メールや通信履歴などの個人情報を政府機関が大規模に収集する事態を、見事に言い当てたことで話題になっている『パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット』。これを受けて、アメリカで秋に始まるシーズン3はどうなるのか、番組クリエイターのジョナサン・ノーランが語った。
この発言は、米サンディエゴ市で今月開催されたイベント「Comic-Con International: San Diego 2013」(コミコン)のパネルトークで飛び出したもの。"SFファンからSFドラマと見なされていないことについてどう思いますか?"と来場者から質問されたノーランは、次のように答えている。
「これはSF番組だと胸を張って言えるよ。僕は大のSFファンなんだ。SFファンのコミニュティが『パーソン・オブ・インタレスト』をSFドラマとして認知していないのは、ひとつには、描かれていることが真実だと感じ取っているからだと思う。でも、番組のもつSF的な側面を僕らは本当に気に入っている――例えばサイバーパンク的なところとかね。現実が番組の内容に追いついたいま、シーズン3はさらにそうした(SF的な)領域へと向かわせていくことを目標に掲げているんだ」
さらにノーランは、番組の立ち上げ時点では本当のテーマを隠していたことを明かし、次のように続けた。「ミーティングの最中に"本当のテーマは何ですか?"と訊かれたので、ちょうどいい機会だから答えたんだ。"これは人工知能についての作品。私たち人間が人工知能とどのように関わり、そして、人工知能が人間に悟られぬままどのように世界に浸透していくのかを描く番組だ"とね」
人工知能は決して目立った動きは見せないが、人間が予期せぬ方法で徐々に社会に入っていく。気づいたときには社会構造と一体化し、本体を見定めることも、何が起きているのかを知ることもほぼ不可能になっている――というのが、ノーランの抱いてるイメージだとか。「僕はこのテーマに魅了されたし、ありがたいことに、視聴者も同じだったみたいだ。今後もこの方向で継続して、番組のもつ哲学的な側面で問いを発していきたいと思っているよ」と本人は締めくくっている。
テーマが明瞭になり、ついに現実とも交差した本作。シーズン3はさらにSF的な方向に引っ張っていくというノーランだが、ことによると本作は、情報社会の未来をまたも予知してしまうのかもしれない。(海外ドラマNAVI)
Photo:『パーソン・オブ・インタレスト』
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