ハリウッドと聞くと華やかなイメージだが、ある程度実績のある俳優でも厳しい生活を強いられているようだ。およそ30年にわたりドラマ界で活躍してきたカーク・アセヴェドが、自身の状況を率直に語っている。米Hollywood Reporterが報じた。
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2008年から2013年にかけて米FOXで放送され、世界中で …
Aリスト俳優でも駆け出し俳優でもないからこそ
現在54歳のカークは、1997年から放送された米HBOの刑務所ドラマ『OZ/オズ』のミゲル・アルバレス役をはじめ、伝説の戦争ドラマ『バンド・オブ・ブラザース』のジョセフ・D・トイ役、『FRINGE/フリンジ』のチャーリー・フランシス役、『12モンキーズ』のホセ・ラムゼ役、『ARROW/アロー』のリカルド・ディアス/ドラゴン役など、様々な人気ドラマでレギュラーを務めてきた。



しかし、近年は業界の経済変化とクリエイティブ職減少の影響を受けているという。映画・テレビ業界で働く俳優のリアルな体験や苦労に焦点を当てるポッドキャスト番組『An Actor Despairs(一人の俳優の苦悩)』で、カークは生活を維持するために自宅を売らざるを得なかったことを明かした。
2010年代後半には前述のドラマやジェームズ・ワン製作のホラー映画『インシディアス 最後の鍵』などで「休みなく働いていた」カークだが、新型コロナのパンデミックを機に仕事が途切れることに。さらには、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』や『ドント・ブリーズ2』の重要な役も逃したことも痛かったと振り返る。
「2021年にはいくつかのドラマの候補に挙がったけど、どれもあと一歩で決まらなかった。決まっていれば助かったのにうまくいかず、ずっと2番手のままだった。現実として、2番手というのは最初に脱落する立場なんだ。休みなく働いていた状態から、今では家を売らなければならなくなった。これは自分だけじゃない。有名か否かに関係なく、俳優の多くが家を売らざるを得ないんだ」
現在のカールの現実はドラマで生計を立てることだが、俳優の門戸拡大が彼のようなベテラン俳優を厳しい状況に追いやっていると語る。「今、本当に生活できるのはテレビだけ。映画では自分のような俳優には厳しい。提示される報酬は生活できる水準ですらない。しかも今は映画スターたちもドラマ界に流れてきている。昔のように映画が作られなくなっているからだ。オスカー俳優が8話〜13話のドラマに何度も出演していて、そういう人たちと競争しなければならない。“カークに適正な報酬を払うべきか、それとも10年前にオスカー候補だった俳優を起用するか”という話になる。問題が分かるだろう? どんな国のどんな経済でも同じだが、いつだって中流階級は締め出されるんだ」
コロナ禍以降も『スター・トレック:ピカード』や『特殊作戦部隊:ライオネス』の仕事を得たものの、その収益構造も変化していると説明する。
「例えば、ゲスト出演を10話分やって10万ドル稼いだとする。そこからエージェントとマネージャーに20%払うと、残金は8万ドル。さらに税金がかかると(仮に38%とすると)4万5000ドルが残る。家賃が月3000ドルだとすれば、年間3万6000ドル。10話分の出演で生活できるか? 駆け出しなら可能かもしれないけどね」
カークによると、特に厳しい立場に置かれるのが「年齢を重ねた中堅俳優」。若手俳優と競争しながらかつての報酬水準を維持することが難しいからだ。「ずっと安定して仕事をしてきたのに、突然それが止まる。制作側は正規の報酬を払わず、数少ない主要キャストだけを優遇し、それ以外はゲスト扱いにする。そうすれば制作費を抑えられるからだ。今は誰もが仕事を必要としているから、それが簡単にできてしまう。タダでやる俳優さえいる。僕たちには交渉力がないんだ」
ここ数年、コスト削減や経営統合、コロナ禍、2023年にはダブルストライキに見舞われてきたハリウッド。その影響をカーク以外の俳優も色濃く受けており、2019年にエミー賞を受賞した『POSE』のビリー・ポーターは家を売らざるを得なかったと2023年に告白。『SEAL Team/シール・チーム』に全7シーズンにわたりレイモンド・“レイ”・ペリー役でレギュラー出演したニール・ブラウン・Jrも、今回のカールの発言内容を「事実だ」と綴っている。
『FRINGE/フリンジ』全5シーズンはU-NEXTなどで配信中。(海外ドラマNAVI)







