故で失った刑事のマーティン・リッグス。自暴自棄のさなか、ロサンゼルスに住む義父の計らいでロス市警に転勤となる。一方、ロス市警ベテラン刑事ロジャー・マータフは心臓手術後にすっかり自分の老いを感じて落ち込んでいた。仕事復帰早々に新しいパートナーが着任することを知らされたロジャーは、銀行強盗人質事件の現場に駆り出される。一触即発の現場にどこからともなく現れたピザ屋の配達員が、周囲が止める間もなく銀行に入っていく。やがて中から発砲音が聞こえて心臓マヒを起こしそうになるロジャーの目の前に強盗犯をひっ捕らえて登場したのはさっきのピザ屋。それが新しいパートナーになる"噂の"マーティンだと紹介されたロジャーは、前途多難な先行きを思いさらに老け込んだ気分になる。自殺志願のパートナーに自分も巻き込まれては大変と、なるべくマーティンから離れていようと画策するロジャー。そんなある夜、マーティンが自宅に挨拶に訪れたからさあ大変。早く追い返したいロジャーの気持ちなどお構いなしに家族一同がマーティンを温かく迎え入れる。歓迎され心底嬉しそうな表情を見せるマーティンを目にしたロジャーは相棒に対し温かい気持ちが芽生えるのを感じるのだった。

映画『チャーリーズ・エンジェル』などで人気監督となったマックGが第一話の監督を担当しているほか、アメリカで人気のコメディ俳優デイモン・ウェイアンズがロジャー役で出演。マーティン役の新顔クレイン・クロフォードを支え、いい味を出している。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:FOX 9/21/2016
製作総指揮:マックGほか
出演者:クレイン・クロフォード、デイモン・ウェイアンズ、ジョーダナ・ブリュースター(『ワイルド・スピード』)ほか

■『Frequency』
2000年に『オーロラの彼方へ』というタイトルで公開された映画のTVドラマ化。

大好きだった父親が幼い時に訳も言わずに家を出て行ってそのまま帰らぬ人となってしまったことが、今でも心に重くのしかかっているレイミー。警官だった父はおとり捜査で悪党に寝返った挙げ句に殺されたと聞かされて育ったが、父のように刑事となった彼女はある日、自宅の車庫に放置されていた無線機が雑音を発しているのに気付く。その時、無線に接続していて言葉を交わした男性フランクは、名前から大好きな野球チームまで亡き父親と異様なまでに似ていた。さらに会話を重ねていくうちに、お互いの存在している年代が明らかに違うとわかり、二人は父の過去と娘の現在が無線機によってつながっているという不思議な現実を認め始める。やがて、ひょんなことから無線の向こうの父親と口論してしまうレイミー。だが間もなく父親が亡くなる前日の世界にいることを悟る。命の危険を知らせるために奔走し、間一髪で父の命を救ったレイミーだが、その行いから生じてしまったタイムパラドックスが自分の運命を含め周囲にどんな影響を与えるか知る由もなかった。

映画版でジム・カヴィーゼルが演じていた主人公に扮するのは『MAD MEN マッドマン』のペイトン・リスト。父フランク役は元モデルのイケメン男優ライリー・スミス。また、人気ドラマ『スーパーナチュラル』のジェレミー・カーヴァーが脚本と製作総指揮を手掛けたことでも注目を集めている。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:The CW 10/5/2016
製作総指揮:ジェレミー・カーヴァー
出演者:ペイトン・リスト、ライリー・スミス、デヴィン・ケリー(『よみがえり ~レザレクション~』)ほか

■『Riverdale』
アメリカの国民的コミックであるアーチー・コミックの登場人物を土台に製作されたティーン・サスペンスドラマ。

アメリカの小さな町に住む高校生ベティ。仲良しのアーチーが夏休みの間ずっと不在だったので会いたくて仕方がない。昔からの友達なのに最近彼のことが妙に気になる。これが恋!?そんなある日、新学期のキャンパスにニューヨークからオシャレな転校生ベロニカがやってくる。意地悪チアリーダーのシェリルに似ている感じだけど、そのシェリルに目の敵にされているベティを守ってくれたりして、実は優しい性格のようだ。シェリルにはどこかダークな影がある。彼女の双子の兄弟ジェイソンが最近謎の事故死を遂げており、その死をめぐって何やら隠し事がある様子のシェリル。一見平和に見えるこの小さな町には思いもよらぬ暗い秘密が渦巻いていた。

