世界中で社会現象を巻き起こしエミー賞を席巻した『ブレイキング・バッド』と、そのスピンオフ『ベター・コール・ソウル』の生みの親ヴィンス・ギリガンが手掛けるApple TV+の新作ドラマ『Pluribus(原題)』には、『ブレイキング・バッド』や『ベター・コール・ソウル』ファンが思わずニヤリとする“仕掛け”が潜んでいるかもしれない。
ギリガン自身が「注意深く見ればイースターエッグがあるかもしれない」と、Entertainment Weeklyに語っている。
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『ブレイキング・バッド』のクリエイター最新作『Pluribus(原題)』がApple TV+で11月に配信決定!
Apple TV+にて、世界中で社会現象を巻き起こしエミー賞 …
“幸福に支配された世界”を描く異色のSF
本作は『ベター・コール・ソウル』のレイ・シーホーンが主演を務めるSFドラマ。人類が突如「幸福」に支配されてしまった世界で、唯一“免疫”を持つ不幸な女性キャロル・スターカが、人類を救うべく奔走する姿を描く。
キャロルは、歴史恋愛小説のベストセラー作家で、華々しい書籍ツアーの最中に人生を一変させる現象に直面する。ニューメキシコの街に突如として広がったのは、人類を強制的に「楽観的で満ち足りた状態」にしてしまう不思議なウイルスのような存在。世界中が幸福に包まれていく一方、キャロルだけがなぜか“感染”を免れる。
ギリガンはこの設定について、「最も不幸な人間が、世界を幸福から救おうと必死に奮闘する。そこに多くのドラマとユーモアが生まれる」と説明している。
レイといえば、『ベター・コール・ソウル』のキム・ウェクスラー役で視聴者を魅了した実力派俳優。今回は冷静な弁護士ではなく、“世界で最も不幸な人物”という役どころを演じる。ギリガンは「彼女は笑わせることもできれば、心を打ち砕くこともできる。主演としてまさに理想的だった」とコメント。もともとは男性主人公を想定していたが、最終的にレイの才能に惹かれてキャロル役を書き直したという。
『ベター・コール・ソウル』時代から温められたアイデア
『Pluribus』のアイデアが生まれたのは10年ほど前にさかのぼる。ギリガンが『ベター・コール・ソウル』の制作中、昼休みに近所を散歩していたとき「みんなが優しく、傷つけることもできない世界」という発想が浮かんだという。
当時は漠然としたアイデアだったが、今の社会的な分断が深まる時代背景に照らすことで、より強いメッセージ性を帯びた作品に発展した。ギリガンは「今の世界だからこそ、“もしみんなが仲良くできたら?”という問いかけに価値がある」と語っている。
『ブレイキング・バッド』とのつながりは?
そしてファン最大の関心事は、やはり『ブレイキング・バッド』『ベター・コール・ソウル』とのつながりだろう。舞台がアルバカーキであること、主演がレイであることに加え、ギリガンは「画面をよく見て、耳を澄ませば、いくつかのイースターエッグが見つかるかもしれない」と明かす。具体的な内容は伏せられているが、小道具やセリフ、あるいは背景の人物など、細かな部分に仕掛けがある可能性がある。
ギリガン作品のファンなら、物語を楽しむと同時に“宝探し”のようにイースターエッグを探す醍醐味も味わえるはずだ。
『Pluribus』は2025年11月7日よりApple TV+で配信開始。初回は2話同時配信、以降は毎週金曜に最新話が更新され、最終回は12月26日に配信予定だ。(海外ドラマNAVI)