ソビエト連邦を作ったロシア革命がおこり、ロシア帝国最後の皇帝となったロマノフ王朝ニコライ2世とその家族。ロシア帝国を崩壊に導いたラスプーチンや、幽閉され全員殺害されたとされるニコライ2世一家の生き残り説など、ドラマティックな歴史はこれまでも映画や小説の題材となってきた。今回のNetflix版は、多大な費用と撮影技術を投入。歴史ドラマに、専門家らのナレーションをつけるスタイルで全6話が展開されている。
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近代化の進むロシア、若き皇帝となったニコライ2世
ロマノフ家は、世界の6分の1に及ぶ領土を300年にわたり統治してきた一族。1894年に皇帝アレクサンドル3世が49歳の若さで急死すると、まだ20代の息子、ニコライ2世が皇位を継ぐ。そのころロシアの市街地では急激な近代化と産業化が進んでおり、若き皇帝の即位は新しい時代の幕開けを象徴するものと思われたが、ニコライ2世は戴冠式で専制君主制を宣言するのだった。
全員が殺されたといわれるロマノフ王朝ニコライ2世とその家族だが、四女のアナスタシアだと名乗る女性がいるという。
ハイブリッドスタイルの歴史ドラマ
大帝国最後の皇帝の物語は、中国にしろロシアにしろ、ドラマ化されると人々の大きな注目を集める。この『ラスト・ツァーリ: ロマノフ家の終焉』も、配信前から多くの注目が注がれた作品の一つだ。
歴史ドラマは事実についての見解や人物の描き方などで批判されることも多い。やはり本作の場合も、ロシア語の訳がところどころ微妙に間違っていることや、時代背景に沿わない映像が使われていることなどがネット上で取りざたされている。
それでも米紙Wall Street Journalは、「ロマノフ王朝時代の歴史家による解説がつけられた、説得力のあるスタイリッシュな作品である」と評価。「驚くほど詳細な史実と、魅力的な物語がスムーズに融合されている(ドラマである)」として、その努力を称賛している。
同じく全体としての作品の出来を英紙Telegraphが高く評価している。「非常に魅力的に」ロマノフ家の悲劇が描かれているとレビューを綴る同紙。Netflixが巨額の資金をつぎ込んだだけあり、出演者のいで立ちやコスチュームも見どころだとしている。
『ラスト・ツァーリ: ロマノフ家の終焉』の製作はロシアではなくアメリカである。そのため、出演俳優らは英語で話している。ロシアの歴史ファンには少し物足りないかもしれないが、史実にどれだけ忠実なのかを細かく見るよりも、歴史上の人物の人間像が専門家の見解を含みつつ描かれた、新しいハイブリッドスタイルのドラマとして楽しんでほしい。各1時間程度のストーリーが全6話、かなり見ごたえのある作りとなっている。
Netflixオリジナルシリーズ『ラスト・ツァーリ: ロマノフ家の終焉』は現在配信中。(海外ドラマNAVI)
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Netflixオリジナルシリーズ『ラスト・ツァーリ: ロマノフ家の終焉』