『ツイン・ピークス』と『プリティ・リトル・ライアーズ』を思わせるつくりの番組。ただの青春メロドラマとは違い、殺人ミステリーのダークな要素も加わっていて大人も楽しめそう。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日: The CW 未定
製作総指揮:グレッグ・バーランティ(『レジェンド・オブ・トゥモロー』)、サラ・シェクター(『ブラインドスポット タトゥーの女』)ほか
出演者:ルーク・ペリー(『ビバリーヒルズ高校白書』)、コール・スプラウス(『フレンズ』)ほか

■『Training Day』
デンゼル・ワシントンとイーサン・ホーク主演映画『トレーニング デイ』を元にしたTVドラマ。映画版でメガホンを取ったアントワーン・フークアや大御所ジェリー・ブラッカイマーが製作総指揮として名を連ねている。

ロス市警(LAPD)のベテラン刑事フランクは、悪党を捕まえるためなら法に触れるような行動もためらわない。たまたま、ギャング騒動に巻き込まれて署に来ていた少年に「長い物に巻かれるのも一時の手。世渡り上手になれ」と刑事にあるまじきアドバイスをする始末。かたやフランクと真逆正反対の品行方正な新人刑事カイルは、アナーキーなフランクとパートナーを組むことになり前途多難の様相。到底合法とは思えぬフランクのやり方に反感を覚えるカイルだが、フランクを慕う忠実な部下たちが彼の前に立ちはだかる...。

映画版でデンゼルが演じていたベテラン刑事を役は映画『タイタニック』などでお馴染みのビル・パクストン、イーサンが演じていたルーキー役は新顔の黒人俳優ジャスティン・コーンウェルと、善悪キャラの人種が逆になっている。だがこのドラマ版は映画のストーリーをそのままなぞったものではないため、主要キャラに捻りが加えられているだけでなく、ストーリー自体も違った作りになっている。本来なら表に出すことをタブーとするような警察やそれを取り巻く社会の問題を赤裸々に描いていく。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:CBS 未定
製作総指揮:ジェリー・ブラッカイマー、アントワーン・フークアほか
出演者:ビル・パクストン、ジャスティン・コーンウェル、ドリュー・ヴァン・アッカー(『プリティ・リトル・ライアーズ』)ほか

■『Time After Time』
1979年に同名小説を元にマルコム・マクダウェル主演で映画化されたタイムトラベル・サスペンスが、このたび37年の時を経てTVドラマ化。

19世紀のロンドンを恐怖に陥れていた連続殺人魔「切り裂きジャック」がH.G. ウェルズの開発したタイムマシンを使って逃亡。ウェルズは責任を感じて後を追うが、着いた場所は現代のニューヨークにある美術館だった。自分を題材にした展示コーナーのタイムマシーンから転がり出てきたウェルズは驚きを隠せない。一方、展示場コーナーの責任者であるジェーンは、特別展示物のタイムマシーンから出てきた、時代遅れなスーツを着た青年を見て不審に思うとともに妙に心惹かれる。巧妙に現代人に成りすましたジャックが再び連続殺人に手を染め出したことに気がついたウェルズは、相手を食い止めようと必死になる。しかし、その努力が裏目に出て、ジェーンの自宅に転がり込みかくまってもらう羽目に。

『ハリー・ポッター』シリーズでコーマック・マクラーゲン役を演じたフレディ・ストローマが初の主役に大抜擢。番組クリエイターには、『ヴァンパイア・ダイアリーズ』、『ザ・フォロイング』のプロデューサーであるケビン・ウィリアムソンを迎えており、期待の新番組だ。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:ABC 未定
製作総指揮:ケビン・ウィリアムソンほか
出演者:フレディ・ストローマ、マイケル・ベンツ(『ダウントン・アビー』)、ジョシュア・ボウマン(『リベンジ』)ほか

