
日本唯一のミステリードラマ専門チャンネル、ミステリーチャンネルで5月10日(土)16:00より独占日本初放送となる英国ミステリー『ヴェラ~信念の女警部~』のファイナルシーズン。それに先駆けて、このシーズン14第1話の最速試写会&ミニトークショーが4月24日(木)に都内で開催された。
実は打ち切りの危機に見舞われたことも…!
英ITVにて2011年にスタートした『ヴェラ~信念の女警部~』は、英国推理作家協会賞受賞作家アン・クリーヴスの原作小説を映像化。イングランド北東部のノーサンバーランドを舞台に、仕事中毒で部下に厳しい鬼上司的な刑事ヴェラが、人間の心の機微を読み取りながら事件の真相に迫っていく。ミステリーチャンネルでは2012年より放送し、強烈なキャラクターでありながら人間味あふれる主人公ヴェラの魅力、緻密で先の読めないストーリー展開、そして癒やしと希望の光を覗かせるラストシーンで、多くの視聴者を魅了してきた。
試写会では、本国イギリスで今年1月に放送されたばかりのファイナルシーズン第1話「錯綜する2つの事件」を上映。シリーズフィナーレの1話前に当たるこのエピソードは、ヴェラやジョー、ケニーらおなじみの面々が引き続き登場しながらも、次回に向けて気になる要素がいくつも盛り込まれ、続く最終話がますます気になる内容となっていた。
そして試写会後には、今冬刊行予定の<ヴェラ・スタンホープ警部シリーズ>翻訳本を手掛ける東京創元社アン・クリーヴス担当編集者の宮澤氏とミステリーチャンネル編成制作部部長の秋山氏が登壇し、ミニトークショーを実施。小説、ドラマから見えるヴェラ像について語り合った。
まずは、事前に取っていたアンケート結果が発表に。「『ヴェラ~信念の女警部~』の好きなところは?」という質問に対する回答のトップ5は以下の通り。
<『ヴェラ~信念の女警部~』の好きなところアンケート結果発表>
1位 ヴェラの人間性
2位 イングランド北東部の景色
3位 ヴェラと部下との関係
4位 本格的な推理が楽しめるところ
5位 ヴェラとヴェラの家族との関係
<ファンの声>
「皮肉を言ったりするけれど内心は思いやりがあり、部下も彼女の本心を知っていて、その関係性がとても好きです」
「イングランド北東部の寂しい景色や人々の訛りも独特な世界観を作り出していて惹かれます。いつかロケ地巡りをしたいです」
「決してパーフェクトな人間ではないけれど、辛辣な言葉の隣にある温かさを感じられるヴェラの人柄が好きです」
「事件解決に向けてひたすら真実を追究しようとするヴェラの信念に感動します」
このアンケート結果に秋山氏は次のように反応した。「1位(ヴェラの人間性)は想像通りです。というのも、ミステリーチャンネルでは(ドラマを買う際に)主人公の人間性をものすごく重視しているので、人間性を評価してもらえたのは編成冥利に尽きます」
過去13シーズンをここ最近一気に見直して、夢のBGMが『ヴェラ』のテーマソングになるくらいだと語る秋山氏は、ヴェラの特徴や人となりに言及。ヴェラのトレードマークといえば、帽子、トレンチコート、マフラー、花柄だが、実は帽子を本格的に被るのはシーズン3からであること(被る理由は小説に書かれている)や、花柄は同じように見えて実は微妙に異なることといったディテールを紹介。また、ヴェラがよく部下のサンドイッチなどを横取りする印象だが、実はジョーとエイデンのものしか食べていないとも指摘した。
そんなヴェラの人間性を現す台詞の数々も紹介される中で、彼女の口癖の一つ、「pet」(親しみの意味もあるが、嫌味に使うこともある)がどんなに頻出しているかも明らかに。原作小説にも出てくるこの言葉をドラマで何回ヴェラが言っているのかを秋山氏が数えたところ、全56話でなんと通算412回! 14回と特に多いエピソード(シーズン11第4話「家族の秘密」)のpet14連発をまとめた特別映像も流された。秋山氏によれば、この言葉もシリーズ最終話のポイントの一つとのことなので、ぜひ聞き逃しのないようにしてほしい。
そんなシリーズフィナーレに当たるシーズン14第2話「旅立ちの時」は、実はシーズン1第1話「海に消えた秘密」に通じる物語であるという。「涙腺が崩壊するような話が出てくるので、最終話を見る前にぜひ初回を見直してください」と秋山氏はファンに呼びかけた。
ドラマ初回のもととなったアン・クリーヴスの原作小説シリーズ3作目「Hidden Depths(原題)」が冬に東京創元社より刊行予定だが、その経緯とは何だったのだろうか? 東京創元社の宮澤氏によれば、もともと同じクリーヴスによるジミー・ペレス・シリーズ(『シェトランド』の原作)が英国推理作家協会賞にノミネートされたことをきっかけに同シリーズの存在を知り、翻訳することに。のちにヴェラのシリーズがあることも知ったが、まずはジミー・ペレス・シリーズをきちんと出すことを優先。そちらが完結したので、この度、満を持してヴェラのシリーズに取り掛かることになったという。
宮澤氏はさらに、小説とドラマの相違点・共通点を解説。例えば、ヴェラの身長(原作ではもっと高い)や一部のキャラクター(ドラマのケニーに当たるキャラはおらず、チャーリーという小説キャラがモデルか)が異なる一方、ヴェラの父の鳥に対する趣味は同じとのこと。
イベント終盤には、ファンからヴェラへ向けた熱いメッセージの数々も紹介された。
なお、ミステリーチャンネルの編成におよそ13年にわたり身を置き、「ヴェラとともに生きてきた」という秋山氏は最後に、『ヴェラ』が実は打ち切りの危機にあったという裏話も打ち明けた。万人向けの作品ではない『ヴェラ』は当初なかなか支持を得られず、視聴率が上がるまで7年かかることに。そのため、シリーズ途中で打ち切りの話もあがる中、編成制作部全員で作品を守って、こうして晴れて14年目を迎えることができたという舞台裏を語った。「皆さんが支えてくださったおかげです。皆さんがいなければ私も会社を説得できなかったので、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました」とファンに感謝していた。
『ヴェラ~信念の女警部~』シーズン14(全2話/字幕版)はミステリーチャンネルにて5月10日(土)16:00より独占日本初放送。続いて同日19:40よりドキュメンタリー『お疲れ様!わが友ヴェラ~14年の歴史を振り返る』(全1話/字幕版)が放送される。その前に、5月3日(土・祝)6:00からは『ヴェラ~信念の女警部~』シーズン1~13(全54話/字幕版)が一挙放送。
(海外ドラマNAVI)
Photo:『ヴェラ~信念の女警部~』ミニトークショー(左から、ミステリーチャンネル編成制作部部長の秋山氏と、東京創元社アン・クリーヴス担当編集者の宮澤氏)/『ヴェラ~信念の女警部~』© ITV Studios Limited 2024