シリーズ版『ロード・オブ・ザ・リング』危険な撮影現場との報道にAmazonが反論

J・R・R・トールキンの「指輪物語」を実写化し大ヒットした映画シリーズ『ロード・ オブ・ザ・リング』が米Amazonによってドラマシリーズ化されることは以前お伝えした通り。現在、ニュージーランドで撮影中だが、安全基準を守っていないとの報道があり、それに対し、Amazon側がこの主張に反撃した。米Varietyが報じている。

7月2日(金)に掲載されたニュージーランドヘラルド紙の記事によると、Amazonが4億6500万ドルを投じて製作している本作の撮影現場で、少なくとも3人のスタントマンが重傷を負ったとのこと。記事によると、手術を必要とする2名に関しては、ニュージーランドの職場安全衛生監督機関であるWorkSafeに積極的に報告していなかったという。

だがAmazonは、ヘラルド紙とVarietyへの声明の中で、彼らの安全プロトコルはWorkSafeとニュージーランド政府の基準を遵守していると述べている。同社の広報担当者は、「弊社は、キャストとクルーの健康、身体的、精神的厚生を非常に重視しています。最優先事項として、制作チームは、義務づけられているWorkSafeの政府規制を完璧に遵守し続けています。撮影現場での活動が安全でない、あるいは規制外であるという申し立てや報告は誤報です」と述べた。

ニュージーランドヘラルドは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『ワンダーウーマン 1984』などの映画に出演し、数々の賞を受賞しているスタントパフォーマー、デイナ・グラントさんの具体的な事例を紹介している。

同紙によると、グラントさんは3月に撮影現場で頭部を負傷したが、WorkSafeにその件は報告されておらず、その後8ミリの脳動脈瘤と上部脊椎の損傷と診断された。グラントさんは現在、緊急の脳手術を必要としており、その資金調達のためにGiveALittleキャンペーンが開始されたと伝えている。なお、グラントさんは、Varietyの取材にはコメントしていない。

関係者がVarietyに語ったところによると、グラントさんの頭部の怪我は、治療を受けた際に軽い脳震盪と判断され、WorkSafeの規定による「届出の義務がある事象」には該当しなかったとのこと。WorkSafeのウェブサイトによると、義務があるものは、直ちに治療のために病院に入院することを必要とする(または通常必要とする)怪我や病気のことだと記載されてある。このサイトではさらに、「病院に入院する」とは、「任意の期間、入院患者として入院することであり、外来治療のために病院に運ばれることや、折れた鼻を矯正するような後日の修正手術のために運ばれることは含まれない」と明確にされている。また、この情報源は、グラントさんが脳動脈瘤と診断されたのは6月に入ってからであり、それまでは脳震盪を起こした後には、他のいくつかのプロジェクトへの復帰が許可されていたと主張している。

また、ニュージーランドヘラルド紙は、重傷を負ったもう一人のスタントパフォーマー、エリッサ・カドウェルさんが負傷後に50万ニュージーランドドルの支払いを受けたことに言及している。ある関係者がVarietyに語ったところによると、この支払いはキャドウェルさんの治療と帰国のための費用に充当されたという。本シリーズは非常に多くのスタントがあり、すべてのスタント現場でリスク分析が行われ、すべてのヒヤリハット事例や事故が記録されているとのこと。この作品の負傷率は0.068パーセントで、そのほとんどが捻挫、打撲、筋肉や軟部組織の損傷だという。

『ロード・オブ・ザ・リング』ドラマ版は、映画版よりも前の時代となる、第二紀の中つ国を舞台にした前日譚シリーズ。シーズン1は2022年9月2日(金)よりAmazon Prime Videoで独占配信。配信前からすでにシーズン2への更新が決まっている。(海外ドラマNAVI)

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映画『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』©GIG/FAMOUS