『NCIS』ハワイ版が放送開始!どのチームがお好み? NCIS全チーム振り返り【後編】

NCIS(海軍犯罪捜査局)の活躍を描く大ヒット犯罪捜査ドラマ『NCIS』シリーズ。ついに米国時間9月20日(月)より米CBSにてハワイを舞台にした新シリーズ『NCIS:ハワイ』の放送がスタートする。本家『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』はシーズン19へ突入し、今なお広がりを見せ、ワールドワイドに人気を博している『NCIS』シリーズの魅力に迫ります。【後編】

■音楽と美食に酔いしれる極彩色の街で事件に挑む『NCIS:ニューオーリンズ』

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『NCIS:ニューオーリンズ』(以下『NCIS:NO』)の主な舞台は、アメリカ南部のルイジアナ州、メキシコ湾に面したミシシッピ川沿いの街で、海軍航空基地を擁するニューオーリンズと、テキサス州北部のパンハンドル(回廊地帯)と呼ばれる地域。

アメリカ南部屈指の観光都市として国内外から観光客が集まるニューオーリンズは、アメリカ、フランス、アフリカの文化が融合した"文化のるつぼ"として独特の文化が形成されている街。ジャズ発祥の地として、ライブを楽しめる多くのクラブやバーがあり、ストリートの至る所でミュージシャンたちが生演奏を披露するなど音楽が根付き、クレオール料理やケイジャン料理などで有名な美食の街でもあります。

フレンチ・クオーター地区や、ジャクソン広場とアメリカ最古の大聖堂セントルイス大聖堂、セントルイス墓地などの様々な観光スポット、バーやクラブ、カフェやレストラン、マルディグラ祭のようなフェスティバルやカーニバル、パレードの中でも事件が発生。さらには実在のミュージシャンやシェフも数多く登場します。

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ご当地感満載の『NCIS:NO』らしく、ニューオーリンズ支局は有名な観光スポットであるフレンチ・クオーターのセントアン・ストリートに存在しています。外観はクレオール様式の鋳鉄製バルコニー付き建物に挟まれたレンガ作りの建物。一見すると無骨な見た目ですが、入り口から捜査本部となるメインのオフィスに入ると、モニターなどの捜査機材が並ぶ中に絨毯やシャンデリアがあったりと、まさに"文化のるつぼ"です。

モダンカントリーで異国情緒あふれる建築物の中には、取調室、極秘通話用のSCIFルーム、パットンのコンピュータールームだけでなく、噴水のある緑が生い茂る中庭もあります。さらにはプライドが寝泊まりする部屋や朝食や地元料理を振る舞うキッチンなんてものもあります。また、検視室とラボは、ロレッタが勤めるルイジアナ州ジェファーソン郡と契約することで施設を利用しています。

代表的なチームメンバーは、リーダーの"キング"ことドウェイン・プライド(スコット・バクラ)、警官をしていた頃にプライドと出会い、NCISへスカウトされた上級捜査官クリストファー・"クリス"・ラサール(ルーカス・ブラック)、元ATFおとり捜査官のソーニャ・パーシー(シャリータ・グラント)、当初はFBI捜査官としてプライドたちを内偵していたがその後NCIS特別捜査官となったタミー・グレゴリオ(ヴァネッサ・フェルリト)、さらにジェファーソン郡の検視官ロレッタ・ウェイド(CCH・パウンダー)、科学捜査分析官セバスチャン・ランド(ロブ・カーコヴィッチ)、コンピューターのエキスパート、パットン・プレイム(ダリル・"チル"・ミッチェル)。

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『NCIS:NO』の特別捜査官にとって、ジャズなどの音楽、ジャンバラヤやガンボら地元の名物料理に、様々なお祭り、そして南部に住む多種多様な人たちとの交流といった唯一無二で魅力満載のローカル文化に触れながら仕事ができるというのは大きな魅力です。

チームリーダーのプライドは地元生まれでジャクソン郡の元保安官だっただけに正義感も強く、面倒見もよい人物。自身が経営するバーでジャズの有名アーティストとピアノでセッションを披露したりというニューオーリンズっ子らしさもあります。

