
同名の大人気サバイバル・アクションゲームのドラマ版『THE LAST OF US』。シーズン1では、そのクオリティの高さで2024年のエミー賞8冠に輝いた本作。シーズン2の配信を記念し、オリジナルのゲーム版脚本家で、ドラマ版の脚本・製作に関わったニール・ドラックマンと脚本と共同製作総指揮を務めるハレー・グロスにインタビューを行った。
ニール・ドラックマン&ハレー・グロスのインタビュー

――ゲームをプレイした人はすでにこの物語の展開を知っているわけですが、ドラマ版ではそれを踏まえた上でどのようにサプライズを演出しようとしましたか。
ドラックマン:ドラマにサプライズをわざと入れようと思ったことはありません。何かを変更して驚かせようとするのではなく、ドラマという形式に合うようにしないといけないという点を変えたらそれがサプライズになることはありました。また、ゲームであまり描かれなかった物語をもっと掘り下げていくという作業もありました。それが視聴者にとってはサプライズになるのかもしれませんが。
例えばシーズン2ではユージーンというキャラクターのストーリーがもっと描かれています。アイゼックも同じです。そういう点がサプライズになっているかもしれません。
グロス:彼の言う通りですね。ジョエルやエリーの物語を、もっといい形で表現できると思えば、ドラマ版ではそのように変更しているというところが違いになると思います。
――ドラックマンはイスラエル出身でアメリカに移住したという経歴をお持ちだと思いますが、イスラエルでの幼少期や経験が、本作の脚本に影響を与えていると思いますか。また、ハリーは女性としての視点を通して物語を描きましたか。
ドラックマン:脚本家というものは、自分の経験に基づいてしか書けないと思っています。私も子どもの頃とはいえ、イスラエルでは色々な政治的なものを見て育ちました。そしてアメリカへの移住もトラウマ的な経験でした。文化も言葉も分かりませんでしたし。私の両親は、嘘を言う癖があって。なぜかアメリカに住むようになったのです。ですが両親は私を守ろうとして、そのような嘘をついたのです。ジョエルがエリーを守るために嘘をついたように。ですので、おっしゃるように私の経験、知識全てが、私の生み出すものに繋がっていると言えます。切り離すことはできませんから。そのような自分の経験こそが、“本物”を作り出すと考えています。
グロス:ニールが言ったことと同じですが、私も自分の経験に基づいて執筆します。女性か男性かと言うのを気にしながら書いたことはありませんが、たまたま私は女性なので、女性としての視点で描いた部分はあると思います。
――シーズン2のトレイラーでは、カナダに建設されたセットでの大掛かりな爆発やアクションシーンが出ています。ゲームの中での同じシーンを、生身の人間である俳優たちが演じているのを自分の目で見て、いかがでしたか。
グロス:最高でした! 才能豊かなあのキャストたちが、素晴らしい演技をしているのを見て、とても感激しました。またクリエイターとして、ドラマ製作の過程も見られて色々学びました。
ドラックマン:ジャクソンの街は、本当に更地だったところから全て建設されたんです。外観だけでなくインテリアまで全て作ったのに、それをシーンのために焼いてしまったところもありました。それだけでも、すごいと思っていたのですが、撮影後にVFXが加えられた映像を見たら、ものすごい予算で作られた大作映画のようなものになっていました。視聴者の中にはヒューマンドラマとして見る人もいると思いますし、アクションドラマとして楽しむ人もいると思います。その両方の要素が組み合わさって、このような素晴らしい作品ができたことをとても誇りに思っています。
――シーズン2第1話に、『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』のラルフ役や『マトリックス』『バッドボーイズ』シリーズなどで知られるジョー・パントリアーノが出演していますね。彼を起用した経緯を教えてください。
ドラックマン:クレイグはいつも、「コメディに出ている俳優を使いたい」と言っていたんです。もちろんジョーはコメディ以外にもたくさん出ていますが。ジョーが演じると、暗闇の中にも光がさしてくるようなシーンになるのです。ネタバレなしでお話するのは難しいですが、ジョーの演じるキャラクターは、シーズン2の核となる重要なストーリーを担います。非常に美しい物語なので、それを演じきれる素晴らしい俳優を探していたのです。ジョーがこの仕事を引き受けてくれて、本当によかったです。
