(※本記事はシーズン7前半までのネタばれを含みますのでご注意ください)
大人気シリーズ『ウォーキング・デッド』でユージーン役を演じているジョシュ・マクダーミットが映像配信サービスdTVのイベントで来日。ドラマの中では他人とのコミュニケーションが苦手で不用意な発言もしてしまうユージーンだが、演じるジョシュ本人は真逆のタイプ。意外な役作りのルーツから、シーズン7後半の注目ポイントまで、たくさんのエピソードを語ってくれた。
――『トーキング・デッド』(『ウォーキング・デッド』のキャスト、スタッフが出演するトーク番組)を見ていると、実際のジョシュさんとユージーンは正反対に見えますが、お二人の共通点があれば教えてください。
僕らは同じ髪型だね。それに、残念ながら体型も一緒だ(笑) 世界の終わりを迎えたとしたら、僕もユージーンみたいに怯えてしまうだろう。だけど、彼を演じていてすごく面白いのは、僕とは全く違う人間だということなんだ。彼には本から多くの知識を得たような知的さがあるけど、僕自身はストリートで身をもっていろいろと学んだタイプだからね。
――ユージーンを演じる上で参考にした人はいるのですか?
5つ下の弟だよ。ユージーンと同じで、ほとんど抑揚をつけずにしゃべるんだ。例えば、何か楽しんでいる時でも、「楽しい?」ってこっちが聞いたら、気のない様子で「ああ」って言うんだよ。すごくドライな感じにね。ユージーンの声も弟を参考にしているよ。弟はすごく面白い奴だから、僕が今後ほかの作品で別のキャラクターを演じる時にも彼を参考にすると思う。
――ユージーンを演じる上で特に大変な点は?
苦労しているのは、恐怖心を持ち続けることかな。僕はシーズン4から出演しているんだけど、何シーズンも続けていると、ウォーカーを目にすることにも、人が撃たれたり刺されたりといった異常な状況にも次第に慣れてきてしまうからね。だから日常生活の中で怖いと思うことがあったら、その感覚を演技で生かすようにしているんだ。この答えで大丈夫? ごめんよ。ユージーンはすごく頭がいいキャラクターだけど、僕自身は残念ながらそうじゃないから。
――いえいえ、大丈夫です(笑) ユージーンはあまり感情を表に出しませんが、強い結びつきが生まれていたエイブラムスがシーズン7でああいうことになってしまったことはユージーンに今後どんな影響を与えると思われますか?
間違いなく影響するだろうね。シーズン6終盤のユージーンは成長し、グループに貢献する存在になっていた。知的な意味だけでなく肉体的な面でもね。でもシーズン7の第1話で、彼はそれまで持っていた自信をすべて失ってしまう。その後は、分かっているつもりのものとは実は違っていた世界で自信を取り戻そうとしていて、ほんの少しだけ前進できたと思ったら今度はニーガンにさらわれてしまう。だから今は、自分がどういう人間なのか、仲間は大丈夫なのかといったことに頭を悩ませているところなんだ。
――ご自身とは全く違うユージーンというキャラクターからの切り替えはどういう風に行っているのですか?
すごく大変だよ(苦笑) 役に入るのは簡単なんだ。すぐユージーンになることができる。だけど、役から抜け出すのはひと苦労だね。仕事場から車で帰る時に音楽をかけていると、ユージーンから僕自身に戻りきれていないから、好きなはずの曲が気に入らなかったりする。すごく妙な感覚だよ。
――ユージーンは話が進むごとに少しずつ変わっていきますが、彼が変わった最大のきっかけは何だったと思われますか?
これまで一度も聞かれたことがなかったけど、素晴らしい質問だね。世紀末が訪れるまで、ユージーンはいつも同じ習慣を送っていた。毎日仕事に行って、終わったら家に帰ってということを繰り返していた。周囲の人と交際したりはせず、その生活に満足していたんだ。でも世界が様変わりしたため、もはや同じ行程を繰り返すことができなくなった。そこで彼は変化して、コントロールする力を得てルーティーンの生活を取り戻そうとするんだ。僕ら人間は繰り返すことが好きだ。仕事へ行くのにいつも同じ道を通ったりする。でも『ウォーキング・デッド』の世界では同じことを繰り返していくわけにはいかない。そういう状況の変化に順応できる人もいるけど、ユージーンはそうじゃない。だから、彼は変化することで元の習慣を取り戻そうとしているんだ。
――言えないことも多いとは思うのですが、今後の展開でユージーンに関して注目してほしいことがあれば教えてもらえませんか?
そうだな。同じくニーガンにさらわれたダリルが酷い扱いを受けたように、ユージーンも過酷な経験をすることになる。ダリルとは違った形でね。シーズン7後半では、ユージーンのセリフで一番気に入ったものが出てくるよ。すごく楽しみだね。ユージーンがどういう人間なのかを示すようなセリフなんだ。
――ずっと気になっていたのですが、ユージーンはそもそも治療薬がワシントンD.C.にあると言ってエイブラハムとともにそこへ向かっている時にリックたちと会うわけですが、あなた自身は治療薬の話は嘘だと最初から知っていたのですか?
この仕事が決まった時から、あれは嘘だと知っていたよ。でも全員が知っていたわけじゃない。ユージーンのことを信用できずに最初から薬の件を疑っていた人はいただろうけどね。嘘だと知って驚いた人もいたけど、僕から教えたりはしなかったよ。
――ユージーンの薬の話のように、この作品の場合、共演者でも知らないようなことがいろいろあると思うのですが、あなたが一番驚いた話は何ですか?
そうだな...。セス・ギリアムが演じたゲイブリエル神父だな。彼の道筋は非常に興味深い。自分の身を守るために教会を閉ざし、助けを求める者を見殺しにしてきた。いいことじゃないよね。そうやって嫌われ者としてスタートしたわけだけど、次第にリックたちの信頼を得ていく。そしてシーズン6の最後、神父はリックに言う。「私を信用するのか?」と。するとリックは「ああ」と答える。あのシーンには泣いてしまったよ。二人にとって特別なシーンだったからね。すごく面白いストーリーだよ。ほかの番組だったら、神父は死んでしまうだろう。だけど彼は生き続ける。贖罪のためにね。
――以前、アンドリュー・リンカーンとノーマン・リーダスが来日した際、撮影現場でのお別れパーティについて話してくれたのですが、そういった撮影現場のエピソードを教えてもらえませんか?
この番組で気に入っているのは、みんなが家族みたいにすごく親しいことだね。だから、誰かが番組を去ることになると、最後の撮影日にはキャスト、スタッフが全員集まってその人に拍手を送り、主役がスピーチするんだ。こんな風に結びつきが強いのは珍しいことだと思う。テレビ界では、誰かが番組を去ることなんて日常茶飯事だからね。仲間が去ってしまうのは悲しいけれど、同時に喜ぶことでもある。その人にとって新しい幕が上がるわけだから。だけど、もう一緒にいられなくなるというのはやっぱり淋しいね。
■『ウォーキング・デッド』シーズン7後半 配信情報
【dTV FOXチャンネルリアルタイム配信】毎週月曜 21:00~
【リピート配信】毎週月曜 23:00~、25:00~
毎週土曜 25:00~
翌週月曜 22:00~、24:00~
翌週土曜 24:00~
【見逃し配信】初回配信4日後から各話35日間
Photo:
ジョシュ・マクダーミット
『ウォーキング・デッド』シーズン7後半
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セス・ギリアム(ゲイブリエル神父)(c) AMC Film Holdings LLC.