Apple TVの人気ドラマ『窓際のスパイ』シーズン6は、多くの犠牲者を出しながら衝撃的なラストを迎えた。しかし、実はエンディングには別バージョンが存在していたという。シーズン6で監督を務めたアダム・ランドールが、未公開エンディングや主要キャラクターの死、撮影秘話について語った。(※以下、『窓際のスパイ』シーズン6のネタバレを含みますのでご注意ください)
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未公開版は「本当に素晴らしい結末だった」
シーズン6は、スラウハウスの面々がかつてないほど大きな代償を払うシーズンとなった。ジャクソン・ラム(ゲイリー・オールドマン)率いるチームは、精神的に不安定ながらも仲間思いだったJK・コー(トム・ブルック)と、チームに協力的だったエマ・フライト(ルース・ブラッドリー)を失った。
さらに、シーズン1で死亡したと思われていたシド・ベイカー(オリヴィア・クック)が生還し、リヴァー・カートライト(ジャック・ロウデン)と恋愛関係に進展。しかし、シーズン最終話「最後の審判」でリヴァーは神経剤に触れたバールが原因で倒れ、生死不明のまま幕を閉じた。
この衝撃的なラストについて、米Varietyのインタビューでランドール監督は、実は2種類のエンディングを撮影していたと明かしている。
「シーズン6には2種類のエンディングがありました。そのうち一つはハッピーエンドで、本当に素晴らしい結末だったんです。もしあれが最終回だったら、リヴァーの物語を締めくくる魔法のようなラストになっていたでしょう。まるでスピルバーグ作品のような幸福感のある終わり方でした。私たちは、しばらくそのバージョンも検討していたのですが、原作とシーズン7で描くべき次の物語を考えると、最終的には今のエンディングを選ばなければなりませんでした」
「ただ、とても難しい判断でした。シーズン全体が非常に重く、多くの死や悲劇が描かれています。その上でラストもあれほど暗い終わり方にすると、視聴者を落胆させすぎてしまうのではないかと心配だったんです。本当に、みんなを失ったような気持ちにさせてしまわないかと不安でした」
リヴァーの生死については、演じるジャック・ロウデンが次期ジェームズ・ボンド候補として名前が挙がっていることから、降板のために劇中で命を落としたのではないかと死亡説が広がっている。しかし、ランドールはシーズン8の撮影現場にジャックがいたことを認めつつ、「ロンドン各地で撮影しているので、もう秘密にはしておけないと思います」と語り、詳細については明かさなかった。
また、シーズン6ではJK・コーとフライトという人気キャラクターが命を落とした。前者の最期については、一人でナイフだけを持って敵に向かったことが議論になったが、ランドールは「彼は仲間を執拗に追い詰めてきた敵を止めようとしただけで、とても勇敢な行動だったと思います」と説明。「一番辛かったのは、これから先の『窓際のスパイ』にコーがいないことです。シーズン8を撮っていても“ここにコーがいてくれたら”と思ってしまいます。それほど唯一無二のキャラクターでした」と惜しんだ。
最終話で最大の見せ場となった海岸での銃撃戦は、撮影面でも苦労の連続だったという。ランドールは、脚本上では成立していても実際のロケ地では地形が合わず、「登場人物の位置関係を観客に伝わるようにすることが最大の課題でした」と説明。そのためロケ地に合わせて脚本を書き直し、VFXで崖や草木を追加して「なぜ彼らが逃げられないのかが自然に見えるよう工夫しました」と明かした。
また、スラウハウスのメンバーが隠れていた配管の内部から海岸を映した印象的なカットについては、実際には撮影用に配管を制作。配管内部はカメラを動かせる範囲が極めて限られ、さらに太陽の位置によって光が大きく変化するため、「撮影できる時間帯まで制限され、とても難しいシーンでした」と振り返っている。
衝撃的なラストで幕を閉じたシーズン6は、当初はリヴァーとシドに幸せな未来を用意した結末も存在していたことが判明した。最終的には原作とシーズン7以降の物語を優先した形となったが、もし別のエンディングが採用されていれば、『窓際のスパイ』はまったく異なる余韻を残していたのかもしれない。





