【ネタバレ】ヒトラー以前を描く『バビロン・ベルリン』英語圏でも好評!世界的ヒットの予感

昨年10月にスタートしたドイツのテレビドラマ『Babylon Berlin(原題)』(バビロン・ベルリン)が話題となっている。1920年代のベルリンを舞台に、犯罪、汚職、政治的混乱が描かれたサスペンス仕立ての作品で、ストーリーの面白さはもちろん、当時を忠実に再現したセットなど、見どころも満載だ。また、ヒトラー台頭前のドイツが右傾化する現代社会と重なり、歴史の観点からも興味深い作品となっている。

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■都会の闇を描く話題作 予算はドイツドラマ史上最大級
『Babylon Berlin』は、ドイツの作家、フォルカー・クッチャーの犯罪小説をもとにしており、非英語作品としてはテレビ史上最大の4000万ドル(約43億円)をかけて作られた大作だ。出資はドイツ公共放送ARDと欧州のメディアグループ、Sky 1が共同で行った。放映はSky 1の他、アメリカ、オーストラリア、カナダではNetflixがストリーミング配信をしている。

ドラマの舞台は1929年のワイマール共和国崩壊前のドイツ。主人公のゲレオン・ラス(フォルカー・ブルッフ)はケルンに住む刑事で、戦争によるPTSDで苦しんでおり、自ら薬物で癒している。そんな彼が、地下シンジケートによるポルノ犯罪の捜査のためベルリンにやって来る。警察の記録係として働く傍ら、家族を支えるため娼婦の仕事もする刑事志望のシャルロッテ(リヴ・リサ・フライズ)とともに、複雑かつ黒い陰謀に巻き込まれていくというストーリーだ。ドイツではシーズン2まで放映され『ゲーム・オブ・スローン』に次いで最も視聴された作品となった。

■黄金期のベルリンを再現。古いからこそ新鮮な映像の数々
共同監督のトム・ティクヴァ(『センス8』)は、当時のベルリンは、新しい思想、アート、演劇、音楽、ジャーナリズムなどに満ちたエキサイティングな場所だったと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)に述べている。まさに文化的黄金期にあったともいえ、そういった当時の自由さや斬新さを感じさせてくれるのが本作のセットだ。

登場するクラブ、カフェ、売春宿などは、すべて実際の歴史的な場所をもとにしており、鉄道博物館から借りてきたリアルな電車なども登場する。衣装も、主役のフォルカーが「コスチューム部門の素晴らしい人々に魅了された」と米Varietyに語っているように、当時のファッションをエレガントに再現している。GQ誌は、フラッパーと呼ばれた若い女性たちが、当時発明されたばかりの電子楽器テルミンを演奏する姿を"ゴージャス"と形容しており、1920年代の流行を随所にちりばめた映像が作品の魅力となっている。

■政治的側面にも注目 英語圏でも評判上々
ドラマそのものが描くのは、ナチス第三帝国に至るドイツの社会的混乱だ。シーズン1ではヒトラーの名前が出ることはたった1回だが、シーズン2の終わりでは、ワイマール共和国の幻想から市民が目を覚ますにつれ、ナチスが徐々に存在感を放つようになるという。ドイツの歴史家、トマス・ウェバーは、移民を排斥し歴史の再評価を求める極右政党が台頭する今日のドイツにも似た状況だとWSJに述べており、民主主義とは何かを考える上では、タイムリーな作品と言えそうだ。

『バビロン・ベルリン』はNetflixで北米などでも配信されているが、ヒトラー台頭までの十数年という、これまで取り上げられなかった時代をテーマにしたことが受けたのか、「字幕モノ」の外国ドラマが苦手とされるアメリカの視聴者にも好評だという。主役のフォルカー、シャルロッテ役のリヴの人気も上昇中。英Expressによれば、フライズは、米テレビシリーズ『Counterpart(原題)』で、アカデミー俳優J・K・シモンズ(『セッション』)との共演が決定しており、ハリウッドでのブレイクもありそうだ。(海外ドラマNAVI)

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Photo:『Babylon Berlin』
Preview-Abend "Babylon Berlin": Produzent Stefan Arndt und Burkhard Kieker, Geschäftsführer von visitBerlin © visitBerlin, Foto: Dirk Mathesius