■『Trial & Error』
まるでドキュメンタリーを見ているような面白い手法で撮影された殺人ミステリー・コメディ。『GOTHAM/ゴッサム』のハーヴィー・デント役のニコラス・ダゴストが、ちょっとドジな新米弁護士役でお笑いのセンスを披露。共演は『ママと恋に落ちるまで』などでお馴染みのジョン・リスゴー。

アメリカ南部のど田舎で起きた殺人事件を担当するようにと、大手の弁護士事務所から飛ばされてきたエリート大学出身の超新米弁護士ジョシュは、同じ国とは思えないほど勝手が違う南部の雰囲気にびっくり。おまけにあてがわれた事務所は死んだ動物が次々と運ばれてくる剥製屋と共有。受付嬢は瞬間性記憶喪失で何も覚えていられないという状況に、ジョシュは目が点になる。殺された女性の夫で容疑者のラリーは町の人気教授。教授の義父母も含めて町のみんながオトボケで憎めない彼の無罪を主張していた。だが、教授の"秘密"が露見した時、怒った義父は弁護料の支払いから手を引くことに。公選弁護人などでは死刑に追いやられる可能性もあると途方に暮れるラリー。気落ちする周囲の人たちの様子を目の当たりにしたジョシュは、一世一代の決心を強いられることになる。

日本でのヒットが難しいと言われているアメリカのコメディ番組。だが本作は、海外バイヤーが集うLAスクリーニングで好評を博しており、アメリカはもちろん海外からの注目度も話題となっている。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:NBC 未定
製作総指揮:ジェフ・アストロフ(『ヴェロニカ"s クローゼット』)ほか
出演者:ニコラス・ダゴスト、ジョン・リスゴー、ジェイマ・メイズ(『Glee』)、シェリー・シェパード(『Hey!レイモンド』)ほか

■『Powerless』
舞台となるのは、スーパーマンやバットマンなどDCコミックスのヒーローと一般市民が共存する街、DCユニバース。しかし、この番組で主人公となるのはスーパーヒーローたちではなく、毎日会社に通うごく普通で"パワレス(無力)"な人たち。

主人公エミリーの勤務する保険会社は、スーパーヒーローが戦闘中に壊したり傷つけてしまった不動産や個人への損害をカバーする「対スーパーヒーロー賠償」を扱う会社。エミリーは常々、彼らが正義の味方という名の笠を着て一般市民に迷惑をかけることに対して無関心であることにムッとしていた。そんなある日、スーパーウーマンが悪者と対戦中のトバッチリで、エミリーの乗っていた通勤電車が脱線し、乗客が遅刻する羽目に陥る。堪忍袋の緒が切れたエミリーは、スーパーウーマンに文句を言いまくった。やっとの思いで会社に到着すると、スーパーウーマンにキレている様子をニュースで見ていた同僚たちが彼女エミリーを英雄扱い。そんな時、会社の社長が急死したという訃報が届く。彼に代わってやってきたのが悪者レックス・ルーサーも舌を巻くようなズル賢くてイヤな性格の新社長。新たな「敵」を前にしたエミリーをはじめとした社員たちの運命は!?

主人公のエミリーを『ハイスクール・ミュージカル』シリーズのヴァネッサ・ハジェンズが演じている。DCヒーロー関係のジョークがあちこちに散りばめられ、時には番組にもチラリと顔を出すということで、特にスーパーヒーロー・ファンにはたまらないコメディ番組。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日: NBC 未定
製作総指揮: 未定
出演者: ヴァネッサ・ハジェンズ、アラン・テュディック(『ブル~ス一家は大暴走!』)、ダニー・プディ(『コミ・カレ!!』)

■『Animal Kingdom』
タイトルからも想像がつくように、17歳の少年が放り込まれる、食うか食われるかの世界を描いた犯罪サスペンスドラマ。2010年に公開され好評を得た同名オーストラリア映画のTVドラマ化だ。母親の死後。図らずも祖母が女家長である札付き犯罪ファミリーと生活をともにすることになった少年を描く。御年62歳にしてまだまだ色気ムンムンのエレン・バーキンが家の女ボスを演じている。 

