2005年のスタート以来、世界中で多くのファンを獲得し、先月シーズン14への更新も発表されて通算300話到達が目前に迫っている大ヒットドラマ『SUPERNATURAL/スーパーナチュラル』。同作といえば、サム&ディーン・ウィンチェスター兄弟(ジャレッド・パダレッキ、ジェンセン・アクレス)のほか、カスティエルとクラウリーも人気のキャラクターだが、そんな天使と悪魔を演じるミーシャ・コリンズとマーク・シェパードが、6月30日(土)、7月1日(日)に都内で開催される「ハリウッド・コレクターズ・コンベンション No.15」のゲストとして来日したので直撃! 役柄と違って和気あいあいとジョークを飛ばし合う二人に、作品やキャラクターの魅力、前職などについて語ってもらった。
――『SUPERNATURAL』でカスティエルはリヴァイアサンやルシファーが乗り移ることもありますよね。一方のクラウリーは、悪魔ながらもとてもユーモアがありチャーミングです。本作の特徴の一つとして、カスティエルやディーンのようにキャラクターの中身が一時期変わったり、クラウリーのように悪役がステレオタイプではないといったことがあると思うのですが、一味違うキャラクターを演じることの魅力とは何でしょう?
マーク:これまで聞かれた中で一番短い質問だね(笑) チャーミングと言ってくれてありがとう。
ミーシャ:ちょっと待って。彼が悪魔だというのは、マーク本人がという意味かい?
マーク:(笑) そっちは中身が変わるけど、俺の方は別に変わらないよな?
ミーシャ:お前も変わってたろ。
マーク:あれは感情的にちょっと変わっただけだ。人間の血のせいで少し変だったけど、そっちはルシファーの器にされたりしてかなり派手に変化してたよな。スティーブにもなってたし。スティーブはいいよな。面白い奴だ。(インタビュアーに向かって)彼はいろんな役をやるけど、俺はずっとクラウリーだけなんだ。
ミーシャ:全然なかったっけ?
マーク:シーズン8でちょっと違う状態になっていたことはあるよ。泣いたり歌ったりしてな。
ミーシャ:そうそう! あれは面白かった。お前のキャリアのハイライトかもな。
マーク:(感激で泣く真似をして)ありがとうな。
ミーシャ:僕はカスティエルを通して実に様々な、変わった役を演じてきたよ。お前が去った後、新しいキャラクターを演じる機会があったんだ。ナチの役でドイツ語のアクセントでしゃべったよ。
マーク:そのキャラクターと俺が地獄で写真を撮ったら面白そうだな(笑)
――『SUPERNATURAL』はエピソードによって様々な遊び心やファンへのサービス精神にあふれていて、キャストやスタッフの皆さんの作品に対する愛情も伝わってきます。キャスト同士はかなり仲が良いそうですが、みんなでアイデアを出し合って、それが作品に生かされることもあるのでしょうか?
ミーシャ:脚本家たちは僕らのキャラクターについて知り尽くしているから、その関係についてどんどんストーリーを書いてくれているよ。もし僕やマークが彼らに電話をかけて、「ねえ、台本についてこういうアイデアがあるんだけど」と言ったら、すぐに電話を切られるだろうね。
マーク:(笑) 長年同じキャラクターを演じていると、自然と俳優は自分の役について深く知ることになる。そんな時、俳優はストーリーをより魅力的にするために、脚本に書かれている表現を一歩推し進めることがあるんだ。脚本家たちの素晴らしい仕事のおかげで、台本の中に表現する余地が残されているからこそ、俳優は想像力を働かせて演じることができる。様々なキャラクターを演じ分けることができるのも、長く演じていればこそなんだ。
――マークさんは残念ながらシーズン12で去ったものの、これまで8シーズンにわたってお仕事をされたお二人は、お互いのことをよくご存知だと思います。というわけで、お互いの役柄(カスティエル、クラウリー)、そして本人(ミーシャ、マーク)の魅力を教えていただけますか?