また、支局のキッチンでプライドが地元料理を振舞いながらミーティングを行ったり、事件解決後にプライドのバーでメンバーと祝杯をあげたりというようなアットホームなチームのため、新人メンバーでもすぐに打ち解けられそう。ただ、"キング"と呼ばれるほどの誰からも頼られる存在のため、ハミルトン市長との確執など海軍がらみではない地元犯罪などにも関わることになってしまうので、メンバーたちも無用なトラブルに巻き込まれることがあります。

 

■移動指令センターでどこでもいっしょ!全米だけでなく世界各地を飛び回る機動捜査チーム『NCIS: Red』

『NCIS:LA』で登場(シーズン4第18&19話)し、ロサンゼルス支局と合同捜査を行ったNCISの特殊部門「レッドチーム」。残念ながらシリーズ化とはなりませんでしたが、あまりにもユニークなチームなので、番外編として改めてご紹介します。

NCISの特殊部門はブルーチームやグリーンチームのようにチームを色で分類しており、その中の一つが「レッドチーム」です。機動捜査チームとして、全米のいろいろな州や海外など、NCISの支局がないような場所にも短い期間で移動し、海軍に関わる犯罪を捜査します。ロサンゼルス支局とは、雪の降るアイダホ州モスコーのような僻地で合同捜査を行いました。また、『NCIS:LA』のエピソード(シーズン4第10話)の中では沖縄で捜査していることも言及されていました。

派遣の際には、コンテナを運搬する2台のトレーラーを空輸したり、チームメンバーが運転することで移動。コンテナは「ラ・バーン」と「シャーリー」と呼ばれる移動指令センターで、各地に到着すると2台のコンテナを接続してベースキャンプを設営し、捜査に臨みます。

移動指令センターの内部はハイテク装備が満載で、ミーティングなどを行う捜査本部、ラボ、取調室があります。ただ、NCISの技術者によって設計されたハイテク移動指令センターですが、コンテナの屋根に積もった雪が解けての水漏れやトイレがつまっているなどトラブルも多いようです。

その他にも、寝室、シャワールーム、ラボと兼用のキッチンというようなチームで生活するための設備があるのが特徴的。ただ、寝室は2段ベッドとソファーベッドで占められていて狭く、シャワーも男女で共用、キッチンはラボの時間中は使えず、冷蔵庫に証拠品が入っていることもあります。

チームメンバーは、シリーズ化していればフランチャイズ初の女性リーダーになるはずだったパリス・サマースキル(キム・レイヴァー)、特別捜査官で男勝りの行動派クレア・キーツ(ジリアン・アレクシー)、特別捜査官にして法医学の専門家デイヴ・フリン(スコット・グライムズ)、技術支援のダニー・ギャラガー(ケネス・ミッチェル)とカイ・アッシュ(エドウィン・ホッジ)、そしてダニーが負傷した際に補充要員としてサポートに入った特別捜査官にして分析官のロイ・ヘインズ(ジョン・コーベット)。

『NCIS:RED』のチームは、トレーラーハウスのような場所で寝食をともにしながら移動生活をしつつ、食事係もメンバーで分担して、みんなで食事をしながらミーティングしたり、トイレの下水処理もメンバーが行うなど、キャンプ生活や旅暮らし、ルームシェア的なライフスタイルが好きな方にはピッタリのチームかもしれません。ただ、全米だけでなく世界各地を飛び回り、一カ所に長くとどまることもなく、家には帰れない、24時間体制による捜査をこなさなければならないというかなりハードな仕事内容のため、家庭持ちの捜査官にとっては大変な職場です。

チームリーダーのパリスは指揮能力も高く、銃の扱いにも長けている優秀なリーダー。合同捜査で派遣されたカレンともすぐに打ち解けるなど性格もオープンで、常に一緒という特殊な環境でもメンバー全員と良好な関係を築く理想の上司という感じです。しかし、新加入のロイとは過去にニューヨークで捜査のパートナーとして活動しており、深い因縁がある様子。この二人のようにチーム内で人間関係のトラブルがあると、常に一緒に活動する職場だけに、他のNCISチームよりも悩まされることがありそうです。

 

