米NBCで最終回が放送されてから早18年。『フレンズ』は今なお愛され続け、最も成功したシットコムの1作となったが、“多様性の欠如”という点において常に議論されている。韓国出身のダニエル・デイ・キム(『HAWAII FIVE-0』)は、自身が『フレンズ』のファンであるとした上で、作品の表現力の欠如について率直に語った。
韓国で生まれ、1歳の時にアメリカへ移住したダニエル。役者としては大ヒットサバイバルドラマ『LOST』のジン・クォン役や、人気犯罪捜査ドラマ『HAWAII FIVE-0』のチン・ホー・ケリー役として知られる。2013年には制作会社3ADを設立し、韓国の人気ドラマをリメイクした医療ドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』には製作総指揮として参加。過小評価されているキャラクターやストーリーを取り上げたコンテンツの開発に力を入れている。
そんな彼が、最近の米Esquire誌のインタビューの中で、家庭の中でのテレビ・映画の見方について言及。子どもたちにはアジア人が出てきたら注目するようにさせているといい、そうすることで作品の多様性を把握しやすくなっているという。
「マイノリティが出てこない作品でも同様のことを行い、“とても同質的なキャストだ”と話すのです。私の子どもたちは繰り返し見るほど『フレンズ』が大好きなんですが、“どうしてこのニューヨークではみんな白人なの?”と尋ねてきます。私は“考えてくれてありがとう”と返します。それは本当のことですよね。あの番組は大好きですが、多様性に関しては…、ある意味挑戦的だったと思います。私たちは、私たちの目を通して、すべてのエンターテインメントを見ることが重要です」
『フレンズ』はメインキャストのジェニファー・アニストン(レイチェル役)、デヴィッド・シュワイマー(ロス役)、マット・ルブラン(ジョーイ役)、リサ・クドロー(フィービー役)、マシュー・ペリー(チャンドラー役)、コートニー・コックス(モニカ役)らが白人であるだけでなく、ほとんどのレギュラーキャスト、ゲストスターが白人で構成されており、それはニューヨーク市の実際の有色人種人口を考えれば不自然なことなのだ。
シーズン4で博物館のツアーガイドとしてジョーイの同僚となるロンダ役を演じたシェリー・シェパードは、昨年の米Peopleのインタビューで『フレンズ』の多様性問題について言及しており、彼女と同様の有色人種のキャラクターが他にいないニューヨークを見るのは辛かった、と告白。また、『フレンズ』の共同クリエイターであるマルタ・カウフマンもCNNのドキュメンタリーシリーズ『History of the Sitcom(原題)』でこの問題について触れ、シリーズにおける表現が欠けていたことを認めている。彼女によれば、この問題は時代と彼女自身の無知により生まれたものだといい、当時は「黒人の番組があり、白人の番組があった。異人種間の番組は多くなかった」と述べた。一方で、ロス役のデヴィッドは当時からこの問題を認識しており、自分のキャラクターが有色人種の女性とデートするように働きかけていたという。
多様性という言葉が飛び交うようになった現在においても、まだまだ改善されるべき問題は残されており、ダニエルの呼びかけは私たちに大切なことを意識させてくれる。(海外ドラマNAVI)
Photo:ダニエル・デイ・キム©NYKC/FAMOUS