大人気ドラマ『スーパーナチュラル』のスタッフがニューヨーク・タイムズ紙ベストセラーに選ばれたレヴ・グロスマンの小説をドラマ化した『マジシャンズ』。様々な個性を持つ魔法使いの若者たち、"マジシャンズ"が邪悪な神やフェアリーと闘う、ファンタジーとアクション満載の予測不可能なストーリーが魅力だ。そのシーズン3のDVDが4月22日(水)リリースとなるのに合わせて、西健亮(クエンティン役)と近藤唯(ジュリア役)を直撃! もともと親友同士だったがある出来事を機に別々の道を行くことになったクエンティンとジュリア。それに関連して、一方には相手に対していまだに許せないことがあるようで...? 笑いとツッコミにあふれた爆笑インタビューをどうぞ!
――本作は「大人版『ハリー・ポッター』」と言われることもありますが、お二人が考える本作の魅力とは?
西:(隣の近藤さんに)どうですか?
近藤:(笑) すごい先輩ですね。私から行かせようとする(笑)
西:(笑) いやいや、どちらからでも。
近藤:『マジシャンズ』では魔法は大前提としてあるんですけど、コミカルとシリアスがちょうどいいバランスで、基本的に(話として)重いは重いんですけど、クスッと笑える部分もあります。あと、登場人物たちが本当に個性的で、個性の塊みたいな。クエンティンが主人公なんですけど、誰が主人公でもおかしくないくらいみんな個性が強くて面白いところは魅力ですね。
西:シーズン1&2は魔法がキーワードなんですけど、シーズン3ではその魔法が消失してしまった世界でみんながどう立ち回っていくのかが描かれるんです。そういう風に魔法だけではなく、複雑に絡み合った人間関係だとかキャラクターの関係性だとかが、シーズンを重ねれば重ねるほど変わっていくので、そこが見どころの一つかと思いますね。本当に一人ひとりが成長していくので、シーズンを増せば増すほど、それまでとはまったく違った役割を果たすキャラクターがどんどん出てくるので、そういうところも注目していただければと思います。
――コミカルな要素もあるというお話が出ましたが、『スーパーナチュラル』のスタッフであるセラ・ギャンブルがクリエイターを務めているからか、シリアスな中に時折コミカルな一話完結エピソードが盛り込まれていますよね。例えば、クエンティンがふと目覚めたらいきなり精神病院に入院していたり(シーズン1第4話「壁の中の世界」)とか。
近藤:私(ジュリア)のせいですけどね(苦笑)
西:(笑)
近藤:あそこで急にペニーが変になりましたよね(笑)
西:ペニーも歌ってたね。
近藤:ペニーに訛りという設定がいきなり表れて、"濱野(大輝)くん、どうやるんだろうな"って楽しみだった回ですね。
――そういうお遊び要素が時々あるのは、ずっとシリアスが続くよりも、演じるみなさんにとって気分転換になって良いものですか? それとも、逆にテンションのバランスを取るのが大変だったりするのでしょうか?
西:どちらもありますね。良いところと悪いところと。
近藤:そうですね。キャラクター設定が変わると戸惑うこともあるんですけど、コミカルになってもそれはそれで面白いというのが私は強いですかね。ずっとシリアスが続くよりも作品のスパイスになりますし。
西:僕もそれはすごく良いことだと思う反面、お話に出たあのエピソードでは歌があって...。
近藤:あ! 1ページ半くらい歌ってましたよね(笑)
西:(台本の)1ページ半、まるまるテイラー・スウィフトの曲を歌わされるという回だったんですよね。それ以降も歌のエピソードが毎シーズン必ず1回は絶対あるという...向こうの方たちが歌いたがりなんだろうなって考えてしまうくらいのミュージカル回が現れるんです。しかもシーズンが増すごとにミュージカルのスケールもどんどん大きくなるという(笑)
近藤:そうそう、規模も大きくなって長くなって(笑)
西:だから、歌った時はものすごく大変だったんです。音程を完全に合わせていきたいと思ったので。クエンティンも正しい音程で歌っていたわけではなくて、どちらかというと音を外していたので、どのくらい外れているかな、と考えながらやってみたりして。
それ以降のエピソードでは、(台本上は)原音生かしになることが多かったんですけど、そう書いてあってもどういうわけか(ボイスキャストの)みんながちゃんと歌うんですよ。
近藤:(笑) しれっとテストで歌い出すんですよね。
西:そうそう。そうなると、(自分も)歌わないとね、と(笑)
近藤:私は確固たる意志で歌いませんでしたけど(笑)
西:そういう風に作品としてはクッションにすごくなっている反面、こちら(声優)としてはクッションとあまり捉えていなくて。
近藤:そうですね、厳しい壁、山みたいな(笑)
西:そういう風に、やれるところは吹替として作っていこう、という意思が一人ひとりすごくある、いい座組だと思いますので、作品としてはクッションになるんですけど、僕らとしては苦労半分、楽しさ半分っていう感じですかね。
