『スタートレック ディスカバリー』オンラインファンイベントに潜入!キャストが歴史あるシリーズに参加する思いを語る

1966年放送開始の『スタートレック/宇宙大作戦』以来、多くのSFファンたちを楽しませてきた『スタートレック』シリーズ。その6作目のTVシリーズにして、『スタートレック エンタープライズ』から12年ぶりに製作された『スタートレック ディスカバリー』は、カーク船長らが活躍するオリジナル版の約10年前を描き、USSディスカバリー号の壮大な冒険を映し出している。そんな本作のシーズン2がスーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメにて絶賛放送中であり、このほど、それを記念したオンラインファンイベントが実施されたのでその模様をお届け!

主人公マイケル・バーナムを演じるソネクア・マーティン=グリーン、サルー役のダグ・ジョーンズ、そして製作総指揮を務めるミシェル・パラダイスの3人が登場。本作に込めた思いや撮影現場での裏話などを話してくれた。

■主演に起用されて思わず歌い出してしまった!

ソネクア、ダグ、ミシェルの3人はとてもリラックスした表情で登場。ソネクアはまずはじめに日本語で「こんにちは!」と挨拶。

キャストの二人は、今年で55周年を迎えた『スタートレック』シリーズの作品にメインキャストとして起用されたという事実に対してどんな気持ちを抱いたのだろうか? 「本当に圧倒されたわ! 私にとって大きな出来事だったので、思わず歌い出してしまった」とソネクアは語り、 ダグは「私は1960年代の最初の『スタートレック』からずっとシリーズを観て育ってきた。今、この年齢になって参加できるということはとても名誉あることだし、このレガシーの一部になれるということに本当に興奮したし、嬉しかったよ」と、当時の興奮が伝わってくるような心境を話した。

では脚本を初めて手にした時はどう感じたのだろうか? ソネクアは「『スタートレック』がどれだけ大きなフランチャイズであるかというのは理解していたけど、とにかく脚本が素晴らしく、より現代的なものになっていることに興奮した。そして、自分が黒人女性としてシリーズで初めて主演を務めるということが嬉しかった」と、より進化を遂げた作品になるということを予期したようだ。

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ダグもまた、同じような捉え方をしたようで、これまでとは全く異なる作品になるというのが第一印象だったという。「物語がとても壮大になることは理解できたし、スケールが映画級だなと感じた。冒頭のクリンゴンの一連のシーンからハラハラドキドキのストーリーになるという確信があった」

ソネクアとダグの2人はそんなファーストインプレッションからいかにしてキャラクターを作り上げていったか。前述のようにシリーズ初のキャラクター性を持ったマイケル・バーナムを演じるソネクアは「私が常に心掛けていることは脚本を忠実に再現するということ。とにかく脚本が素晴らしいので、その要素を取り入れながら自由に演じさせてもらっている。想像力を常に逞しくということを念頭に置いて演じている」と語る。

一方のダグは次のように話す。「私が演じるケルピアン人というのは新しい種族だったため、バックストーリーを用意してくれた脚本家たちと一緒に、一からキャラクターを作り上げた。彼がどのように立ち、歩き、そして恐怖にいかに立ち向かっていくか、すべてを創り出していく作業は非常に名誉あることだったよ」

 

■シーズン2ではどんな冒険が待ち受ける?

『スタートレック ディスカバリー』シーズン2では、マイケル・バーナムの人物像が徐々に浮き彫りになっていき、サルーはキャラクター性に大きな変化が見られるようになっていくが、思い入れのあるシーンや注目のシーンは一体どこなのだろうか?

ソネクアは「一つ選ぶのは難しいけど、地球生まれでありながらバルカン人に育てられたマイケルがスポックと関わるシーンが印象深いわね。イーサン・ペック演じるスポックとは義姉弟という間柄で、その関係性を深く掘り下げていったので、一番のお気に入りはやっぱりスポックとのシーンね」と、シーズン2最大の注目ポイントである人気キャラクター、スポックとの共演シーンを挙げた。

一方のダグは「サルーはマイケルと"兄妹"のような関係なのだが、2人は時にぶつかり、時に信頼し合う。ケルピアン人としての重要な場面で2人が協力し合うシーンは涙涙のシーンだったよ」と語ってくれた。

