全米で2018年前後に始まる注目ドラマの予告編をお届けする本連載。6回目の今回は、2016年のトニー賞で11部門に輝いたブロードウェイミュージカル『Hamilton』のプロデューサーと『ロズウェル/星の恋人たち』のジェイソン・ケイティムズが手掛ける実話を元にした青春ドラマ『Rise(原題)』をご紹介しよう。
本作はマイケル・ソコラヴが2013年に発表した、実体験に基づいた小説『Drama High』を原作とした物語。アメリカの田舎街を舞台に、高校の演劇部の顧問をすることになった、家族思いで教育に情熱を注ぐ教師ルー・ヴォルペと、悩み多き青春時代を送る生徒たちの生活を描いている。
ヴォルペ氏は2013年に退職するまでハリー・S・トゥルーマン高校で44年にわたって同校の有名な演劇部の指導にあたり、多くの生徒の人生はもちろんの事、街全体にも影響を与えるほどのインパクトを残す教育者であったと言われている。
労働階級の人々が多く暮らすペンシルバニア州の小さな田舎町で、高校の教師をしているルー。やる気のない生徒たちを前に、情熱を持って目的に向かう素晴らしさを何とか生徒に感じてもらいたいと苦悩していた矢先に、優秀だがマンネリ化したミュージカル・クラブの責任者となるチャンスが舞い込んでくる。
当たり障りのない演目『グレース』ばかりを演じてきた彼らに、新しい作品に挑戦して欲しいと、"青年たちの性への目覚め、大人たちへの不信感"といったテーマを扱い、ティーンの心に訴えかけるミュージカル『春のめざめ』を採用。メインキャストにはアメフト部のスター選手を指名するなど、前代未聞の事態に学校側から猛反対にあい、生徒たちはもちろん学校の関係者や生徒の父母たちも巻き込んで、試行錯誤しながら生徒と共に成長していく、というストーリー。
学園ドラマと言えども、昨今の海外ドラマにありがちな華美な要素が全くないことが、本予告編から見てとれる。ルーが発する言葉「とりあえず、夢は大きく!」に、周りの者が冷ややかな視線を注いでいることからもわかるように、まだこの時点では現状に希望を見出しているのは彼一人だけのようだ。決して恵まれているとは言えない家庭環境の中で、ダイナーでアルバイトに励む者、病気の母を抱えながら奨学金を得ようと必死に頑張る者、悩みを抱えて酒に逃げる者、生徒それぞれの事情や悩み、怒りを抱えながら、これからどのようにルーが皆を盛り立てて団結していくことができるのか楽しみな展開となっている。
主演の熱血教師役を務めるのは『ママと恋に落ちるまで』のジョシュ・ラドナー。演劇部員の生徒役には、ディズニーアニメーション映画『モアナと伝説の海』でモアナの声を務めたアウリイ・クラヴァーリョや、Netflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス』のバーバラことャノン・パーサーなどがいる。トニー賞だけでなく、グラミー賞やピューリッツァー賞なども受賞したブロードウェイミュージカル『Hamilton』のプロデューサーであるフロディ・スウォレズとジェフリー・セラーのコンビと、『ボストン・パブリック』『ロズウェル/星の恋人たち』を手掛けたケイティムズが本作クリエイターチームの核になっている本作。
『Glee/グリー』と、高評価を得ている青春ドラマ『Friday Night Lights(原題)』を合わせたような作品だと、既に本国では期待できる新シリーズとして話題になっている。同作がセラーにとっては初めて手掛けるTV番組となる。
『Rise』は米NBCにて2018年3月13日よりプレミア放送予定。