
フランス発の大人気ミステリー『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』のイギリスリメイク版となる『ペイシェンスとビー ヨーク警察文書係の事件録』が、ミステリーチャンネルにて5月25日(日)16:00より独占日本初放送。本国で今年1月にお披露目されると、先日シーズン2更新が決まった同作についてご紹介しよう。
より情感にあふれた“アストリッド”
主人公はペイシェンス・エヴァンス。警官の父親から犯罪学を学んだ彼女は、豊富な知識と優れた分析力を持ち、他の人には見えない手がかりを見つけることができるが、ヨーク警察で捜査記録の整理係として働く彼女の秘めた才能は誰にも気づかれていなかった。そんなペイシェンスの日常が、刑事ビーと出会ったことで大きく変わることに…。
リメイクなのでもちろん基本設定はオリジナルとほぼ同じだが、ペイシェンスが自閉症であることをより丁寧に描写したり、ビーが息子のことで悩みを抱えていたりと、違いもいくつか存在する。フランスのパリからイギリスのヨークへと移した舞台もその一つで、レンガ作りの建物が並ぶ中を石畳の細い路地が通るという、映画『ハリー・ポッター』シリーズのダイアゴン横丁のモデルと言われる街の風景も、オリジナルとはまた違う独特の雰囲気をもたらしている。
また、「付き合うには忍耐(ペイシェンス)が必要」と捜査記録局の同僚から揶揄されるペイシェンスのキャラクターもフランス版とは微妙に異なる。自らも自閉症を持つ新鋭、エラ・メイジー・パーヴィス(『HEARTSTOPPER ハートストッパー』)が演じるペイシェンスは、フランス版のアストリッドのように非常に几帳面だったりルールに厳格だったり想定外の事態が苦手だったりする一方、声や表情はより情感にあふれている。その結果、一見自閉症とは分かりにくく、本人も自閉症であることをわざわざ申告したがらないからこそ、周りからの理解を得られず、警察にも誤解されるというキャラクターを描くことで、自閉症について考えさせる内容になっている。
オリジナルのラファエル役に当たるビーも、もちろんまったく一緒なわけではない。仕事熱心なあまり息子のお迎えを忘れるのは同じだが、イギリス人の生真面目体質がゆえか、大雑把なところは抑えめと言える。ビー以外の捜査チームメンバーも設定がやや異なり、オリジナルとはまた別の、いわば“マルチバース”のような世界を味わうことができる。
ペイシェンス役のエラ以外のキャストは、ローラ・フレイザー(『ブレイキング・バッド』)、マーク・ベントン(『シェイクスピア&ハサウェイの事件簿』)、トム・ルイス(『ジェントルマン・ジャック 紳士と呼ばれたレディ』)、ジェイミー・マクラクラン(『窓際のスパイ』)、ライザ・サドヴィ(『リアル・ペイン~心の旅~』)、エイドリアン・ローリンズ(『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』)など。
全6話の監督を担ったのはマールテン・ムールケルケ(『テンペスト教授の犯罪分析ノート』)。脚本はマット・ベイカー(『テンペスト教授の犯罪分析ノート』)やスティーヴン・ブレイディ(『スタン・リーのラッキーマン』)が執筆する。
今年1月に英Channel4にてリリースされ、同プラットフォームにおいて配信と放送の両方で2025年ここまでのトップパフォーマンス番組となる大ヒットを記録。今月半ばにシーズン2へと更新された。
『ペイシェンスとビー ヨーク警察文書係の事件録』(全6話)は、5月25日(日)16:00よりミステリーチャンネルにて一挙放送。
(海外ドラマNAVI)
Photo:『ペイシェンスとビー ヨーク警察文書係の事件録』© EAGLE EYE DRAMA LTD 2024/© Toon Aerts/© Robert Viglasky