キーファー・サザーランドといえば、数々の映画にも出演しているけど、なんといっても! 海外ドラマファンの間では、『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアー役が有名ですよね! 素早いテンポで進行する複雑なストーリーを夢中で観ていたな~♪ 誰よりも母国アメリカに対する忠誠心が強く、命を賭けてテロリストと戦うジャック。歴代大統領に頼りにされつつも、彼の型破りな行動と強引な性格は時に問題を起こす要因となって、何かとトラブルに巻き込まれる孤独なヒーローだった。
そんなジャック役の印象が強いキーファーが、今度は"米国大統領"を演じると聞いた時は、「エ~ッ!? これは面白そうなドラマになるかも♪」と期待していたら、実際に観始めても面白かった!...ということで、9月より米ABCで放送されている政治サスペンス『サバイバー:宿命の大統領』を紹介しよう!
さて、原題の"Designated Survivor"とはどういう意味か? 直訳すれば"任命(指名)された生存者"だが、米国政府においては特別な意味がある。大統領をはじめ、副大統領や閣僚たちがそろって出席する大統領就任式などの重要な式典や演説が開催される時、"もしも何か致命的な出来事が起こったら..."と想定して、政府を存続させるべく"式典や演説に出席せずに安全な場所に隔離されてその時を過ごすたった一人だけ任命された閣僚"がいる。このドラマではキーファーこそが、その"Designated Survivor"なのだ!
ドラマは初回開始の数分後、いきなり衝撃的なシーンで視聴者をクギづけにする! キーファー演じるトム・カークマンは住宅都市開発長官。数多い閣僚の中ではランクも下位である。そんな中、一般教書演説(毎年1月に大統領が連邦議会両院の議員に対して行う演説)が議会議事堂で行われ、"Designated Survivor"に選定されたトムは、議会より遠く離れた場所で演説のTV中継を観ていた。ところがその演説中に爆破事件があり、大統領をはじめ、トムより立場が上の"大統領継承権"を持つ閣僚たちが全員殺害されてしまったため、継承順位の低い彼が大統領に就任せざるを得なくなってしまう!という前代未聞なシーンでストーリーが開始するのだ。"そんなブッ飛んだ奇抜な話があるか!?"と私も思いつつも、長年、米国に暮らしていると"なんでも起こり得る!"と思えてしまうところが怖い(笑)!
このドラマの3つの見どころは...
その① 人間関係が複雑に織り成すシリアスな政治ドラマ!
予期せず大統領に就任することになってしまったトムは、良く言えば慎重な温厚派で、悪く言えば決断力に欠けて少し頼りない感じ。「あんな心もとない閣僚ランクの下のヤツに大統領が務まるのか?」「軍事について門外漢の彼よりも、CIA(米国中央情報局)長官や陸軍総司令官の方が、この緊急時には大統領にふさわしいのではないのか?」などと陰口を叩かれるトム。トムに不信感を抱く側近、政治家、軍関係者らがいる中で、彼は大統領として信頼を得ることができるのか? 「州のリーダーは私だ!」と、トムの発する大統領命令を無視する州知事すらいるのだ。大統領主席補佐官(『ザ・フォロイング』のエイダン・カント)は、前大統領にも仕えていたため、仕事に熟知していてトムに対して助言しつつも、何かを策す裏の顔を持つが、彼の企みとは!? トムにとって誰が敵か味方か? 先の読めない展開が面白い! 次第に大国のリーダーらしさを発揮していくトムの変貌ぶりも注目だ。そして"Designated Survivor"は自分一人だけと思っていたトムの前に、ある下院議員(『サイドウェイ』のヴァージニア・マドセン)が現れる。実は民主党からはトムが、共和党からは彼女が選定されていて、"Designated Survivor"は二人いたのだ。今のところはトムに協力的な彼女だが、敵対する政党の議員とあって、今後、政策などに異論を唱えそうな予感!
その② 政府崩壊を狙った爆破事件の犯人は誰か? 陰謀が絡むサスペンス!
犯人は国際テロリストグループ? イスラム系組織? 外国人? 報復のための戦争が起こる可能性は? 犯人像で意見が食い違う関係者たちの間には常にピリピリした緊張感が漂う。一人のFBI捜査官(『NIKITA/ニキータ』のマギー・Q)が、大方の捜査主流派と違って独自の視点から犯人像を追跡しているが、彼女の理論は正しいか?
その③ 愛があふれるファミリードラマ!
トムの妻(『カリフォルニケーション』のナターシャ・マケルホーン)は米国憲法に詳しい弁護士でトムの良き理解者。二人には反抗期の高校生の息子と、パパ大好きの8歳の娘がいる。大統領として悩みの多いトムにとって家族との時間は大切なのだ。
さらに気になる共演者として、大統領を補佐するスピーチライターを演じているカル・ペン(『Dr.HOUSE』)。なんと彼は実際に俳優を一時休業して、オバマ大統領政権の広報部アソシエイト・ディレクターとしてホワイトハウスで働いていたことがある。「ホワイトハウスの内情がウソっぽく描かれないように助言もしているよ!」とインタビューで語っているように、カルは"コンサルタント"としても製作に参加している。
好評のため、早くも第2話を放送した時点で全22話のフルシーズン製作が決定した『サバイバー:宿命の大統領』。米国大統領という新境地の役柄を演じるキーファーが今後どんな活躍をするか必見! 『24』ジャック・バウアーの口ぐせ「Damn it ! (= Dammit !)(くそぉぉ~!)」というセリフが、大統領であるトムの口から出てきた時は思わず私も「やっぱり言った~!」と大喜びしてしまった(笑)
Photo:キーファー・サザーランド (C)Kazumi Nakamoto/www.HollywoodNewsWire.net ヴァージニア・マドセン (C)Kazuki Hirata/www.HollywoodNewsWire.net マギー・Q (C)Izumi Hasegawa/www.HollywoodNewsWire.net ナターシャ・マケルホーン (C)Kazumi Nakamoto/www.HollywoodNewsWire.net カル・ペン (C)Kazuki Hirata/www.HollywoodNewsWire.net