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そして、本作をここまでの大作に仕上げた功労者と言っても過言ではない製作総指揮のミシェル・パラダイスは、歴史あるシリーズにいかにして参加することになったのだろうか。「私はシーズン2の途中から参加した。とにかく『スタートレック』の大ファンだった私は本作に参加できるということがとても嬉しかった。シーズン3からはアレックス・カーツマンと共に作り上げたのだけど、彼から協力を要請されたときは"YES!"と即答したわ」と、彼女もまた当時の興奮が伺える口調で話してくれた。

さらに、パラダイスは前作から12年ぶりとなる新シリーズを手掛けるということで心掛けたことを明かした。「アレックス(・カーツマン)との話し合いの中で、"進化させていく"ということをテーマに、新鮮かつレガシーを大切にしていくということを心掛けた。オリジナルのテーマである"希望"や"楽観"を大切にしながら、現代が抱える様々な問題も取り入れていき、まるで映画を観ているかのようなスケール感にしたいと思った」

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本作はこれまでのシリーズとは異なり、女性たちの活躍が目覚ましい部分もあるが、これらも意識して生まれたものだとパラダイスは語る。「もちろん! 100%よ! オリジナルでもダイバーシティというものが重視されていた。これは続けていくべきだと感じ、マイケルを初めとしたキャラクターたちが成長していく過程をこれからも魅せていくつもりよ」

 

■それぞれがキャラクターを演じる上で苦労したこととは?

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ソネクアはマイケル・バーナムを演じることについて、「すごく長くなるわよ(笑)」と切り出した。「さっきダグがマイケルとサルーのシーンを挙げていたけど、あのシーンは私もすごく感動した。みなさんも、ぜひあのシーンには注目してもらいたい。私自身、マイケルを演じていて様々なインスピレーションを受けるのだけど、世界中にも大きな影響を与えていると思う。このシリーズは多様性というものを体現しており、団結力、犠牲の心、英雄的行為というものを描いている。マイケルは脆い部分もあり、間違いを犯すこともある。それでも立ち上がり、名誉ある道を歩んでいくという意識がある。視聴者もマイケルから様々なインスピレーションを受けてほしいと思っている」

シーズン2のマイケルを語る上で、やはりスポックとの再会シーンは欠かせない。このシーンについてソネクアは、「(スポック役の)イーサン・ペックとはかなり話し合ったの。シーズン2は"姉弟"というものがテーマになっていて、マイケルとスポックの関係は、過去と現在、そして未来を感じながら見ていただければと思う」と明かした。

マイケルは様々な場面で論理と直感のどちらで行動するかの選択に迫られるが、ソネクア自身はどちらで行動するタイプなのだろうか? 「初めてされた質問されたわ! とても良い質問ね! 本来ならば50-50と言いたいところだけど、たぶん70-30で感情で動いている...。でも甘く見積もって60-40で感情かな」と一面を見せた。

サルー役のダグは演じる上で大変だったこと、挑戦したことについて語った。

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「まずはメイクだね。コンタクトレンズもしているし、鹿のひづめのようなブーツも履いている。踵がないものだからバランスをとるのが難しいんだ。あとはセリフを覚えるのが大変だね。SFの難しい用語をいかにも知っているかのように話さなければならない。僕は違うけど、彼はすごく頭の良いキャラクターだからね」と語るが、ソネクアやミシェルから「それは違う! あなたは頭が良い!」と声が飛び交う一幕もあった。

ソネクアとダグはプライベートからお互いを信頼し合っていることが伺えるが、マイケルとサルーの関係性を演じる上で苦労したこともあったという。「2人はライバル同士で意識し合うという関係が僕にとって非常に難しかった。プライベートではソネクアとは大の仲良しで、まさに"兄妹"のような間柄。だから、シーンの中で怒り心頭したり、競い合ったりするところに苦労した。心が痛んだよ。でも、シーズン2ではだんだんと信頼し合うようになっていく、そういうところは、とても演じやすかったよ」

シーズン2第6話「雷鳴」ではサルーに大きな変化が訪れる。ダグは自身も何かを乗り越えて成長したことはあるのだろうか? 「僕はサルーに共感できる部分がたくさんある。特に恐怖を感じたり、怯えたりする場面。サルーはそれを乗り越えられるけど、僕自身も恐怖を感じながら生きているから、ぜひサルーみたいに恐怖を克服できる経験をして前に進みたいと思っているよ」