――シーズン2では、難民を受け入れるかどうかとい点も描かれていますが、これは今の世の中を反映したものなのでしょうか。
ドラックマン:人間は色々なタイプに分かれると思います。ジョエルは、エリーのためだけに生き、その他の人間はどうなってもいいと思っています。ファイアフライのメンバーは、個人ではなく、もっと多くの人間を救うためにと思って行動しています。そのような意見の違いは今に始まったことではなく、昔からある論争であり、シーズン2に通ずるところもあるでしょう。
――ドラマの製作の中で一番大変だったことは何ですか。
グロス:ゲームでは物語はある程度構成が決まっているものですが、ドラマでは色々なオプションがある点です。早い段階で、どのような視点で、誰の視点で、と言う構成を考えなければなりませんでした。
ドラックマン:シーズン1は、ゲーム版の1の物語にぴったり収まっています。シーズン2に関して言えば、ゲーム版の2は収まりきらない量の物語だったので、ドラマのシーズン2はどこまでを描くか、どこでやめるか、何話にするかと言うのがわからなかったので、そこを考えないといけなかったのがチャレンジでした。
――シーズン1を見た後に、更新が発表されてシーズン2を製作したと思いますが、その脚本を書く際に、キャラクターではなく演じた俳優個人のことが印象に残り、無意識でも頭に思い浮かべながら執筆したと言うことはありましたか。
グロス:すごく面白い質問ですね。私の場合はゲーム版の執筆が先だったので、常にキャラクターを最初に思い浮かべて書いていました。ニールはどう?
ドラックマン:そうですね。「これは、エリーじゃなくベラ・ラムジーだ、これはアビーじゃなくケイトリン・デヴァーだ」と思いながら書くことはないですからね。ただ、クレイグともよく話したのですが、撮影している段階で、「このセリフはベラには合わないかもしれない」とか「ケイトリンは言いにくそうだ」と言うものがあれば、修正はしました。ゲームでこうだから、ではなく“そのシーンのエモーションに合う”と言うことが大事だったのです。場合によっては3パターンくらいセリフを用意して、最終的にどれかを使うということもありました。
――ゲーマーだけが視聴者になるかと思われていましたが、ゲームを知らない人も見て世界中で話題になる程の大ヒット作となりました。そのことについてどう思いますか。
グロス:ゲーム版を知らない人にまで届いていて応援してくれてとても嬉しいです。私の母はゲームをしないので、私が4年半費やして作ったこのゲーム版のことももちろん知りませんでした。でもこのドラマ版を見て、私のやっていたことをわかってもらえてとても嬉しかったです。本作は人間ドラマなので、家族と見てもらいたいと思っています。
ドラックマン:ものすごい人数の人たちが見ていることに驚いています。ヒットするかどうかわからなかったのに、HBO、SONYは、我々の本作にかける思いを信じてくれ、最高の俳優、VFXスタッフ、特殊メイクスタッフ、スタントと本作を制作できる環境を用意してくれたのです。売れるか売れないかと言うことより、良いものを作ろうということで皆が協力した結果、視聴者の皆さんにもその思いが届いたのだと思っています。
『THE LAST OF US』シーズン1~2配信情報

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・『THE LAST OF US』シーズン1
U-NEXTにて全話配信中
・『THE LAST OF US』シーズン2(全7話)
【字幕版】U-NEXTにて4月14日(月)第1話配信開始 以降毎週月曜週次配信
【日本語吹替版】2025年6月配信予定
【視聴ページ】
・『THE LAST OF US』シーズン1
・『THE LAST OF US』シーズン2
関連インタビュー記事
・アビー役ケイトリン・デヴァー
・製作総指揮クレイグ・メイジン
・エリー役ベラ・ラムジー
・トミー役ガブリエル・ルナ&マリア役ルティナ・ウェスリー
(取材・翻訳/Erina Austen)
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