初のストリーミング向け『NCIS』シリーズとして『NCIS:トニー&ジヴァ』の配信が日本でも開始した。長年の想いが詰まったこの作品は、まさに記念碑的な出来事といえるだろう。Tiva(トニー&ジヴァ)の魅力、彼らが乗り越えるべき壁、そして将来的なクロスオーバーの可能性について、マイケル・ウェザリーがTV Guideのインタビュー取材に応じた。その全文をご紹介しよう。
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いよいよトニー&ジヴァが復活!
トニー・ディノッゾ(マイケル・ウェザリー)とジヴァ・ダヴィード(コート・デ・パブロ)が初めて共演したのは、2005年9月20日に放送された『NCIS』シーズン3第1話。そして、今回のスピンオフが配信されるのは2025年。彼らの出会いからちょうど20周年の節目となるのだ。
しかし、『NCIS:トニー&ジヴァ』は単なる記念作ではない。CBS時代には描くことのできなかった、二人の複雑な物語が紡がれていく。ジヴァの生存が発覚し、すべての問題を解決した彼女が、安全にトニーとタリのもとへ戻るところから本作の物語は始まる。ただし、物語は直線的に進むのではなく、ジヴァが帰還した当時の詳細や、その後のトニーとジヴァの関係の変遷も振り返って描かれるという。
彼らの関係を一言で表すなら「複雑」だ。そして、それこそが本作の核心であるとマイケルは語る。「くっつく? くっつかない?」ではなく、「いつ?」という関係性。思春期を迎えた娘のタリが、二人の関係をどう見つめるのかも大きな見どころだ。

@paramountplus
――『NCIS:トニー&ジヴァ』についてファンに伝えたいことは何でしょうか? なぜこれほどまでに二人の物語が待ち望まれていたと思いますか? 化学反応か、それとも物語が未完だったからでしょうか。
両方だと思います。『NCIS』の魅力は、アビーのエネルギーやダッキーのユーモア、ギブスの父親のような存在感と仲間への信頼感と孤独な側面など、キャラクター一人一人の個性にありました。マクギーは誰にとっても“理想の友だち”でしたね。
初期のトニーは職場では“イラっとする奴”というポジションでしたが、ジヴァが登場したことで、彼に新たな一面が加わり、視聴者も彼のことをより深く理解できるようになりました。ケイトを通じて見えていた部分もありますが、チリ系の女性であるコートがイスラエル人の役を演じたことで、作品に国際的で好奇心をかき立てる要素が生まれたと思います。
それが番組を世界へと広げ、トニー自身も変わっていきました。ジヴァはトニーを理解し、周囲もその流れに乗ることができたのです。アビーは「トニーは犬みたいな人」と言っていましたね。イタズラしたりするけど悪気はなく、ただの子犬なのだと(笑)アビーがOKを出せば、視聴者もトニーを受け入れるんです。
トニーとジヴァには特別な化学反応がありました。しかし、二人の関係は未解決なまま年月が経ち、結局デートすらしないままでした。潜入中に何度かキスはしましたが、物語が未完だったことが『NCIS:トニー&ジヴァ』の注目ポイントだと思います。本編の“温かさ”や“親しみやすさ”を愛してくれたファンなら、この新しい環境の中にも同じものを感じてもらえるはずです。
――「くっつく?くっつかない?」ではなく、「いつ?」な関係だと話されていましたが、ジヴァだけでなくトニーも過去の傷と向き合わないと、二人が本当に一緒になるのは難しいのではないでしょうか?
まさにその通りです。自分の欠点も認めなければならない。自分を守る殻に閉じこもった部分を手放すことができない。手放したら何かに脆弱になる気がするから。だからトニーは、「今度こそ、彼女は消えないだろうか?知らないところで別の子どもがいるんじゃないか?」と疑ってしまうのです(笑)
一方、ジヴァは「あなたは最初から私を信じてなかったじゃない」と思っている。彼女は誰も信じられない。父親から家族の殺しを命じられたほどですから…。
――ファンは二人が結ばれる瞬間を長く待っていましたが、ドラマ開始時点で一緒ではない形で描くことについては議論がありましたか?
はい。物語は様々な瞬間を切り取りながら進んでいきます。他のキャラクターや彼らのバックグラウンドを見せるエピソードもありますし。時にドラマ自体が“信用できない語り手”でもあるのです。誰が本当のことを言っているのか分からない。トニーの親友でさえ信じてくれない。全員が疑い合っている。
突き詰めると、“信頼”とは何か? 誰を信じるのか? それは事実だけではなく“信念”でもあります。愛と信頼はそこに生まれる。だから、数字や統計だけでは解決できません。敵役もまた傷ついた人たちなのです。生まれつきの犯罪者を除けば(いるかも?)、ほとんどの人は環境に影響される。このドラマは、“人が人をどう形作るか”、そして“最良の自分になって他者を助けるか”を徹底的に描く作品です。
――親としてのトニーはどんな人間ですか?
トニーは自分がいい父親だと思いたくて、自分の父親のようにはなりたくないという思いでタリを育ててきました。でもそれがベストな方法とは限らないし、最初の数年一緒にいられなかったことへの後悔もあります。ジヴァが「戻ってきたから、これからは任せて」という態度でいることも複雑で、子どもを持つ親なら誰もが感じる感情でしょう。ジヴァもまた、娘の人生を何年も共にできなかった罪悪感や後悔を背負っていて、無意識に相手にぶつけてしまうことも……。そうした感情のぶつかり合いこそが、このドラマの奥深さなのです。

Marcell Piti/Paramount+
でも、それが『NCIS:トニー&ジヴァ』の面白いところだと思います。イッキミにも向いていますし、1話ずつ噛みしめても新たな発見があります。何度も見返したくなる知的パズル要素もありますし、感情に引き込まれるドラマです。キャラクターに恵まれ、ファンがこの関係と葛藤を楽しんでくれていることに、とても感謝しています。
――トニーとジヴァがピンチになった時、マクギーやギブスに電話しないのは不自然ではと思いませんか? それでも物語に他の仲間を巻き込みたくないという気持ちにも理解はありますが、将来的なクロスオーバーはあり得ますか?
初回の『NCIS:トニー&ジヴァ』では、まず二人が独自の世界で活動していることを描きたかったのです。より“現実味”を重視し、BGMも少なめ、強引な展開も控えめにしました。とはいえ、物足りないと感じる瞬間にはしっかり魅せます。雰囲気やテンポが違うので、例えば突然アビーが出てきたら違和感があるでしょう。この新しい世界をまず作り込み、その後に他のキャラクターを出すなら、物語に合った形にする必要があります。ちゃんと「なるほど」と納得できる描き方にしたいです。
トニーの“お調子者”ぶりも、状況によっては“演技している”ことになる。第3話「Cover Story(原題)」では別人を演じる場面もありますが、素直なトニーの姿を見たら「あの懐かしい男だ」と気づいてもらえるはずです。
――ファンへの一言をお願いします。
ファンが望むものだけでなく、まさかと思うものまですべて見せたいと思っています。
『NCIS:トニー&ジヴァ』は、Paramount+(#パラプラ)にて独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:TV Guide