近藤:クエンティンとジュリアでも歌いましたよね。シーズン3の第1話(「7つの鍵の物語」)で。あれ、苦しかった...(笑)
西:魔法の詠唱よりも大変だと思います。
近藤:キャラクターが酔っぱらっていたりノリで歌っている時は、結構(原音でなく)吹替が使われますね。それがなかなか難しいです。
西:キャラクターとして劇中で歌うというのは、歌のお仕事とは全然違って難しいですね。それに向こうの方がすごく上手なので、"こんなにこの人たちうまかったんだ"という衝撃をもらいながら、いつもリハーサルしてました。
――そんなに大変なものだったんですね。歌の吹替を単純に楽しんでいてすみません。
西:いえいえ、僕らもちゃんと楽しいので。
近藤:苦労してるとかは思わないで見てほしいです。
西:楽しいは楽しいんですけど、いざやるとなるとムッと身構えてしまうんです(笑)
――シーズン3はどんなところが見どころですか?
近藤:シーズン3は主軸である魔法がなくなってしまった世界でどうやって魔法を取り戻すかというお話になるんですけど、魔法がなくなってしまったのに逆に今までで一番ファンタジー色が強い気がします。
西:現実世界とフィロリー(クエンティンが愛読するファンタジー小説の舞台である魔法の世界。実は実在する)の世界を行ったり来たりする機会がすごく多いですね。それと魔法の動物がクローズアップされていて、1話目からいろんなキャラクターが出てきます。
近藤:過去いた人が戻ってきて、意外な登場の仕方をしたりもしますね。
西:あと、シーズン2のラストで出てきたフェアリーも本格的に動き出しますし。そんなシーズン3の魅力はやはり、魔法が消えたようでそれを取り戻すまでの過程がすごくファンタジックに描かれているところですね。そしてクエンティンたちはどこかに隠された7つの鍵を集めなければならなくなるんですが、鍵を集めていく過程が一話完結のストーリーになっています。
近藤:鍵の一つひとつに物語があって、その物語の演出もすごくファンタジーな感じがしましたね。あの演出、私すごく好きです。
西:たしかに。鍵の一つひとつが違った個性を持っていて、そこも面白いです。
――お二人が演じるクエンティン、ジュリアそれぞれの魅力とは?
西:(近藤さんに)僕からでいいですか?
近藤:どうぞ、主人公。
西:いえいえ、やめてくださいよ(笑)
近藤:(笑)
西:クエンティンの魅力は、何かありそうで何もなくて、でもきっと何か持っているんだろうという、ある意味で観客に最も近しいところなんじゃないかと思っています。ある日突然、魔法を使えるようになったら彼みたいになるのかなという感覚を抱きながらアフレコしていますね。自分から強く働きかけることをあまりせず、いろんなキャラクターが動いていくところに、決して能動的ではないけれど受動的にいろんな動きをしていって、結果的に物語を動かしていくというのがクエンティンの在り方だと思うんです。
彼の魅力を一言で言うのは難しいんですけど、妄想しがちだったり本が好きだったりとか、みんながきっと自分の中に持っている一面だろうな、っていう感覚ですね。親しみやすさというのが一番近い表現かもしれません。
近藤:ジュリアは真面目で負けず嫌いで頑固。シーズン1の頃はちょっと気性の激しいところもあるんですけど、根は優しいし、他人を思いやれる子です。あの子の人生ってすごく過酷で、上がり下がりが激しくて、最初の2シーズンだけでも山あり谷ありすぎる人生を送ってるんですよね。本当は最初から全部持っているようで、実は持っていなくて、失ったり取り戻したりを繰り返す中で普通だったら挫折すると思うんですけど、ジュリアは芯が強くて根性があるので、それでも挫けない。間違ったこともするけど、正しい方に戻ろうとする強さがあって、やはり一本芯の通っているところが魅力だと思います。
西:たしかに。
近藤:たまに"もうやめなよ"って思うこともあるんですけどね(笑) 人と一緒に動くのはあまり向いてないかもと感じることも。
西:でもジュリアが積極的に動いてくれるから、それによって話がグッと変わるよね。
近藤:積極的なんだけど、一度こうと思ったら突き進んじゃうところがあるんですよ。
西:私はこうなりたい、だからこう!みたいな。
近藤:途中までは他の人と仲良くして協力してるんですけど、どこかで何かが起きると「それでも私は行く」みたいに突き進んじゃって。
西:みんな、そういうところ結構あるかもしれない。ただ、ジュリアはその傾向が強いですね。
近藤:でもジュリアからしたら、例えばシーズン2で「(ビーストとレイナードの)二人とも殺せたのに。みんな、邪魔しないでよ!」っていう感じなんですよね。
西:あったあった(笑)
近藤:私は常にジュリアの味方なんです。ただ、シーズン1からシーズン2にかけての収録中、「ジュリアが...」って現場ですごく言われました(笑)
西:そうでしたっけ?
