大ヒットドラマ『ウォーキング・デッド』の人気キャラクターであるダリルのその後を描くスピンオフドラマ『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』(以下『ダリル・ディクソン』)がU-NEXTにて独占配信中。2023年秋にお披露目されたシーズン1に続いて、シーズン2のリリースが控える同作で主演・製作総指揮を務めるノーマン・リーダスを直撃! 『ダリル・ディクソン』の裏話やシリーズでもう一度会いたいキャラクターについて語ってもらった。(※本記事は、『ダリル・ディクソン』シーズン1やシリーズのほかの作品のネタバレを含みますのでご注意ください)
嬉しいサプライズの舞台裏とは
――『ダリル・ディクソン』のダリルは本家『ウォーキング・デッド』時代よりもさらに強くなり、まるで『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーのように絶対に死なないキャラクターのように見えます。あなた自身が本家と『ダリル・ディクソン』でダリルを演じる際に何か演じ分けていたり、意識を変えたりしたところはあるのでしょうか?
『ダリル・ディクソン』ではオープンな姿勢でいるように心がけた。長く続いて大きく成長してきた本家のフォーマットから抜け出して、このシリーズはまるでインディペンデント系の映画のように、まったく新しいものとして作ったんだ。本家とはロケーションもクルーも変えながら、アメリカ人が単に別の国にやってきたというのとは違う風にした。新たに作り直したんだ。みんなが大好きなキャラクターを二人連れてきて、新たに用意した環境で何ができるかを試した。いいリスタートが切れたと思うよ。
――『ダリル・ディクソン』では主演のほかに製作総指揮も担当されていますが、出演に専念していた頃と役割はどのくらい変わりましたか? 俳優とプロデューサーとしての仕事の割合は50%:50%くらいですか?
最初はプロデューサーが90%で、俳優が10%だった。まずはプロデューサーとして、キャスティングやロケーションの選別に加わったり、脚本の草案をチェックしたりしていた。ショーランナーや脚本家が変わる中、僕はシリーズに長年出ていてキャラクターのことを知り尽くしているからね。俳優としては、その時期はほかのキャストと読み合わせをしたくらいだ。そして撮影が始まると、基本的には俳優に専念した。その時の割合は俳優が95%で、プロデューサーが5%くらいかな。
――この作品はシリーズ初の国外設定ということですが、その場所にフランスを選んだのはあなたにとってこの国がなじみ深いからでしょうか?
フランスを選んだのは僕じゃない。ある日、(製作総指揮を務める)スコット(・M・ギンプル)が僕と(キャロル役の)メリッサ(・マクブライト)に電話してきたんだ。本家の撮影が終了するよりかなり前のタイミングでね。だから、僕とメリッサは最初、しばらく別の冒険(『ダリル・ディクソン』)に出てから、また本家に戻ってくるんだろうと考えていた。でもそれから3週間後に本家が終わると知らされ、僕たちは(本家終了後に)『ダリル・ディクソン』で続けることになったんだ。
僕はフランスを選んでいない。インターネットでそういう風に言われているかもしれないけどね。僕が選ぶならコスタリカにするよ。あそこには家があるし、暖かいから。
――ダリルはフランス語がほとんど喋れませんが、あなた自身はフランス語はどのくらい話せますか?
まあまあ喋れるよ。流暢ってわけじゃないけどね。『ダリル・ディクソン』開始当初のダリルはまったく話せなかったけど、シーズン2では少しは話せるようになっている。シーズン1でのダリルは、相手が何を言っているのかも道の標識や張り紙に何が書かれているのかも分からずに、出会った相手が友好的なのか敵対的なのかも分からない中で、必死にボディランゲージでやり取りしていたけどね。
――『ウォーキング・デッド』シリーズから数えて10年以上出ているダリルは、初登場の頃から大きく成長してきました。このキャラクターを長年演じてきたあなたから見て、ダリルが最も成長したのはどんなところだと思いますか? 逆にこれからもっと成長しなければならないと考えているところは?
長年かけてこのキャラクターを成長させてきた。当初のダリルは短気で喧嘩っ早くてイライラしていたけど、シーズンが進むにつれて主要キャラクターたちが何人も去っていく中、ダリルが周りの仲間から学ぶようにしたんだ。例えばハーシェルなら、リックならこの状況にどう対処するかということをね。昔のダリルはとにかく…(クロスボウを撃つ仕草をして)好戦的だったから。周りの人たちのいい影響を受けて成長していったんだよ。
もっと成長すべきところはハートの部分かな。ダリルはある程度は周りの人を受け入れるけど、全部じゃない。彼も頭のどこかで、(人と心の底から理解し合う)チャンスを逃しているとは感じているだろう。
――『ダリル・ディクソン』はそもそもダリルとキャロルが主役となるはずが、撮影開始直前にキャロル役のメリッサは出ないことになったと報じられたので、第6話でキャロルが登場したのは嬉しいサプライズでした。メリッサは出ないという報道はサプライズのための引っかけだったのでしょうか? それとも意図せずそういう流れになったのでしょうか?