17歳の「J」ことジョシュア・コーディはヘロイン中毒で母親を失い、南カリフォルニアはオーシャンサイドに住む唯一の身寄り、祖母スマーフとその息子たちの元に引っ越してくる。祖母とは名ばかりな若々しいスマーフとスマーフの男友達のように振る舞う"叔父"たち。彼らは家族ぐるみで麻薬売買や強盗などあらゆる犯罪に手を染めているものの法の網をかいくぐってセレブのような毎日を過ごしていた。Jは居心地が悪くなるものの、他に身の寄せどころもない。とりあえず学校に通い出しガールフレンドもできたある日、コーディ家の長男でアブナい性格の長男ポープが刑務所から出所してくる。この出来事をきっかけに、Jの生活に危険な陰が差し始める。

犯罪ファミリーの長である母親と3人のイケメン息子たちの危ない関係や人種差別、性差別など、御法度スレスレの言動もビシバシ飛び出すこのドラマは、すでに全米では放送が開始されており、IMDbの10点中8点という高評価を得ている期待頭。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:TNT 6/14/2016より放送中
製作総指揮:ジョナサン・リスコ(『サウスランド』)ほか
出演者:エレン・バーキン、フィン・コール(『ピーキー・ブラインダーズ』)、スコット・スピードマン(『フェリシティの青春』)ほか

■『Roadies』
ヒットメイカーのJ・J・エイブラムスと映画監督キャメロン・クロウが豪華コラボして製作したコメディ。ロックバンドの裏方で通称ローディーと呼ばれるスタッフたちの人間模様をコミカルに時にはシリアスに描く。

女好きでダラシないところもあるがバンドのツアーマネージャーをやらせたらピカイチのビル。彼は日夜ツアーの裏方で頑張るスタッフたちを見守っている。みんなツアー中はずっと一緒に旅をしながら仕事もしているため、家族以上の存在だ。バンドのツアー成功のためなら何でもやるタイトな仲間たち。その中でも若手のケリーアンは、夢の仕事に就けたと思っていたものの、最近はツアーのドサ回り生活に疲れを感じ始めていた。そんな彼女の個人的な心の葛藤にはお構いなく、リストラが行われそうだとの噂にローディー仲間は大パニック。ツアーの運命を握るお偉いさんまで姿を現し、チームのまとまりに揺さぶりがかけられるのだが...。

15歳の時に有名音楽雑誌ローリングストーン誌でロックバンドのツアー潜入レポートを執筆してからライターとしてたことがきっかけで映画業界入りし、2000年に自叙伝的で『Roadies』の土台とも言える映画『あの頃ペニー・レインと』をヒットさせたクロウ監督。ツアー業界の舞台裏に詳しい彼が楽しんで作っているのが伝わってくる同番組は、全米ではすでにShowtimeにて放送されており好評を博している。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日: Showtime 6/13/2016より放送中
製作総指揮:J・J・エイブラムス、キャメロン・クロウほか
出演者:ルーク・ウィルソン(『チャーリーズ・エンジェル』)、カーラ・グギーノ(『ウェイワード・パインズ 出口のない街』)、イモージェン・プーツ(『28日後...)ほか

■『People of Earth』
日本では馴染みがないものの、全米で人気のトークショー『Conan』のコナン・オブライエンを製作総指揮に迎え『ザ・デイリー・ショー』出身のワイアット・セナックが主演したコメディ。

ジャーナリストのオジーは上司から宇宙人に誘拐されたことがあるという人たちの体験談を記事にするように言われる。くだらない仕事だとは思いつつもリサーチのために仕方なく、宇宙人に拉致されたというトラウマを持つ男女が集う相互支援グループに入ることに。一癖も二癖もあるメンバーを前にして、最初は宇宙人に誘拐されるなどあり得ないとバカにしてかかるオジーだが、意外にも理にかなった彼らの体験談を聞くにつれ、自分もなんとなく宇宙人に誘拐された経験があるのではないかとまで思うようになる。そんな彼は、自分の上司がとてつもない秘密を握っている事実を知る由もなかった・・・。

チーフ・ライターの二人はハーバード大学出身とのことで笑いの中にもライターの頭脳明晰さが光るコメディになるという。

製作スタジオ:WB
放送局&放送開始日:TBS 未定
製作総指揮:コナン・オブライエンほか
出演者:マイケル・キャシディ(『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』)、トレイシー・チーモ(『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』)ほか

(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

※タイトル、クレジットはLAS2016開催時のものです。実際の放送時には異なる場合があります。