近藤:言ってましたよ。特に西さんと濱野くんがずっと「あそこでジュリアがなあ...」って。でも、ジュリア全然悪くないです(笑)
西:ああ...そうですね、言いましたね。すみません、あの時は。
近藤:そうですよ。なにトボけてるんですか(笑) ...ということで、ジュリアの魅力は芯の強いところです(笑)
――(笑) お話しいただいたように、クエンティンもジュリアも魔法が好きだったり大事な人を助けたかったりで時には暴走することもあるんですが、お二人が互いの役について好きなところと、すでに出たような気もしますが「これは直した方がいい」と思うところを教えてください。
西:なるほど。どちらから行きますか?
近藤:(西さんの上の発言に被る形で)えっと...。
西:もう言いたいんだ(笑)
近藤:まず好きなところですよね。クエンティンの好きなところは、優しさと、純粋さが飛び抜けている点ですね。あと、オタク気質と言われてますけど、好きなことに集中してあれだけの知識をつけられるのは凄いと思います。それに、私も好きなことに対してオタク的気質を持つことはあるので、そこは共感できますね。
西:ありがとうございます。もうこれで終わりでいいですよ。
近藤:いやいやいや(笑) しかも、その知識がこの物語の中でみんなの大きな助けになっているので、そこは素晴らしいと思います。ただ、ずっとなんだかモジモジしてて、以前ペニーに「ストーカーみたいな真似はやめろ」って言われてましたよね。そういうところは直した方がいいと思いますし、あと、シーズン1で自分がブレイクビルズ(魔法を教える大学院)に入れたからって...。
西:そう! あれはどうかと思った。僕も言おうと考えてました、それ。
近藤:ほんとに、あの時のクエンティンはいまだに許せてないです。
西:あれは酷いよね。
近藤:(ジュリアに話すクエンティンの真似をして)「いや、君はもうそこ(現実世界)で生きていくんだ。君は駄目だったんだよ」みたいなのは、(入試に通らず)傷ついてるジュリアに対してあんまりだと思います。
西:あそこは慰めるなり、他の言い方があるよね。
近藤:あの瞬間の、調子に乗って気が大きくなったクエンティンはいまだに忘れられないですね(笑)
西:直さないといけないですね。
近藤:クエンティンは夢の中であんなこともしちゃいますしね。
西:そうね、妄想が加速するとね、いろんなことを考えますからね。
近藤:夢の中、ちょっと気持ち悪かった(笑) アリスとジュリアにコスプレさせて絡ませてましたし。
西:「ドラゴンを倒しに行くのよ」みたいな。
近藤:ああいう部分は直した方がいいです。妄想の中で暴走するので。そんなところです。
西:わかりました。胸に刻んでおきます。
近藤:(笑)
西:ジュリアに関しては、シーズン最初から見ていると、思いやりがあって優しい女性で、すごく綺麗なのにそれを鼻にかけることもないですし、こんな女友達がいたらいいだろうなと思っていたんですが...。
近藤:なんですか?
