ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)が、ライバルであるNetflixに、米HBOの複数のオリジナルコンテンツの放映権の付与を検討しているという。その契約が成立すれば、NetflixでHBOの作品が楽しめることになる。
競合とオリジナルコンテンツを共有?
米Deadlineによると、最初にNetflixへの権利付与が検討されているドラマシリーズは、2016年から5シーズン続いた、イッサ・レイがクリエイター・主演を務めたコメディ『インセキュア』。内部関係者は、現時点でHBOとNetflix間で契約は成立しておらず、決裂する可能性も残っていると強調しているが、いずれにせよ、この動きはプレミアム有料放送局の大きな戦略転換を意味していると言えるだろう(AmazonもHBO作品の放映権を所有しているが、その契約が結ばれたのはAmazonがオリジナルコンテンツを作り始める前)。
契約が成立した場合、『インセキュア』は非独占的に配信され、変わらずMaxでも視聴できる。すでに本シリーズは、WBD傘下のケーブル局OWN(オプラ・ウィンフリー・ネットワーク)でも放送済みだ。
WBDのCEOデヴィッド・ザスラフは就任早々、収益を上げるために作品の独占権を放棄し、コンテンツをシェアすることに前向きであることを示唆。同氏は企業のコスト削減計画を続けながら、同社のライブラリーを収益化する新たな方法を模索しており、今年初めには『ウエストワールド』などの作品の放映権を、RokuやTubiといった無料配信プラットフォームに与える動きを見せていた。
なお、WBDはコスト削減の一環として、傘下の映画専門チャンネルTMC(ターナー・クラシック・ムービーズ)を含む複数の会社でレイオフを実施すると発表。ザスラフ氏は、映画ネットワークの将来について話し合いたいとの理由で、クラシック映画の保存と修復を目的とする非営利団体「フィルム・ファウンデーション」の主要関係者であるスティーヴン・スピルバーグとマーティン・スコセッシ、ポール・トーマス・アンダーソンという3大巨匠と連絡を取り、会合の場を設けたとも伝えられている。
WBDにてコスト削減と新たな方法で収益倍増を目指すザスラフ氏が押し進める戦略下で、HBOオリジナルコンテンツの放映権がNetflixへ本当に与えられる運びとなるのだろうか。今後の進展に注目しておきたい。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Deadline
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