サプライズになって良かったよ。メリッサとキャロルは最初からずっとこの番組の一人だ。最初の脚本が書かれるよりも前の段階からね。メリッサと一緒にスピンオフシリーズをやるチャンスを得た時、メリッサには個人的にやるべきことがあった。だからそういう風に発表したんだ。(キャロルが出るということは)なるべく隠すようにした。「The Book of Carol(原題)」というサブタイトルが付くシーズン2は、もっとキャロルの話になるよ。
――この情報社会において、お披露目までキャロルの登場を秘密にできたことは凄いですね。どのように秘密を保ったのですか?
君たちに言わないこと(笑) ネタバレになるからね。
――『ダリル・ディクソン』シーズン2ではいよいよキャロルが本格参戦しますね。新たに「The Book of Carol」というサブタイトルも付きますが、この新シーズンはどのような展開になるのでしょう?
サブタイトルの通り、シーズン2ではキャロルの話になる。…これ以上は言えないな。サブタイトルから想像して、期待しておいてくれ(笑)
――ダリルとキャロルの比率は? 50%:50%ですか?
…多分、キャロルの割合がもう少し多いかな。よくは分からない。ダリルとキャロル、それぞれのストーリーが展開することになるんだ。
リックとはお互いが老けた暁に再会!?
――『ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ』にカールが出てきたように、シリーズでは亡くなったキャラクターが回想などで再び姿を見せることもあります。劇中で死んでしまったけれども、あなたがもう一度会いたい人は誰ですか?
グレンがいいかな。ハーシェル、シェーン…また会いたい人はたくさんいるよ。ダリルは彼なりに、彼らの死を称えて前に進んでいるけどね。メルルともまた会えたらいいね。シリーズの最後か何かでみんなで会えたら素敵だろう。スコットがいつかやるって言い続けてるけど、これまで出演したキャストたちがリユニオンという形で再会できたら最高だね。
――生き別れとなった仲間との再会が本シリーズの醍醐味かと思いますが、今後ダリルとリックが再会する可能性はありますか?
分からないな。何も書かれてはいないんだ。僕自身はそういう展開について書かれた脚本を読んだことも、アイデアとして聞いたこともない。そういうことができたらいいなって話くらいならしているけどね。
――実現したら嬉しいですか?
アイツのことは嫌いなんだ。冗談だ。大好きだよ。実現すればもちろん嬉しい。ちょっと変な気がするだろうけど。あとは、もしも叶うなら“ドッグ”にまた会いたいね。リックとの再会は、もしかしたらお互いがすごく老けた暁に実現するかもしれない。もしかしたら、の話だけど。実現すれば楽しいだろう。
――本家に出ていたキャラクターが主役のスピンオフとして、リックとミショーン、ニーガンとマギー、ダリルとキャロルが主役の3本がこれまで作られています。今後新たに作るとしたらどのキャラクターが主役のものがいいと思われますか?
ゲイブリエルだな。最高の“オモチャ”(マチェーテ)を持ってるから。神父で片目でマチェーテを持ってるキャラクターは魅力的だよ。彼は教会を守るために信じられないようなことをしていたわけだけど、結局は自らの手で教会を葬ることになった。そんな彼の物語は掘り下げ甲斐があるだろう。
――本家のシーズン10第18話「俺を見つけてくれ」でダリルはリアにリックのことを兄弟と説明していました。彼には実の兄メルルもいますが、あなたがもし兄に選ぶならリックとメルルのどちらがいいですか?
メルル。リックはいい奴だけど、彼は大丈夫だろう。メルルのことは救ってあげられると思う。
―――これまで『ウォーキング・デッド』シリーズに出てきたウォーカーの中で特に印象に残っているのは?
『ダリル・ディクソン』に出てきたウォーカーは印象的だったな。ダンサーたちがウォーカーを演じてくれたんだ。彼らは身体の曲げ方も動き方も独特で、中にはアスリートもいた。あれは印象的だったね。
―――『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』をまだ見ていない方に向けて、オススメコメントをお願いします。
『ウォーキング・デッド』の魅力が詰まった作品だよ。ただし、本家と舞台や文化は異なるし、ライティングや色使い、サウンドも別物だ。本家と同じものは作りたくなかったから、まったく新しい作品になっている。そして出演者も最高だ。クレマンス・ポエジー、ルイ・ピュエシュ・シグリウッツ、エリック・エブアニー、ロメイン・リーバイ…。トーンも感覚も一新されているけど、本家当初のように惹きつける魅力にあふれている。
シリーズが好きな人はもちろん、もしシリーズが好きじゃなかったり、見たことがなかったとしても、ここから始めてもいい作品だよ。
『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』シーズン1はU-NEXTにて独占配信中。
(海外ドラマNAVI)
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Photo:ノーマン・リーダス/『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』©2023 Stalwart Productions LLC.