西:ジュリアが入試に落ちた時、クエンティンが彼女を慰めるでもなく切り捨ててしまったがゆえに彼女の人生が大きく変わっていくんですよね。すべてがクエンティンのせいではないかもしれませんが、責任の一端は担っていると思います。一度魔法を知ってしまったら、現実世界にすんなり戻ることはできないということで、魔法を求めて暴走する時期の苦しそうなジュリアはいまだに覚えていますね。ヘッジ・ウィッチたちと一緒にある意味、違法的な形で魔法を身に着けようとしていた時なんかは本当に取りつかれたようになってしまって。ただ、そんなジュリアもある意味で魅力的だと僕は思うんですが、人によっては直した方がいいと思うかもしれませんね。思い通りにならないことをなんとか思い通りにしようという意思の強さは、魅力でもあり欠点でもあるのかな、と思います。
ただ、直すのは難しいですよね。直しちゃったらそのキャラクターじゃなくなってしまうので。
近藤:そうですね、話が進まなくなっちゃいますもんね。
西:そんな風に、魅力と欠点とが表裏一体となる形でうまく描かれているのが『マジシャンズ』なのかなと思いますね。
――クエンティンもジュリアもかつて精神病院に入っていたり陰(シェード)を失ったりとシリーズの中で気分の上下がありますが、役作りでどんな点を意識されていますか?
近藤:ジュリアが陰をなくしていた間は、衝動的に感情が出ていたところと恐れが一切なくなったので、目的のためには手段を選ばないところを意識するようにしましたね。それまでなら、例えばクエンティンを永遠に眠らせかけてしまった時は「こんなはずじゃなかった」と良心の呵責を感じたり激しく動揺していたんですけど、陰がない間は残酷なことをしてもケロッとしている。そういう違いは意識しました。ただ、途中から元の自分であろうとして、陰はないけど思いやりは残っているような行動を取る時は演じるのが難しかったですね。ジュリアが本当にそう思っているのか、あるいはそう思おうとしているだけなのかを考え、どのくらい感情を出すかという点では悩みました。
――その解釈の部分を演出の方に相談されたりは?
近藤:収録が始まる前に軽く、ここはこういうことですかね、という風にはやりますけど、基本的には私たちに任せてくださっていましたね。
西:そうですね。まず僕らの思うようにやらせてくれて、それが明らかに違うようであれば軌道修正してくれるディレクターさんなんです。この現場に限って言うと、ディレクターさんはもちろんなんですが、製作さんがものすごく作品に対する愛情が深い方なんです。新しく来るゲストの方のためにそれまでの一話一話の話の流れとその後の展開まで知っていることをまとめた別紙を用意してくださったり、場所や時間が細かく変わるためわかりづらいところも完全に把握してくださっているんです。そこも座組的には大きいですね。
近藤:本当に助かっています。
西:役作りに関しては、やっぱり向こうの役者さんとお話ありきというのが僕らの仕事なので、彼らの芝居を目線一つ、指先一つまで最大限意識しながら吹替えていますね。クエンティンについては、シーズン1では吃音シーンが多くて、(言いよどむ時の)「あ」の数がどのくらいあるかが、台本に書かれているのと実際に聞こえるのとで違っていることが若干あったので、それを合わせていくのは当初ちょっと苦労しました。
クエンティンも少しずつ成長していくほか、時間軸が入れ替わる世界の中で老いたり若返ったりもするんです。さらに、シーズン3でシーズン1時代のシーンがいきなり挿入されたりするので、そうなると当時の心境を思い出すために古い台本を引っ張り出してみたりと、そういう作り方を地道にしていた感覚ですね。シリーズが続いてくれて本当に嬉しいです。
クエンティンに限らず、例えばペニーは特に複雑で、常識人な反面、いつもかわいそうな巻き込まれ方をしますし、マーゴやエリオットのように気楽に見えるキャラクターでも実は内面にすごく重いものを抱えていたりします。吹替キャストたちが毎話しっかり考えてから収録に臨んでいる現場なので、あとはもう各自が作ってきたものに対してどう合わせるか、人のセリフをたくさん聴いていいものにできればというところですね。...なんか面白いこと言えなくてすみません。
――いえいえ、みなさんがすごく心を込めて作っている現場であることが伝わってきました。本作には様々な魔法が登場しますが、これまで出てきた魔法の中でお二人が好きだったのは? 逆に、これはかけられると困ると思う魔法はどれですか?
西:かけられると困るものが多すぎますね(笑)
近藤:かけられると困るものしかやってないですよね(笑)
西:一番嫌だったの何だろうな...。
近藤:でも使うのも結構大変ですよね。この作品では魔法の代償も大きいので。でも、クエンティンが学生部長に飲ませた、真実しか言えなくなる薬(シーズン1第12話「40回目の人生」)は困ります。クエンティンなんて冒頭でセクハラな質問してましたし(笑)
西:あったあった! セクハラな質問した!
