人気ドラマ『ウォーキング・デッド』のスピンオフの1つである『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』。オリジナルで人気を博したキャラクター、ダリルを中心に描いた物語は、舞台をアメリカからヨーロッパに変えて描かれた。シリーズのスタート場所となったフランスでの作品作りについて、同シリーズの製作陣が振り返った。米Varietyが報じている。
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フランスはハリウッド作品にとって理想的なロケ地
日々の撮影や管理を担当するラインプロデューサーのラファエル・ベノリエルとプロデューサーのオーギュスタン・ド・ベロワの指揮のもと、シーズン1と2の撮影は160日間にわたり、モン・サン=ミシェルからルーヴル美術館までフランス各地で行われた。
ベノリエルとド・ベロワは、米AMCがシリーズ全編をヨーロッパで撮影した初めての作品『〜ダリル・ディクソン』の裏話を披露した。
「アメリカで『ウォーキング・デッド』は素晴らしい看板番組です。AMCはその勢いを維持しつつ、さらに刺激を与えたいと考えていました。ある日AMC幹部が“エッフェル塔の下にダリル・ディクソンを登場させては?”と提案したんです」とド・ベロワは冗談めかして語った。
制作会社レフト&ライトのプロデューサーは、AMCが「物語をフランスに設定したい」と当初から考えていたものの、実際にフランスで撮影するかどうかは未定だったと明かす。アイルランドなど他の候補地も検討されたが、ベノリエルとド・ベロワは「芸術的にも財政的にもフランスが最適」と説得した。実際、シーズン2にはメイン州やグリーンランドが舞台のエピソードもあるが、撮影はパリ郊外やアルプスで行われている。
さらにド・ベロワは、舞台はフランス以外でもフランスで撮影された最近の例として、『エミリア・ペレス』(舞台はメキシコ)、デミ・ムーア主演『サブスタンス』(舞台はロサンゼルス)、ナタリー・ポートマン主演の新作『The Gallerist(原題)』(舞台はマイアミ)を挙げた。
強力な税制優遇措置(最大40%還付、うちVFX映画には追加10%)に加え、ルーヴル美術館をはじめとする名所もフランスが人気撮影地となる理由のひとつだ。ベノリエルは「ルーヴルのツアーに案内した際、“モナリザの前でゾンビのシーンなんて無理だろう”と驚かれましたが、私は“できます”と答え、実際に実現しました」と振り返る。
彼は最近『エミリー、パリへ行く』シーズン5の撮影を終えたばかりで、有名施設を押さえるには費用(警備費を除き約2万ユーロ)より計画が重要だと指摘する。ルーヴルやヴェルサイユ宮殿は常に1年先まで予約が埋まっているため、早めの手配が必須だという。
『〜ダリル・ディクソン』の大部分は屋外で撮影され、残りは主にスタジオ・ド・パリで行われた。スタッフはムーラン・ルージュなども見事に再現している。シーズン3と4はスペインで撮影されているが、主要スタッフの一部は引き続きフランスから参加し、ポストプロダクションとVFXにもベノリエルとド・ベロワが関わっている。そのため制作陣はフランスの税制優遇を受け続けられている。
二人は「税還付を最大化」するため、スタッフの99%をフランス人で編成した。「アメリカからは約10名。エグゼクティブプロデューサーやショーランナーのデヴィッド・ザベル、監督陣、メイクアップアーティストのグレッグ・ニコテロとそのチームくらいです。それ以外はフランス人で、両者は打ち合わせを楽しんでいました」と語る。
同エグゼクティブプロデューサーは税制優遇措置の拡充にも積極的に働きかけており、現在フランスでは最大5本の主要制作を同時に受け入れられる体制が整っているという。「『ニュールック』(Appleオリジナル)撮影中にも、『エミリー、パリへ行く』『〜ダリル・ディクソン』『エトワール』を同時進行で担当していました。5本目が加わっても一流スタッフを確保できるはずです」と語り、フランスがハリウッド作品にとって理想的なロケ地であることを強調した。
『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』シーズン1〜3は、U-NEXTにて独占配信中。(海外ドラマNAVI)