『ダウントン・アビー』グランサム伯爵とブラウンさんは似た者同士!?『パディントン2』ヒュー・ボネヴィル直撃インタビュー

イギリス生まれの愛すべきクマのキャラクターを主人公に、世界中で愛されるロングセラー児童小説を実写化した映画シリーズ第2作『パディントン2』

本作の鍵を握る人物であるブキャナンを演じるヒュー・グラントとともに"Wヒュー来日"を果たしたヒュー・ボネヴィルを直撃インタビュー! 海外ドラマ好きには『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵役でお馴染みですが、実際もイメージ通りの英国紳士でとってもチャーミングな方でした!

――ジャパンプレミアでは、かわいらしいピンクのネクタイにパディントンのピンを付けていましたよね。

あっ、ピンをしてくるのを忘れてきたね。あれはお守りみたいなものなんだ。

(その後、部屋から持ってきてもらい、ピンを付けていました)

――今回、ヒューさんは初来日と伺っていますが、日本の印象はいかがですか?

なかなか興味深い、相矛盾するようなものが溢れている国だと思っているよ。エキセントリックな部分がありながらも、礼儀正しく、秩序立っていて、そこが面白い対比をもたらしているよね。

――パディントンがここまで愛される理由はどこにあると思いますか?

脚本も手掛けたポール・キング監督のおかげっていうのが多分にあるかな。ただの子ども向け映画で終わらないものに仕上げてくれたんだ。1作目も2作目も、老若男女楽しめるものになっているよ。

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以前、誰のために作っているのかを監督に聞いたことがあるんだけど、「原作者のために作っている」って言っていたよ。1作目が出来上がった時、監督は原作者のマイケル・ボンドさんに観てもらいに行ったんだけど、観てもらっている間はいても立ってもいられなくて外へ出て散歩したらしいんだ。「パディントンの父であるボンドさんが満足できなかったら、監督としての仕事は失敗と言わざるをえない」と考えていたようだね。

原作は多くの人のハートを惹きつけたもので、その原作に忠実であるからこそ、この映画は成功しているんじゃないか、と思っているよ。

――原作者のボンドさんは残念ながら、昨年お亡くなりになりました。映画製作にあたり、お会いして作品について話されたりしたのですか?

実際に1作目の時に撮影現場に来てくれたんだ。彼の奥さんはマーマレード(パディントンの好物)をくれてね。僕と妻は、ボンド夫妻と友人にはなったけど、映画に関しての話はしていないんだ。ボンドさんは(作品について)制作陣とはよく話していたようで、その結果、我々にパディントンを任せても大丈夫だろう、と信頼してくれたよ。

――あなたご自身は生まれがパディントンだそうですが、クマのパディントンとの個人的な思い出はありますか?

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実は生まれた聖メアリーズ病院がパディントンにあるだけなんだけどね。そこは父と母が働いていた病院なんだ。パディントンの話は小さい時から、父や母に読み聞かせてもらったし、自分でも読んでいたから、自分の友達のような感覚だったね。パディントンと一緒にいろいろな冒険に出させてもらったよ。

――あなたはこれまで『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵のように落ち着いた役柄が多いイメージでしたが、本作でのアクションやヨガ、女装などの挑戦はいかがでしたか?

僕自身は、ブラウンさんはグランサム伯爵と似ているんじゃないかと思っているんだ。どちらの役も父親で、子どもたちに道を踏み誤ってほしくないと考えている心配性な人物だからね。『ダウントン・アビー』では言うことを聞かない3人の娘がいるわけだけど、『パディントン』にはそんな子どもたちだけでなく、クマもいて大変だよ(笑)

20180121_Paddington03.jpgでも、演じるにあたりトーンを変えているのはその通りかな。『ダウントン・アビー』の場合は、それなりにユーモアは注入されているんだけど、グランサム伯爵はそのユーモアに気付いていないだけなんだ。今回ブラウンさんは、いろいろとしでかしたりするんだけど、その演じ分けのコントラストは面白かった。だから、トーンが違うだけで、グランサム伯爵とブラウンさんは、根本は同じなんじゃないかなと思っているよ。

――クマのパディントンがCGで作られていることから、演技をされる上で難しかったことはありますか?

1988年の『ロジャー・ラビット』という、アニメと実写を組み合わせた作品があるんだけど、当時は革命的な技術だったんだ。ボブ・ホスキンスがアニメーションのロジャー・ラビットと絡んで演技をするんだよね。ボブの当時の体験談を聞いて、同じことをする『パディントン』は難しいぞと構えていたんだ。

でも実際にやってみると、想像とは違って、パディントンの台詞を言ってくれる役者さんがいたり、表情や動きを再現してくれるフィジカルコメディアンがいてくれたりしたんだ。

例えば1作目にある場面、駅でブラウンさんがパディントンと出会った後にお茶をするシーンでは、役者がそこにいて、パディントンの再現をしてくれたんだ。ほかにも、シーンによっては"目線はココ"という印のついた棒を使って、それを相手に演技をしたよ。1作目の完成版でパディントンがどのように存在するのかを見ることができたから、今回はとてもやりやすかったかな。

――今回の続編ではパディントンを家族の一員としてすっかり受け入れているブラウンさんですが、前作からの気持ちの切り替えなどはありましたか?

1作目とではブラウンさんの心持ちはだいぶ変わっているね。1作目は「過保護になるのではなく、子どもは解放してやらなきゃいけない」というところがポイントだったんだ。だけど2作続けて同じことをするわけにもいかないから、キング監督と脚本家のサイモン・ファーナビーと一緒に、「今度はどんな危機に陥れるか」ということを話し合った。

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その結果、今回のような流れになったんだよ。精神的にも肉体的にも参ったブラウンさんは健康に目覚めて、健康食品を摂取するようになったり、髪を染めたり、"チャクロバティックス"なんていう激しいヨガに励んだり...。それぞれのキャラクターの特徴に落ちがあるのが、この作品のミソなんだ。

だから今回の僕は、中年の危機に立ち向かうブラウンさんを演じるよ。まあ、僕自身には関係のない話だね。なんたって僕は22歳のうら若き青年だからね(笑)

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1作目より"激しい"ブラウンさんのアクションシーンも見ごたえたっぷり! 『パディントン2』は1月19日(金)より絶賛公開中。

Photo:ヒュー・ボネヴィル 『パディントン2』 ©2017 STUDIOCANAL S.A.S All Rights Reserved. ©P&Co.Ltd./SC 2017