近藤:その質問に学生部長が答えちゃって、「クソ!」って言ってた(笑)
西:あれ使いたいですか?
近藤:いや、あれを使われたら嫌なんですよ。あと、クエンティンたちが試験でやらされていた、二人が裸になって一番の秘密を打ち明け合う試験(シーズン1第6話「実現困難な課題」)も嫌だ。
西:あれはもう事務所NGですね(笑)
近藤:秘密は秘密のままの方がいいです。
西:あと、クエンティンが夢から抜け出すためにペニーが送ってくれた金属のサソリを口に入れるのも嫌ですね(シーズン1第4話「壁の中の世界」)。あそこで咳き込むお芝居も大変だったんですけど、ああいう身体的苦痛を伴う魔法はやっぱり嫌ですよね。
近藤:大変なことが多すぎる(笑)
西:逆に、いいなって思う魔法、何でしょうね?
近藤:トラベラーの能力って結局魔法なんですかね?
西:ちょっと違いますよ。トラベラーは選ばれた人だけが持つ能力なんです。
近藤:そっか、魔法がなくなった世界でもトラベルできてましたしね。
西:でも、あの能力はあればいいですよね。一番いいかも。
近藤:ね。ただ、ペニーは最初結構苦しんでましたけど。
西:(うまくコントロールできなくて)火山とか砂漠に行っちゃったりしてね。
近藤:じゃあ、アリスがビーストを倒すために使った攻撃の魔法は? 手でこねてて、すごく魔法っぽかったです。あれ、西さんに使います。
西:やめてくださいよ(笑) シーズン4も含めるなら、直す魔法を選びたいですけどね。携帯電話を落として割れても直せるし。
近藤:クエンティンの能力って結構日常に便利なタイプですよね。
西:ちょっとあったらいいかな。ドラえもんの道具みたいに(笑)
近藤:(笑) じゃあ、私はケイディの攻撃魔法がやりたいです。攻撃することを望んでるのかも(笑) 魔法バトル感が好きなんで。
西:空飛んだりはどうですか?
近藤:...高所恐怖症だから(笑)
西:なるほど(笑) 本当にいろんな魔法が出てくるので、本作を見た方たちには自分が好きな魔法を探してもらってもいいかもしれませんね。
近藤:この魔法もいいな、と思いながら見ると楽しそうです。
――この海外ドラマNAVIは以前『SUITS/スーツ』で取材させていただいたことがあるので西さんに伺いたいのですが、『SUITS』のマイクも知識が豊富で早口で話すことが多いですが、クエンティンも普段は口下手ですが大好きなフィロリーの話題になると饒舌になりますよね。二人のうち、どちらの演技の方が大変ですか?
西:実は苦労の質がまったく違うかなと考えています。マイクに関しては会話が武器という感じなんですよね。弁護士という職業柄もありますが、対話を通して僕はこの相手をこうしたい、この会社とこういう関係を築きたいから、こういう会話をしている、という積極的なやり取りなんです。クエンティンはどちらかというと受動的で、誰かに何かを言われたら、「でも僕はこう思う」という素直な返し方をするシーンがすごく多くて、反面、自分が好きなこと、フィロリーに関することになると饒舌になるんですが、意外と自分の中で完結しているので、そういう時ってあまり相手の方を見ていないというか、自分はこう思っていて、こんなにいいことをなんで君たちは知らないんだ、っていう知識をとにかく今この場で言わないと収まりがつかない、衝動で話すことが多いんですよね。対してマイクは、頭の中は本当に客観的で冷静で、一度見たものは覚えることができるので、裁判などで言葉に詰まるシーンが基本的にないんですよね。感情面ではよくあるんですけど。
なので、クエンティンとマイクは一見似ているようでまったく異なるので、どちらの演技が大変かというと...どっちも大変です(笑)
――今度は近藤さんに伺いたいのですが、『ディセンダント』シリーズなどでダヴ・キャメロンの声を担当されていますよね。『ディセンダント』のマルとして魔法が使えるキャラクターをすでに経験されていたことは、ジュリアを演じる上で助けになりましたか?
近藤:ジュリアを演じるにあたって、マル自身や彼女が唱えた呪文を思い出すといったことはありませんでしたね。マルが最初から魔法の存在する世界に住んでいるのに対して、ジュリアはなかったところから魔法と出会う設定ですし。ただ、魔法を使える役はマル以外にもゲームやアニメで演じているので、役を演じる上での経験という意味では間違いなく糧になっていると思います。
――本作には複数のカップルがいますが、お二人が好きなのは?
