その複雑怪奇な設定ゆえに観客へ浸透するには時間を要したが、一度火がつくと「テレビ史上最も精緻かつ説得力のあるタイムトラベル作品」として、批評家やファンの間で不動の地位を築き上げたドイツ発のNetflixシリーズ『DARK ダーク』。一点の曇りもない完璧なフィナーレで幕を閉じてから5年が経つが、本作がSFジャンルに残した爪痕はあまりに深く、今なお多くのファンが“あの衝撃”を超える体験を渇望し続けている。しかし今、Apple TVの見落とされがちなあるSFドラマが、その大きな空白を埋める存在として急速に注目を集めている。
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量子力学が描き出す一筋縄ではいかない愛
『DARK』と同様に、Apple TVの『ダーク・マター』もまた、複雑なSF設定の裏側に「濃密な愛の物語」を秘めた作品だ。『DARK』がタイムパラドックスや因果のループを駆使し、運命に翻弄される人々を描いたのに対し、『ダーク・マター』は量子力学に独創的な解釈を加え、マルチバース(並行世界)を舞台に物語を紡ぐ。しかし、両作の核心にあるのは、人間の執着や後悔、そして「あの時、別の選択をしていたら?」という問いが、いかに個人の現実を崩壊させていくかという残酷な真実だ。
ジョナスとマルタという二つの魂が、世界を破滅に導いてでも結ばれようとする様を描いた『DARK』。対して『ダーク・マター』は、人生で多くの機会を逃してきたと気づいた男(ジョエル・エドガートン)が、自らの真の居場所“愛する妻のいる元の現実”を取り戻そうと奔走する物語である。どちらの作品においても、キャラクターたちは愛を守るために時間を超越、あるいは新たなタイムラインを生成し、その選択が招く破滅的な代償さえも受け入れていく。
完璧な『DARK』後継作としてのポテンシャル
物語の構造に目を向けると、『ダーク・マター』は少なくともシーズン1に関しては比較的直線的で、地に足のついた展開を見せる。対照的に『DARK』は、視聴者を意図的な混沌へと誘い込み、実存主義的なテーマを強調するスタイルを貫いた。
正直に言えば、『DARK』が達成した「因果律、パラドックス、世代間トラウマ」の完璧な融合は、後続のSF作品が太刀打ちできないほどの高みに達している。それゆえ、まだ1シーズンが始まったばかりの『ダーク・マター』を安易に「正当な後継作」と呼ぶのはまだ少し早いかもしれない。
しかし、それでもなお、本作は『DARK』ファンが待ち望んでいた「脳を揺さぶる体験」を十分に提供してくれる。いかに優れた番組が登場しようとも、バラン・ボー・オダーが生み出したあの天才的な域に到達するのは至難の業だ。それでも『ダーク・マター』は、彼らが去った後の孤独な夜を、知的興奮とエモーショナルな感動で満たしてくれるはずだ。
Netflixシリーズ『DARK ダーク』全3シーズンは独占配信中。『ダーク・マター』はApple TVにて独占配信中。(海外ドラマNAVI)






