【お先見!海外ドラマ日記】『Glee』クリエーターも参考にしてほしい名作青春ドラマ『Friday Night Lights』

好みは人それぞれなれど、この5年間で米ネットワーク(NBC、ABC、CBS、FOX、CW)にて放送されたドラマのうち、ベスト3に入る優秀ドラマではないでしょうか、私の中ではベスト1かもしれません、それが『Friday Night Lights(原題)』です

ただいまNBCでシーズン5を放送中、7月に最終回を迎えます(正式にはDirecTVで先行放送済)。日本では放送もDVD発売もされてないのは、日本で不人気のアメリカン・フットボールがテーマのひとつとなっているからでしょうか? まあ、そうだとしても、仕方ないのかもしれませんね。こちらでも"アメフトのドラマ"のイメージが強く、女性ファンが増えなかったのか、シーズン1からずっと視聴率は低かった。ただドラマの出来が素晴らしいので、なんとかここまで打ち切りを逃れていました。

『Friday Night Lights』は、同名映画(邦題『プライド 栄光への絆』)のTV化です。映画を監督したピーター・バーグがTV版の製作もしています。映画も高い評価を受けましたが、TV版も負けてはいません。むしろジェイソン・ケイティムズ(『ロズウェル/星の恋人たち』製作総指揮者の一人)という天才TVドラマプロデューサーの参加により、一層、ストーリーが開花した感さえあります。ケイティムズのドラマはキャラクターの"息吹(いぶき)"を感じさせてくれるのです

内容を簡単に説明しておきましょう。テキサスの田舎町ディラン。見渡す限り地平線のような小さな町には楽しみがひとつしかありません、高校アメリカン・フットボール部パンサーズの活躍です。名門パンサーズのヘッドコーチに就任したエリック・テイラーを中心に選手、そしてその家族たちの人間模様が深く描かれています。(ちょっと簡単すぎるかな、笑)

最後になぜ、私は見出しに「『Glee』クリエーターも参考にしてほしい」とつけたのか? それは、このドラマほど、レギュラー・キャラたちの移行(入れ替わり)をスムーズにこなしたドラマを、私はこれまで見たことがないからです。ドラマナビのニュースによれば、2012年には『Glee』の生徒の入れ替えがあるそうですね。3シーズンもそのドラマに出演し、ファンを開拓した人気キャラを入れ替えるのは、制作陣にしてみれば、相当勇気のいることです。それをしなかった『ビバヒル』はキャラをそのまま生かして、"高校白書"から"青春白書"の設定に移行させたのだし(そして退屈にしたのだし)。

『ビバヒル』とは正反対に、『Friday Night Lights』は舞台を高校アメフト部から変更することは考えられませんでした。その代わり、人気キャラに成長した高校生たちを徐々に"卒業"させていったのです。そして肝心なことは、その後に続く、"新入生"たちを見事、"先輩"たちにも劣らぬ素晴らしいキャラに作り上げたということです。

ちなみにその"先輩"たちとは、『グッド・ワイフ』のスコット・ポーター新『チャーリーズ・エンジェル』主演のミンカ・ケリーです。彼らを人気スターに育てた後、卒業させたのですから、いかに『Friday Night Lights』が、「スターありき」のドラマではなく「ストーリーありき」のドラマかということが分かっていただけるでしょう。

願わくば『Glee』もそうであってほしい。他の学園ドラマも同じです。そして実力をつけた若いキャストたちが新しい舞台で羽ばたくのを応援したいと思います。(海外ドラマNAVI)

 

Photo:ジェイソン・ケイティムズ(1枚目)、スコット・ポーター(2枚目・左)ミンカ・ケリー(2枚目・右) (c)Megumi Torii / www.HollywoodNewsWire.net