西:(近藤さんに)どうぞ。
近藤:ペニーとケイディは、お互いの愛の深さ、思いやりがすごく好きですね。ペニーがとにかく献身的で、ケイディは事情があって彼を突き放そうとするけど実際は愛情があるからうまく突き放せなくてっていうあの関係性が好きです。
あとはとにかくマーゴとエリオット! カップルっていっちゃうとあれですけどね。
西:本当に憧れる関係というか、お互いがお互いを尊重しているのがあの二人ですよね。
近藤:途中でこじれる部分もありはするんですが、かつての試験で最大の秘密を告白し合った過去もあるとはいえ、お互いの弱いところをさらけ出せる関係はいいですよね。マーゴは常に気丈に振舞ってますけど本当は弱くて、エリオットが眠り続けてしまった時なんかは「私一人じゃ駄目」と本音を漏らしたり。マーゴのそういうギャップを引き出せるのもエリオットだからこそなので、あのペアはすごく好きですね。
西:エリオットがアフレコ現場で人気すぎてですね、正直嫉妬しました。女性人気がすごく高いんですよね。カップルというとあれなんですけど、みなさんによく言われるのは、エリオットとクエンティン(笑)
近藤:ああー!(笑)
西:そう言われる方が一部いるんですよ。
近藤:シーズン3でまた増えますね。
西:シーズン3でまさに大変な回があるんですよ。あのシーズンはエリオット主軸で話が進んでいくんですけど。カップルというか愛情の形というのは本当に様々で、応えられないけど応えたい、といったことは見ていても演じていても気持ちがわかりますね。だから、特定のカップルが好きというよりも、『マジシャンズ』っていろんなところでいろんな人がくっつくので、クエンティンとジュリアでも、クエンティンとアリスでも関係的なものはありましたけど、カップルを固定しないのが魅力の一つなのかな、と。
タイミングや状況が変われば相手も変わるんだろうな、そういうことは起こるかもしれないな、という不思議さは感じますね。そういうことって現実でもあると思うんですよ。あの時会っていなかったら、この人と一緒にいなかっただろうな、とか、出会い方が違っていたらもしかしたらこの人だったかもしれない、とか。そういうところを考えさせてくれるのも面白いですね。
近藤:ジュリアに対しても、シーズン3では「もしこの時こうだったら...」が描かれますよね。
西:シーズン1から見てきたら意外としか言いようがなくて。
近藤:そこなんだ!っていう衝撃が走りますよね。
西:でも、二人でいる形が一番好きというと、やっぱりエリオットとマーゴかな。
近藤:そうですね。
西:エリオットがマーゴのことをシーズン1で「俺のバンビ」って呼んでたんですけど、先のシーズンで久々にそう呼ぶシーンがあるんですよ。そしたらマーゴ役の種市(桃子)ちゃんが「やっとバンビって呼んでくれた! チョー嬉しい」って言ってたのを覚えてますね。
――それでは最後に、これからシーズン3をご覧になる方へメッセージをお願いします。
近藤:今回取材していただけるって聞いてまず嬉しかったのが、これまでのシーズンをご覧になってくださっている方がたくさんいるからこそ、この取材に繋がったんだろうなということですね。本当に楽しんでくださってありがとうございます。
ジュリアは過去2シーズンでもいろんな経験をしてきましたが、シーズン3でもさらに進化しますので、どうなっていくかを楽しんでご覧いただければ。ぜひ何度もご覧いただいて、シーズン3の中からもお気に入りの魔法を見つけていただければと思います。ありがとうございます。
西:綺麗なまとめですね。僕も、シーズン1&2を経てシーズン3にたどり着く方がたくさんいらっしゃるという事実は本当に嬉しいです。シーズン3では世界観がより綺麗で鮮明になっていて、いろんな世界のいろんな状況が描かれます。キャラクターの成長はもちろん、フィロリーと現実世界とそのほかの世界というものに浸っていただける作りになっているので、その辺をどっぷり楽しんでいただければと思います。
■『マジシャンズ』シーズン3 商品情報
<セル>
DVD-BOX(6,800円+税)...4月22日(水)発売
<レンタル>
DVD Vol.1~7...4月22日(水)レンタル開始
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
公式サイトはこちら
Photo:
『マジシャンズ』シーズン3
(C) 2018 Universal Studios. All Rights Reserved.