性や結婚、夫婦関係を赤裸々に描くNetflixオリジナルシリーズ『セックス/ライフ』。本作で描かれるこれまでタブーとされてきたドラマでの妊娠中のベッドシーンの持つ意味について英Digital Spyが報じた。
今まで避けられていた妊婦のセックスシーン
『セックス/ライフ』の主人公は、誠実でハンサムな夫と二人のかわいい子どもに恵まれながらも、過去に激しいセックスと恋愛に身を焦がした元恋人ブラッド(アダム・デモス(『恋の予感?! ~ホテルリノベ奮闘記~』)を忘れられないビリー(サラ・シャヒ『パーソン・オブ・インタレスト』)。そんな、過去を引きずる彼女がブラッドと楽しんだ思い出を日記に綴っていたのだが、それを夫が読んでしまう...というストーリー。
妊娠中にホルモンの分泌が盛んになることと、スクリーンでの妊婦のベッドシーンを描くことは別の話だ。エンタメ界のクリエイターたちは、ベッドシーンでの女性か、妊婦の女性かのどちらかでしか普段は描かない。『フレンズ』のレイチェル(ジェニファー・アニストン)の妊娠中を思いだしてもらえばそれがわかるだろう。妊婦にとってセックスはほとんど議論されることさえなく、現実でも妊娠初期か後期のみに限定されている。
レイチェルがロス(デヴィッド・シュワイマー)を誘惑しようとするシーンは、このことを集約しているといえる。「ケチャップの瓶のようなものだと思って。何かを出すために叩かなければならないだけ」とレイチェルは言う。「セックスの時に考えたい“叩く”例じゃないけど、まあいいや」と。さらにレイチェルはこうフォロー。「それだとセクシーじゃないわね」と。もちろん『フレンズ』はコメディだが、これは妊婦の最も重要な物語であり、それを逆手に取るべき時なのだ。女性は多面的で、三次元的で、複雑な存在だ。光り輝き、イライラし、ホルモンで疲れ果て、それでもなおセクシーであることができる。
女性にとって大きな意味を持つリアルな表現
『セックス/ライフ』で描かれる妊婦のセックスシーンは、その証拠なのだ。ブラッドの愛情を疑っているジジ(ウォーリス・デイ『クリプトン』)だが、一つだけ確かなことがあるとすれば、それは彼女のフェム・ファタール的な性力だ。彼女はブラッドに「本当に私と一生一緒にいたい? あなたの心の中にいる女性が私一人であることを確認するため、どうすればいいか知っている」と言い、セックスでビリーに勝つという彼女の自信は、まったくもって説得力がある。
人生の特別な時期にある女性のそうした側面は、主流メディアから押し出されるべきではない。ありふれた日常の中に折り込まれるべきなのだ。ジジがブラッドの手を取り、大きくなったお腹の下で彼の指を操るシーンは、テレビの歴史に残る瞬間だ。彼は指を突き出し、その動きで彼女のお腹を少し持ち上げる。このシーンは、今までの作品が見せてきた他のセックスシーンと同じように、興奮させるためのものではない。ブラッドの上で揺さぶられる彼女の胸が、お腹と一緒に円を描くように動いているのは、意味がある。妊婦は女性であり、欲望することもされることも可能で、セクシーでセックスする人間なのだ。目を閉じて、お腹がふくらんでないと想像するセックスでもない、リアルなものなのだ。ジジとブラッドの恍惚としたうめき声と、彼のうっとりしたまなざし、そしてさまよう手は、このような点を強調している。ビリーに二度と会わないようにと要求するジジの大きなお腹から、彼の手は遠ざかることはない。官能的に落とされた柔らかな照明の下で、ジジは間違いなくブラッドにとっての唯一の女性だった。
Netflixオリジナルシリーズ『セックス/ライフ』シーズン1~2は独占配信中。(海外ドラマNAVI)
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Photo:Netflixオリジナルシリーズ『セックス/ライフ』シーズン1~2