
イギリスはアメリカと並ぶ世界有数のエンターテインメント国家だが、その英国の大手テレビ局ITVが、フランスのマルチメディアプラットフォーム、バニジェイ・グループに買収されるという話が浮上している。米Varietyが報じた。
ヨーロッパ最大級の制作会社が誕生か
英Financial Times紙によると、フランスを拠点とするバニジェイ・グループは、ITV買収交渉の初期段階にあるという。同紙は、もしバニジェイがITVの完全買収を試みるなら、成功させるためにほかの投資家も誘うだろうと報じた。
ITV Studiosは世界最大のテレビ制作会社の一つ。『名探偵ポワロ』『アガサ・クリスティー ミス・マープル』『セルフリッジ 英国百貨店』『ハリー・パーマー 国際諜報局』v『偽りの銃弾』といった人気ドラマを生み出し、本年度のBAFTA賞(英国アカデミー賞)にノミネートされた『Rivals(原題)』や『ミスター・ベイツvsポストオフィス』も制作。一方のバンジエイは、映画版が作られたことも話題の人気ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』などを手掛けている。
ITV Studiosの将来と売却先候補については、様々な憶測が飛び交っている。今年初めにジェフ・ザッカーCEO率いるアブダビ資本の投資グループのRedBird IMIが、2024年にRedbirdが14億5000万ドル(約2070億円)で買収したAll3MediaとITV Studiosの合併をめぐってITVと協議を行ったという報道があったが、実現には至っていない。もしこの合併が決定したら、ヨーロッパ最大級の制作会社が誕生することになる。一方のバニジェイは、2020年にオランダのエンデモル・シャイン・グループを22億ドル(約3140億円)で買収し、世界的なテレビ大企業となった。
ITVは最近、スタジオ部門が分社化される可能性があるというニュースを受けて株価が上昇し、その価値は40億ドル(約5700億円)以上になっている。今回の報道について、バンジエイとITVの双方は、現時点ではコメントを発していない。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Variety
Photo:『名探偵ポワロ』© ITV PLC