『ドールハウス』『タイムマシーンにお願い』など放送途中で打ち切りとなった海外ドラマ10選

TVシリーズの理想の終わり方は、製作側も視聴者も納得のいく形で最終回を描くことだろうが、それは簡単なことではない。視聴数、視聴者と批評家からの評価、予算、場合によっては放送局や製作会社の上層部の個人的な好みで終了を余儀なくされることがある。ほとんどの場合、シリーズの終了が決まれば声明が発表され、その理由が説明される。しかし、時に説明がなく終了してしまう番組もあり、視聴者は「終わったのか、いつか続編があるのか」と混乱させられるのだ。そこで今回は、明確な理由なく、放送の途中で終了してしまった海外ドラマを紹介していこう。

海外ドラマ 打ち切り＆更新一覧 | 2023年～2024年【309作品】

突然入ってくる、うれしい更新のニュースもあれば、見ている途中での打ち切りの発表。長年見続けてきた人気作の打ち切りが突然だったり、理由が不明のままクリフハンガー終わりとなる場合も中にはあるだろう…。その一方、動画配信サービスや別のケーブル局に救済され復活するという例も少なくはない。本国アメリカ、イギリ...

『プッシング・デイジー ～恋するパイメーカー～』

2007年から2009年まで米ABCで放送され、ブライアン・フラー（『ハンニバル』『アメリカン・ゴッズ』）が手がけた『プッシング・デイジー』は、死んだ者に触れると蘇らせる能力を持ったパイ屋の青年ネッド（リー・ペイス『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』）がその能力を生かして事件を解決していくファンタジーサスペンス。

エミー賞を受賞し（コメディ部門監督賞など）、ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされるなど、多くの賞レースに名を連ね、批評家からも高く評価されていたが、打ち切られてしまった。

海外サイトのあるレビューでは、「ABCは"ポスト『LOST』"になる作品を見つけた！」と書かれた通り、視聴者が望んでいたユニークな設定とオリジナリティ溢れるストーリーラインが愛されていたが、残念ながらシーズン3に更新されることはなかった。

その後、2013年、フラーが映画化のための脚本を書いていたことが明らかに。ファンによる寄付金を募るKickstarter（キックスターター）により、『ヴェロニカ・マーズ』が映画化されたこともあり、フラーが前向きであることから『プッシング・デイジー』も続くのかと期待されたが、今もなお復活には至っていない

『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』

現代TV史における謎とまで言われているウェスタン風の宇宙SFドラマ『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』の打ち切り劇。ネイサン・フィリオン（『キャッスル　～ミステリー作家は事件がお好き』）が主演を務めた本作は、エミー賞視覚効果賞をはじめ、数々の賞を獲得してきたが、すべてのエピソードが放送される前に終了が決まり、熱狂的ファンのみならず軽い気持ちで見ていた視聴者をも驚かせた。

終了になった明確な理由は未だに明らかになっていないが、DVDの売り上げも非常に高く、ファンがショーの復活を求めてキャンペーン活動を行ったほど、終了後でもカルト的人気を誇っている。2013年にはクリエイターのジョス・ウェドンが「いつも頭のすみで、"あの出演者たちを再び集めることができたら？"って思うんだ」とコメントしており、復活の可能性もゼロではないようだが…。

『キャッスル』『ファイヤーフライ』ネイサン・フィリオンがキャリアを振り返る、約20年経った現在でも"キャプテン"！

『キャッスル ～ミステリー作家は事件がお好き』や『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』、『ザ・ルーキー 40歳の新米ポリス!?（原題：The Rookie）』の主演で知られるネイサン・フィリオンがオンライン開催となったサンディエゴ・コミコンに登場。今回彼のキャリアを振り返るというテーマのもと、当時の仲間た...

『マイネーム・イズ・アール』

主人公アールの"人生の間違い直し"を描いたコメディシリーズ『マイネーム・イズ・アール』。2005年から2009年まで4シーズンにわたって米NBCで放送されたが、突如終了となった。シーズン4の最終話は2話構成だったが、最後の1話を撮る前に打ち切られたため「To Be Continued」のキャプションがつけられたまま終わってしまった。

製作の20世紀フォックスは本作のことを「華麗」で「アメリカ人を笑わせ続けるシットコム」と評していたが、続けていく方法を見つけることができなかったという。20世紀フォックスは「経済的問題」を理由としていた。その後、米TBS、米TNTなどに売り込まれ、中でもTBSが興味を持っていたが契約締結には至らず打ち切りになってしまった。

『FARSCAPE ファースケープ 宇宙からの帰還』

スペースシャトルの飛行中、ワームホールに吸い込まれ遠い宇宙の果てに飛ばされた宇宙飛行士クライトンの活躍を描く冒険SFドラマ『FARSCAPE ファースケープ』。『スター・トレック』や『バビロン』のような例外はあるが、基本的にSFドラマは視覚効果などを多用するためコストが高く、2、3シーズンで終わってしまうことが多い。

本作はそれを乗り越え4シーズン続き、一定の視聴者も獲得。シーズン5への更新も発表されたが、製作費が引き上げられたことでシーズン4の途中で打ち切られてしまった。すぐにファンの一部が続投を訴えるキャンペーンを開始したが、実現に至らなかった。

『秘密情報部 トーチウッド』

英国の国民的人気ドラマ『ドクター・フー』の大人向けスピンオフ。オリジナル版にキャプテン・ジャック・ハークネスとして登場したジョン・バロウマン（『ARROW／アロー』）が主演を務めた。

