『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』という巨大フランチャイズの創設者として知られるドナルド・P・ベリサリオ。彼は長年、アメリカ海軍をスタイリッシュかつ魅力的に描き出すことで、同組織のイメージ向上に多大なる貢献を果たしてきた。しかし、彼と軍組織との関係は、決して最初から順風満帆なものではなかった。テレビ芸術科学アカデミー基金(Television Academy Foundation)のインタビューに応じたベリサリオは、自身の代表作の一つで『NCIS』のオリジナルとしても知られる『JAG 犯罪捜査官ネイビーファイル』の初期、海軍から激しい反発に直面していた事実を明かした。驚くべきことに、当時の海軍は「自分たちの弁護士を主役にしたドラマ」というアイデアを、全く歓迎していなかったのである。
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撮影現場への露骨な圧力
ベリサリオによれば、海軍はパイロット版(試作となるエピソード)の段階から、極めて非協力的な態度をとっていたという。
「海軍はパイロット版において、実に妨害的だった。テキサス州コーパスクリスティにある保存船(ミュージアム・シップ)で撮影を行っていたのですが、海軍は、もし私に協力するならば、その船への物資を差し止めるとまで脅したのだ。こうした妨害は、翌年まで続いた」と、当時を振り返る。現場の保存船に対して物資の供給を止めるという、軍事組織ならではの苛烈な圧力。このエピソードからも、当時の海軍がいかに本作を敵視していたかがうかがえる。
転換点となったのは、ある高官の死と説得
90年代にヒットを記録したこのシリーズに対し、海軍がようやく受容的な姿勢を見せ始めたのは、当時の海軍作戦部長マイケル・ボーダの死後であった。
変化をもたらしたのは、アメリカ海兵隊の元高官であるオリバー・ノースによる進言だった。オリバーは海軍当局者に対し、「『JAG』は組織のイメージを向上させる大きな可能性を秘めている」と粘り強く説得。この介入をきっかけに、事態は劇的に好転した。
「次に気づいた時には、海軍は私を助けてくれるようになっていた。彼らはようやく結局のところ、制作者たちは我々のために実によい仕事をしてくれていると気づいてくれた」と語る。オリバーが海軍との橋渡し役を担って以来、組織は番組制作を全面的に支援するようになった。
実際、海軍とアメリカ海兵隊の両組織は、このCBSの人気シリーズに対して専門知識を提供し、脚本へのフィードバック、さらにはエピソード撮影のための基地使用までも許可するようになったのである。
「悪」を描きながらも軍の誇りを守る絶妙なバランス
もちろん、『JAG』が常に海軍を聖人君子として描いていたわけではない。劇中では、海軍将校が犯罪に手を染め、訴追されるエピソードもしばしば登場する。しかし、番組全体に流れる「親軍的」な精神が、最終的に海軍を納得させた。
元海軍当局者のボブ・アンダーソンは、ロサンゼルス・タイムズの取材に対し、「番組には悪役がいなければならない。さもなければドラマが成立しないからだ」とした上で、「しかし最後には、海軍は正しいことをする。悪い人間は罰せられ、善良な人間は報われるのだ」と述べている。
番組を強力に支持したオリバーも、その情熱は本物であった。この元軍高官は、単なるアドバイザーに留まらず、計3つのエピソードにゲストスターとして出演まで果たしている。
『JAG 犯罪捜査官ネイビーファイル』はDVDが発売・レンタル中。また、本作から派生した『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1~22はHuluで配信中。(海外ドラマNAVI)