 

■撮影現場で起きた面白い出来事の数々

ここからは撮影現場でのウラ話の話題に。製作総指揮のパラダイスは、「撮影しているエピソードやシーンについての話が多いわね。脚本家の一人として、俳優たちが演じるキャラクターについて答えたり、監督やキャストの手伝いに少しでもなればと思っているわ」と語る。

ここでMCが直球な質問をパラダイスにぶつけた。先日、アメリカではシリーズ55周年を祝う「Star Trek Day」が開催され、そこでシーズン4の配信日が決定した。スーパー!ドラマTVでの放送はまだ決まっていないが、どんな内容になるのかと聞かれたパラダイス。「まずはシーズン2と3を観てください(笑) 毎シーズン、新しいところへ向かうというのは決まっているものだから、シーズン4でもマイケルとサルーは新天地を目指すことになる。ネタバレはしたくないのだけど、様々な冒険を繰り広げることになり、大きなチャレンジを強いられるわね」と、ほんの少しだけヒントをくれた。

ソネクアとダグは撮影現場で起きた面白い出来事について語り、ファンを喜ばせた。「みんなすごく仲が良いの。特に私とダグは大の仲良し。彼やミシェルは本当に天才だと思う。現場では様々なゲームをして楽しんでいる。ある時は、見えない透明のダーツをお互いに投げ合って、相手をやっつけるというゲームをやっていたの。そうしたら、それが現場中に影響を与えてしまい、みんながみんなやり始めたということがあったわ」とソネクアは撮影現場で流行ったゲームを明かした。

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一方のダグは、ジョナサン・フレイクスが監督を務めたエピソードに触れた。ジョナサンと言えば『新スタートレック』を初めとしたシリーズでウィリアム・T・ライカーを演じていたことで知られているが、彼は大のミュージカル好きらしい。「みんな音楽が大好きなんだ。よく現場でも歌声を耳にするけど、ジョナサンが監督を務めた時、彼は様々なミュージカルの歌を歌い始めた。僕らも一緒に歌いたかったけど、だいたいが無名の知らない曲ばかりで、誰も歌えなかったんだ。それでも彼は歌い続けていたよ」と、ジョナサンの素顔が垣間見えるエピソードを披露してくれた。

楽しいひと時も間もなく終わりを迎え、最後に日本のファンへのメッセージを送った。

ミシェル「みなさん、今日はありがとうございました。こちらは夕方なのですが、日本は朝ということで、『スタートレック ディスカバリー』を応援してくれて感謝しています。シーズン2を観て、その後の3、4も観ていたければと思います」

ダグ「ファンのみなさんを私は本当に大切にしたいと思っています。本作のファンだと言ってもらえるだけで、本当に嬉しいです。ファンがいなければ作品は成り立ちません。みなさんも『スタートレック』ファミリーの一員なので、これからも応援よろしくお願いします」

ソネクア「みなさんのことを心から愛しています。みなさんは『スタートレック』ファミリーの一人です。本当に感謝しています。『スタートレック』ファミリーというのは一回なったら、永遠に家族です。ぜひとも、シーズン3、4と観ていただいて、より良い未来のために繋がっていきましょう」

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最後にソネクアは一生懸命にままならない日本語で「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表してくれた。イベントは、『スタートレック』おなじみの挨拶で幕を閉じることになり、バルカン人の挨拶であるバルカン・サリュートでお別れとなった。

今回のファンイベントで印象的だったのは、3人は終始笑顔だったこと、そしてキャスト、プロデューサー共に、この歴史あるフランチャイズに参加していることへの誇りを持っているなということだ。これだけ長く人々に愛され続けている作品への敬意を忘れずに努力し続けている彼らであれば、今後のシーズンでも大いに我々を楽しませてくれることだろう。長寿と繁栄を。

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シーズン3&4に向けて見逃せない『スタートレック ディスカバリー』シーズン2は、毎週木曜22:00他にてスーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメで放送中。

(取材・文/zash)

Photo:

ソネクア・マーティン=グリーン&ダグ・ジョーンズ&ミシェル・パラダイス
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