出演者が振り返る『THIS IS US 36歳、これから』インタビュー【2】

NHK総合でのシーズン1放送がついに終了した『THIS IS US 36歳、これから』。ジャック、レベッカ、ケヴィン、ケイト、ランダルがどんな運命を辿るのかがさらに気になる中、彼らを演じたキャストたちが同作について振り返っているのでそのインタビューを2回に分けてご紹介しよう。マンディ・ムーア(レベッカ役)とマイロ・ヴィンティミリア(ジャック役)が登場した1回目に続く2回目は、"ビッグ・スリー"こと、ランダル役のスターリング・K・ブラウン、ケイト役のクリッシー・メッツ、ケヴィン役のジャスティン・ハートリーの3人。

■スターリング・K・ブラウン(ランダル・ピアソン役)

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役を得るまで:
(製作総指揮を務める)ジョン(・レクア)とグレン(・フィカーラ)には2年ほど前にニューヨークで初めて会った。その時の僕は舞台に出ていたんだけど、彼らが手掛ける『アメリカン・レポーター』という映画でオーディションを受けて役をつかみ、一緒に仕事をしたんだ。その時、ダン(・フォーゲルマン)に会うべきだって勧められたんだよ。今思い返してみると、もしも当時、舞台に出ていなかったら、僕は彼らの映画に出ることも、ダンと会うこともなかっただろうね。実際に会ってみたダンはすごく落ち着いた人で、おかげで僕は何のプレッシャーも感じなかった。その時はまだ『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』の撮影途中だったけど、僕は以前から(ダンが脚本を執筆した)映画『ラブ・アゲイン』の大ファンだった。そして『THIS IS US』の第1回「誕生日」の脚本は、僕がこれまでに読んだネットワーク系ドラマのものとして最高の出来だった。その時に何か約束したわけじゃない。僕がダンの作品をどれだけ素晴らしいと思っているかを伝える機会というだけだった。企画に対する愛情が仕事に結びついたんだね。

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息を呑んだ瞬間:
ウィリアム役のロン・シーファス・ジョーンズとの共演は、ただただ素晴らしかったよ。彼は本当に純粋なソウルの持ち主なんだ。その眼を見れば、特別な何かがあることに気づくはずさ。それと、ランダルが娘たちの育て方について後悔していないところも気に入っている。僕自身、一人の親として通じるものがあるから。実生活でも二人の幼い子どもがいるんだけど、僕にできることはあの子たちにとって正しいことだと思いながら育てるだけだからね。子どもたちのために力を尽くし、前に進むだけだ。あと、第15回「ジャックの息子」は素晴らしかった。社会問題の現実とそれがいかに脆弱なものになり得るかを映し出そうとしているからね。続く第16回の「メンフィス」は、僕自身が若くして父親を亡くしているから、ランダルとして父(ウィリアム)にお別れを言うことができたのは、心揺さぶられる瞬間だったよ。僕自身は、父が死んだ時にまだ10歳だったので家で待っていなければならなくて、病院に行ってじかにお別れを言うことができなかったから。

本作出演によって自身に起きた変化:
芸術には人生を変える力がある。それが、そもそも僕がこの仕事を選んだ理由だけど、本作ほどその力を強烈に感じた作品はないよ。いろんな人から何度も言われたんだけど、このドラマは作品として素晴らしいだけでなく、視聴者にとって大切な癒しであり、喪失や悲しみに折り合いをつけて前を向くのに役立っているんだ。そんな不思議な力を持った番組にはこれまで出会ったことがなかった。その一員になれるなんて、夢のようだよ。

■クリッシー・メッツ(ケイト・ピアソン役)

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役を得るまで:
脚本があまりに素晴らしくて、読み始めた後すぐに"これは違う"って思ったわ。この役のオーディションをどうしても受けたかったから、エージェントに頼み込んだの。このケイトという役は、体重の裏に潜む本当の問題をようやく扱った役なの。不適切に依存し合ったり、日陰でひっそりと生きたりといった問題のね。オーディションの後でもう一度呼ばれるなんて思ってもみなかったけど、その時の経験はそれまでに味わったことがないようなものだったわ。ダン(・フォーゲルマン)、ジョン(・レクア)、グレン(・フィカーラ)が私の出るシーン全てに付き添ってくれたの。グレンからは、荷物を手に持ってロビーから扉を開けて入ってくるところをやってほしいと頼まれたのよ。まるで、すでに演出されている気分だったわ。

