Z世代が好むドラマは『ゴシップガール』より『ユーフォリア』

その時代が色濃く出る青春ドラマ。2000年代に一世を風靡し、いまもなお高い人気を誇る『ゴシップガール』に対しZ世代は2019年に配信されるやいなや衝撃を与えた『ユーフォリア/EUPHORIA』の方を好む傾向にあるという。UCLAによる研究結果をIndie Wireが伝えている。

Z世代が好むコンテンツの内容とは?

UCLAことカリフォルニア大学ロサンゼルス校のthe Center for Scholars & Storytellersは、現代の若者が『ゴシップガール』のような裕福で名声のある人物たちを描いた憧れの強いドラマよりも、家族問題や社会正義といった現実世界の問題を含むコンテンツを見る方を好むという新たな研究結果を明らかにした。

この調査が行われたのは7月にUCLAのプロジェクトに参加した13歳から18歳の若者662名。うち4.4パーセントが「憧れの強いコンテンツを見ることを好む」のに対し、21パーセントは「社会に影響を及ぼしている現実問題(組織的な不正や気候変動など)を見ることを好む」と回答。最も多かった答えは「コンテンツをみながら楽しむ、逃げる」で37、38パーセントだった。これは名声と経済的成功が若者の優先順位の上位にあるという 2000年代初期に行われた研究結果とはまったく異なるもの。

作品の系統では「自分自身のものとは異なる人生を描き、希望に満ちた高揚感のあるもの」をみたいという声が最も多く、次いで友情などを描いたストーリー、第3位にはスーパーヒーローもの、第4位にはメンタルヘルスに関するストーリーが選ばれた。

「ハリウッドは、若者は裕福で名声のあるキャラクターを描いた華やかな世界を見たいだろうという考えの元、若者向けのコンテンツをつくってきました。しかし私たちの研究結果は真実がその逆であることを示しています」と研究を率いた心理学者のヤルダ・ウールスは言う。「こうした調査や若者向けドラマの研究から、若者の大多数は孤独を感じ、メディアが正確なアイデンティティ表現に欠けている時、不安を感じる傾向にあることを我々は知っています。この調査結果はハリウッドが気にするべき、重大な変化です。アメリカの若者たちは、異なる生活を送る人々を見ることを好む一方で、現実世界について知るべきことを反映したメディアに価値を見出します。10代の若者は真の多様性、共感できるキャラクター、心温まる体験に特徴づけられる世界をメディアが見せてくれることを求めています」

今後のハリウッドの傾向も変わっていくか…

こうした調査結果を踏まえると『ユーフォリア/EUPHORIA』の人気ぶりも納得。若者が求めている現実を描いているのだから、若者からの評価も高くなるはずだ。ジュールズ役のハンター・シェーファーは過去にThe Cutのインタビューで「ここ数年、善人たちの話は見たくないことに気が付いた。似たような経験があるかしら?だから『メディア王 ~華麗なる一族~』は成功したんだと思う。だって登場人物みんな超えげつないもん」と話していた。求めていたものをみられる喜びは大きいもの。ハリウッドはターゲットのニーズに関する情報をアップデートして作品作りに活かすことが求められている。

本記事で話題に上がった『ユーフォリア/EUPHORIA』『ゴシップガール』はU-NEXTにて独占配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ユーフォリア/EUPHORIA』© 2021 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc. 『ゴシップガール』©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.