■アロハ!常夏ネイビー・クライム・アクション誕生!!どうなる『NCIS: ハワイ』

NCISフランチャイズで初となる女性リーダーが主人公の『NCIS: ハワイ』の舞台は、太平洋に浮かぶオアフ島やハワイ島などの八つの島からなるハワイ州。海軍の施設としては、オアフ島にあるホノルル市から近い入江のパールハーバーに、アメリカ海軍太平洋艦隊司令部のある海軍基地と太平洋空軍基地を統合したパールハーバー・ヒッカム統合基地があります。

常夏の楽園ハワイは、パールハーバー、ワイキキビーチ、ダイヤモンドヘッド、マウナケア山といった人気観光スポットや、シュリンプ料理、マラサダ、ロコモコといったハワイアンフード、サーフィンやシーカヤックにハイキングやバギーといったアウトドアアクティビティなどが揃った国内外から多くの観光客が訪れる大人気リゾート。そんな大自然に恵まれたハワイを舞台に、米海軍に関わる犯罪や国家安全保障に関わる事件に立ち向かいます。

同じCBS作品の『HAWAII FIVE-0』『私立探偵マグナム』にも数々の観光地や、地元グルメ、アクティビティが登場し、作品を彩ってきました。公開された『NCIS: ハワイ』の予告映像をみるところ、二作品同様にハワイらしさを前面に押し出してくるのではないかと思います。予告映像からの情報だけなので間違っているかもしれませんが、『NCIS: ハワイ』の捜査チームの拠点となるNCISパールハーバー支局は、『HAWAII FIVE-0』の第1話冒頭にも登場していたパールハーバー・ヒッカム統合基地にあるようです。

外観は白を基調としたハワイの建築様式らしさもある建物。内観は『NCIS:LA』『NCIS:NO』のような異国情緒があるものではなく、ハイテク機器が揃った警察のオフィスのようで、本家よりもさらに軍事施設らしい見た目のようです。また、かなりの広さがあるように見えるので、様々な施設も支局内にありそうです。

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チームリーダーは、パールハーバー支局主任として40人の捜査官を監督する立場の特別捜査官ジェーン・テナント(ヴァネッサ・ラシェイ)。16歳の息子アレックスと10歳の娘ジュリーを持つ離婚歴のあるシングルマザーで、プライベートではジュリーが入っているサッカーチームのコーチをしています。

チームメンバーには、海兵隊に入隊後、病気の父親を看病するため故郷に戻ってきたNCISの新人でサーフィンが趣味の地元出身カイ・ホルマン(アレックス・タラント)、ワシントンD.C.で警官だったが、ハワイで新生活を始めることになったジェシー・ブーン(ノア・ミルズ)は、テナントが信頼する右腕で、結婚しており、3児の父親。その他、テキサス出身でやる気に満ちたチーム最年少メンバーであり、弁護士業を目指しているルーシー・タラ(ヤスミン・アル=ブスタミ)、コミカルな性格のサイバー・インテリジェンスの特別分析官アーニー・マリク(ジェイソン・アントゥーン)。

さらに関係者として、アメリカ国防総省の諜報機関DIAに所属し、NCISとの仲介役を担っているケイト・ウィスラー捜査官(トリ・アンダーソン)、太平洋艦隊の海軍大尉ジョー・ミリウス(エンヴェア・ジョカイ)。

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ビーチや山などの大自然にシーカヤックといったハワイらしさと、爆破に銃撃戦やカーアクションなどが盛りだくさん。『NCIS:NO』の製作総指揮であるジャン・ナッシュが名を連ねているだけに、『NCIS:NO』のようにご当地感を前面に押しつつ、『NCIS:LA』ばりのアクションを掛け合わせたような作品になりそうです。

また、現在のところは他のシリーズとのクロスオーパーの予定はないそうですが、本家『NCIS』と『NCIS:LA』とのクロスオーバーや、『NCIS:LA』と『HAWAII FIVE-0』のクロスオーバーのように、『私立探偵マグナム』とのクロスオーバーも期待せざるを得ません。

(取材・文/豹坂@櫻井宏充)

Photo:『NCIS: ニューオーリンズ』© 2015 CBS Studios Inc. / TM & © 2019 CBS Studios Inc. CBS and related logos are trademarks of CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved. /『NCIS: Red』/『NCIS:LA ~極秘潜入捜査班』の公式Twitterより/『NCIS: Hawai"i』米CBSの公式Twitterより