マーク:お前のどこが魅力的だって?(笑) 冗談はさておき、ミーシャは素晴らしい人間だよ。カスティエルはムカつく奴だけどね。クラウリーは彼のことが嫌いなんだ。
ミーシャ:それは当たってる。
マーク:以前ジェンセンに言ったことがあるんだけど、俺の持論は、『SUPERNATURAL』が好きな人はウィンチェスター兄弟が好きだということだ。この番組といえば彼ら兄弟のことだからね。そしてここ8年間、彼らファンのほかにもウィンチェスター兄弟のことを大事に思う2人のキャラクターが登場した。その2人、カスティエルは善の側から、クラウリーは悪の側から、彼ら兄弟のことを気にかけている。俺たちがそうやって彼らを愛しているから、ファンも俺たちを愛してくれるんだ。
ミーシャ:僕が思うに、本作のキャラクターたちと演じている俳優たちは実際には似ていない。ジェンセンは別だけど。彼はかなりディーンっぽいよな。ただし、そこまでクールじゃない。
マーク:(笑) 言ったのは俺じゃないぞ。たしかにお前はカスティエルとは全然似てないな。スティーブの方が似てる(笑) あいつはいい奴だ。俺のお気に入りのキャラクターだよ。
ミーシャ:お前もクラウリーには似てないな。本人は見ればわかる通り、邪悪だから(笑) というのはジョークだけど、真面目な話、クラウリーはすごいよ。彼は(シーズン5で)初めて登場するとすぐさま存在感を発揮し、ボビーからキスを奪ったよな。あれは最高だった。
マーク:あれは楽しかったな。
ミーシャ:この作品の面白いところは、僕らは本当にずっと長い間、一緒に過ごしているということなんだ。そして共演している間に、それぞれが成長し、結婚したり子どもを持ったりと人生の大きな転機を経験してきた。だから僕らは、いわゆる"ドラマの共演者"よりももっと親密な関係なんだ。それってユニークだけど素敵だよね。
――お二人の俳優以前の経歴についても聞かせてください。ミーシャさんは若い頃に大工などを経験し、クリントン時代のホワイトハウスではインターンをしていたそうですね。そしてマークさんはTwitterのプロフィールに「ドラマー」とある通り、15歳からいろんなバンドとツアーを行ってきたとのことですが...。
マーク:断っておくけど、俺の話は退屈だぜ。
ミーシャ:そうなの?
マーク:ドラムを叩くようになってから40年経つけど、最近ドラム雑誌に載ったんだ。見開きでな。ずっと好きだったことだから嬉しいよ。
ミーシャ:すごいな、おめでとう!
マーク:俳優とそれ以前にやっていたことに違いはないと考えているよ。自分がやってきたことはどれも要は、ストーリーを伝えることだからね。俳優も、音楽も、絵も、夕食を食べることも(笑) ストーリーを伝える、それが世界で一番やりたいことなんだ。だから、別の職業をしていたといった風には考えていないよ。時々、異なる方向へ向かっているだけなんだ。
ミーシャ:素敵な説明だな。
マーク:ところでお前はホワイトハウスで働いてたって?
ミーシャ:僕は子役俳優として始めなくて良かったと思う。俳優になる前に別の人生を送っていたおかげで、ハリウッド以外の世界に対する見方が広がったからね。最初は俳優を続ける気はなくて、軽い趣味のつもりだったんだ。だから今の自分が置かれている状況をちょっと奇妙に感じることもあるよ。
マーク:『SUPERNATURAL』の共演者たち全員に言えることだけど、彼らはみんな、演じるキャラクター以上に素晴らしいんだ。とてもインテリジェントだし。
ミーシャ:頭のいいキャストたちだよな。僕らは例外だけど(笑)
――Twitterで拝見したのですがミーシャさんは先日、京都へ行かれていましたね。マークさんはこれが初来日だそうですが、日本の印象はいかがですか?
ミーシャ:(マークに)いつ来たの?
マーク:昨日の夜。これまで何度も来るチャンスはあったんだけど、実現しなかったんだ。ただ、これが最後の来日になることはないよ。これからも何度も東京に戻ってきたいと思う。日本に来て最初にしたのは、中華料理を食べたことだよ。
ミーシャ:(笑)なんで中華料理なんだ!?
マーク:東京にはうまい中華料理の店がたくさんあるんだよ。(インタビュアーに向かって)だろ?
――ですね(笑)
マーク:(得意そうに)ほら。別に俺がおかしいわけじゃないってわかったろ?
ミーシャ:僕は3年前に初めて来日したんだ。そしてずっと、また来たいと思っていた。だから、再び来ることができて嬉しいよ。
マーク:ファンが最高だよな。
ミーシャ:本当にね。
マーク:アジアのファンのみんなは、概して長旅になるのに遠路はるばる会いに来てくれるし、とても親切だし応援してくれる。だから、そんな彼らについに自分から会いに来ることができて嬉しいんだ。
ミーシャ:アメリカの西海岸で開かれるコミコンでアジアのファンに会うことがあるけど、日本のファンは50人くらいいるよ。
マーク:韓国や中国のファンもいるけど、日本のファンが特に多いかもな。
――最後、日本の『SUPERNATURAL』ファンたちにメッセージをお願いいたします。
マーク:ありがとう。俺たちは『SUPERNATURAL』を心から楽しみながら作っているから、それをみんなと分かち合えるのが本当に嬉しいよ。TVという仕事は舞台と違って普段は観客の顔が見えないから、こういう風にファンと触れ合える機会を待っていたんだ。みんなに会えるのがすごく楽しみだよ。
ミーシャ:全部言われちゃったね(笑) 本当にいつもありがとう。
ミーシャ、マークの「天使と悪魔」コンビが登場する「ハリコン」の概要は以下の通り。
<ハリウッド・コレクターズ・コンベンション No.15>
【日時】6月30日(土)、7月1日(日)
【会場】浅草橋 ヒューリックホール(〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル2階)
【入場料】無料(※俳優によるサイン会・撮影は有料)
Photo:ミーシャ・コリンズ、マーク・シェパード 『SUPERNATURAL』 © Warner Bros. Entertainment, Inc.