実は、本作の放送は終了しているものの、英BBCは正式にキャンセルを発表したわけではない。そのため、一部ファンは現在でも続編の製作を期待している。

そして2021年、満を持して放送開始15周年を記念してオーディオドラマ「Torchwood: Absent Friends」が製作されたが、見送りに…。理由は、過去に『ドクター・フー』と『トーチウッド』の撮影セットでジョンが何度も陰部を露出していた問題が再浮上した上、『ドクター・フー』でミッキー・スミスを演じたノエル・クラークも性的違法行為で調査中であることを受け、キャンセルとなった。

『秘密情報部 トーチウッド』の放送期間中も、BBCは視聴数増加を狙ってBBC Three→BBC Two→BBC Oneと放送チャンネルを変更していった。

『デッドウッド ～銃とSEXとワイルドタウン』

終了から10年以上経った今でもファンに愛され続けている『デッドウッド』。西部開拓時代のアメリカを舞台に、ガンマンや無法者、娼婦たちが繰り広げる物語を描いた。

SAG賞やエミー賞、ゴールデン・グローブ賞などに名を連ね高く評価されていたが、高額すぎた製作費が影響したのか、残念ながら2006年、シーズン3で打ち切りが決定した。

しかし、直後から米HBOは映画としての復活の可能性があることを明かしており、続編製作に意欲を見せていた。2015年頃から脚本の執筆を進めるなど具体的に動き始め、2019年、オリジナルキャストとスタッフが再集結し、映画版が公開となった。

映画はシーズン3のラストから10年後のデッドウッドを舞台に、政治家として名を上げたハーストのその後を描く。町の良心として皆に慕われるチャーリー・アターの私有地を買い取りたいとハーストは強引に迫る。Rotten Tomatoes97％など高い評価を得たほか、同年のエミー賞でも作品賞はじめ8ノミネートを果たした。

『Terra Nova ～未来創世記』

映画監督スティーヴン・スピルバーグが手掛けた『Terra Nova（テラノバ）～未来創世記』。人口過多と深刻な大気汚染により存亡の危機に直面した人類が、時空の裂け目から8500万年前に戻ってコロニーを築くSF超大作。大きな期待を背負って製作された本作だが、2000万ドル（約15億円）という超高額な予算を回収できない視聴率の低さによりわずかシーズン1で終了した。

FOXは未だに打ち切りの理由を明確に述べていないが、実は同局は他の局での続投を期待していたのだという。クリフハンガーのまま終わってしまったが、ドラマ自体の評価は高く、幾つかの賞レースにもノミネートされた。

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『ジェリコ ～閉ざされた街～』

核攻撃を受けてしまった米カンザス州ジェリコという小さな田舎町を舞台に、生き抜くために奮闘する人々の姿が描かれるSFミステリードラマ。実はこのドラマ、2度も打ち切りを発表されている。

1度目はシーズン1の中盤。視聴数の伸び悩みを理由に打ち切りが発表された。しかし、直後からファンが続投を求めたキャンペーンを開始。放送局の米CBSは打ち切りを撤回してシーズン2への更新を決めた。ファンの期待に応えて製作された新シーズンだったが、やはり視聴数の増加は見込めず、7話の放送後にそのまま打ち切られた。2012年には、シーズン3＆4にあたるストーリーが限定コミックとしてリリースされた。

『タイムマシーンにお願い』

近年も『タイムレス』や『11/22/63』といったタイムトラベル物が人気だが、本作は時間と時空の壁を飛び越えて過去を経験できる超ポジティブな主人公サム・ベケット（スコット・バクラ『スター・トレック　エンタープライズ』）の活躍を描くSFコメディだ。1989年に放送がスタートし、5シーズンで通算97話が制作された。ゴールデン・グローブ賞やエミー賞を含め、様々な賞レースで計17賞受賞、43ノミネーションと高く評価されていた。

スタート時の視聴率は低かったが、18歳〜49歳層を狙って修正し視聴者獲得を成功させた。シーズン6の製作も言及されていたが、突然終了が決まり、明確な理由が明かされることはなかった。

2022年、米NBCにてリブート版が製作されることが発表。舞台は物理学者サムがクォンタム・リープ加速装置に足を踏み入れ消えてしまってから30年後の世界。新たにマシーンとその開発者の謎を解明しプロジェクトの再始動を狙うべく、新チームが招集される。

米NBC『タイムマシーンにお願い』リブート版、キャストと劇中写真が明らかに！

米NBCにてリブート版の製作が決定したSFアクションアドベンチャーシリーズ『Quantum Leap（原題）』（邦題：『タイムマシーンにお願い』）。この度、劇中写真の初お披露目に加えて、キャストとキャラクターの詳細が明らかになったと米TVlineが伝えている。 80年代終わりから90年代前半にかけて...

『ドールハウス』

クライアントのリクエストに応えるために記憶と能力をDNA操作でインストールされた"ドール"を管理している秘密組織ドールハウスを舞台に描かれるSFアクション。主人公のドール／エコー役をエリザ・ドゥシュク（『バフィー〜恋する十字架〜』）が演じ話題となった。

初めこそ評価は賛否両論で視聴率も低かったが、徐々に改善され、シーズン1中盤から人気が高まり多くの視聴者を獲得した。この結果を受けシーズン2へ更新されたが、放送途中で打ち切りが決まり、シーズン3へ更新されることはなかった。打ち切りの理由は不明だが、視聴率の低迷が理由だと言われている。

（海外ドラマNAVI）