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息を呑んだ瞬間:
第2回「ビッグ・スリー」でのハリウッドのパーティはすごかったわ! あの時のクリス・サリヴァン(トビー役)の動きを見た!? 私たち、あの撮影では日が昇るまで仕事をしていたの。素晴らしかったわ。それから、第5回「スーパーボウルの夜」でジャスティン・ハートリー(ケヴィン役)が絵を通して人生について語るくだりには、心の底から感動した。あまりに素晴らしいから、収録前の読み合わせで私たちは泣いてしまったくらいなの。

あとは、第2回のラストで、ランダルの家にやってきたレベッカが夫のジャックに昔もらった月のネックレスを着けながら、ジャックではない別の人――彼の親友だったミゲル――と一緒に現れた場面も、いまだに印象深いわ。それとシーズンの最後に起きる、ジャックとレベッカの夫婦喧嘩は、すごくショックだったし見るのが辛かった。二人それぞれに親近感を抱いているけれど、人というのは時の変化とともに変わるものだし、完璧な人なんていないのよね。そしてエゴが爆発した場合、大きな衝撃を受けることになるの。

本作出演によって自身に起きた変化:
あらゆる意味で私の人生を変えたと言えるわ。この番組のおかげで一気に知られるようになったし、仕事のオファーも増えたの。見知らぬ人がトイレで私の顔を見た途端、感激のあまり泣き出すこともあるくらいよ。今は夢のような日々を送っていて、行くなんて思ってもみなかった場所を訪れることができているわ。

■ジャスティン・ハートリー(ケヴィン・ピアソン役)

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役を得るまで:
この作品に関わるようになったのは、エージェントからメールで届いた何本かの脚本を読んでいたのが始まりだよ。そのうちの一本がダン・フォーゲルマンによるパイロット版(第1回)の脚本で、「ダン・フォーゲルマンによるタイトル未定の企画」って銘打ってあったから、最初はてっきり野球の話だと思った(編集注:フォーゲルマンは同時期に野球ドラマ『ピッチ 彼女のメジャーリーグ』も手掛けていた)。でも、実際は『THIS IS US』の脚本だったんだ。中身を読んで素晴らしいと思ったから、エージェントに電話して、「どうにかしてオーディションの機会を取りつけてくれ」と頼んだよ。ケヴィンをどう演じるべきかは分かっていた。オーディションでグレン(・フィカーラ)とジョン(・レクア)とダンの前に立って、ケヴィンがブチ切れる場面を演じた。僕はその時、ケヴィンが失態を演じる理由について、彼は男の子守というコメディドラマの仕事にはもったいないほど面白すぎることがそもそもの原因だと考えて、この役に面白味とユーモアを注入した。その演技で彼らを笑わせて、いい手ごたえを感じたまま部屋を後にしたんだよ。

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息を呑んだ瞬間:
第5回「スーパーボウルの夜」でケヴィンが自分が描いた絵について独白するシーンだね。彼はもともと姪たちに人生とは何かを説明しようとしているわけだけれど、それまでずっと自分の発言に自身が持てなかったケヴィンは、初めて自分が何を言っているのかを理解するんだ。そして自分の発言から学んだケヴィンは、それ以降、アプローチ方法が変わる。演劇により真剣に取り組むようになるんだ。より良いと信じる道を選ぶことにする。だから、初日を迎えた大事な舞台を捨てて、助けを必要としているランダルのもとに駆けつけるんだよ。ケヴィンの頭にそれ以外の選択肢はない。彼は自分自身を日々発見しているところなんだ。大人らしく生きることでね。

本作出演によって自身に起きた変化:
たとえ自分が出演していなかったとしても、この番組を毎週観ていたと思うよ。僕は人生のありがたみを日々噛みしめるようにしている。自己中心的な言動は避けるべきだ。この仕事では特にそうだけど、自分のことばかり考えていると、気づけばあっという間に50歳になっていて、子どもは成長して家を離れているという状況になってしまう。この作品は様々な形で人生の素晴らしさを教えてくれる。この作品のおかげで、全く知らない人たちともすぐに繋がりを感じることができる。番組に対する愛という共通項のおかげで、知らない人とも友人になることができるんだ。

本国アメリカでシーズン1放送中に早くもシーズン2&3の製作が決定していた『THIS IS US』は、米NBCでシーズン2が放送中。ピアソン家の人々の今後が一体どうなるのか、楽しみだ。

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