『ダメージ』シーズン1の衝撃展開 物語を新たな方向へ導いた一話とは?
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米FXとAudience Networkで2007~2012年に放送され、ゴールデングローブ賞と2度のエミー賞に輝いた大人気リーガル・サスペンス『ダメージ』。全シーズンを通して緊迫した空気を漂わせ続ける本作において、とりわけ重要な分岐点となったエピソードがある。

 

海外ドラマ『ダメージ』とは?

本作は、敏腕弁護士パティ・ヒューズ(グレン・クローズ)と、彼女に運命を狂わされてゆく新米弁護士エレン・パーソンズ(ローズ・バーン)を中心に、難解な訴訟事件と、そこからあぶり出される社会の暗部を、斬新なフラッシュバックを取り入れ描く。

「大義のための勝利」ではなく、ただ勝つことにこだわるパティの腐敗した世界にエレンは引き込まれていくが、全5シーズンを通じて描かれるのは、この二人の危うい対立関係だ。『ダメージ』では、常に緊迫感が漂い、どの場面も2人にとって後戻りのできない分岐点となり得るが、なかでもシーズン1の最終話は、シリーズの中でも特に衝撃的なエピソードで、物語の流れを大きく変える節目となった。

以下、『ダメージ』シーズン1のネタバレがあります。

衝撃的な展開を迎える『ダメージ』シーズン1

『ダメージ』のシーズン1では、物語は過去と現在という二つのタイムラインで進行。各エピソードが進むにつれてその異なる時間が近づいていき、最終話でようやくすべての謎が明らかになるという作りだった。「現在」の時間軸では、エレンが命を狙われるも一命を取り留め、その直後に彼女は婚約者デービッド(ノア・ビーン)を殺害した容疑で追及される。そこから6カ月前の「過去」へとさかのぼり、視聴者はこの危うい状況の始まりとその過程を理解していくことになる。

シーズン1の軸となるのは、失墜した億万長者アーサー・フロビシャー(テッド・ダンソン)を相手取った訴訟案件。実はパティがエレンを雇ったのは、フロビシャー事件に関係する重要証人──エレンの婚約者デービッドの妹──に接触する必要があったからだった。その後、エレンはパティの手法がいかに非倫理的で汚れたものであるかを理解していき、いつしか自らもその「ゲーム」に加わっていく。

パティとフロビシャー側は冷酷な手法で牽制し合うが、やがてエレンは、フロビシャー側の弁護士レイ・フィスク(ジェリコ・イヴァネク)に関する、訴訟の勝敗を左右するほどのネタを手に入れる。ほどなくして、その恐喝が引き金となり、レイはパティの目の前で自ら命を絶つ。誰もいない彼女のオフィスで起こるこの出来事は、物語の緊迫感をさらに高め、パティという人物の闇の深さをあらためて印象づけた。

その後、ヒューズ法律事務所が警察の捜査対象となると、パティはエレンに頼るしかない状況に。恐喝に使われた証拠を警察から隠すため、二人は協力して証拠隠滅を図るのだ。この一件を通じ、エレンとパティの互いへの「信頼」は完全ではないことが浮き彫りになり、さらに第1話以来築かれてきた二人の関係性──支配する者とされる者──が逆転。主導権はエレンへと移り、二人の関係は新たな局面へと突入していく。

エレンとパティの関係

シーズン1の終盤、エレンは何者かに襲撃されるが、それはパティの関与を疑わせるように描かれた。しかしその後、フロビシャー側の手によってデービッドが殺害されてしまう。エレンはその罪で不当に訴追されるが、彼女はフロビシャーを打ち負かすために必要な重要証拠を握っており、それを手に入れるために、パティは彼女の無実を証明せざるを得なくなる。

シーズン1の最終話では、ヒューズ法律事務所は裁判に勝利し、パティの別荘でエレンとパティは再会。2人は一見和解したように見えるが、その周囲に広がる静かな湖面が、まるで嵐の前の静けさを象徴しているように見せている。

エレンはシーズン1を通して、自身が極めて強力なプレイヤーであることを証明。その後のシーズンでは、さまざまな法廷闘争が繰り広げられるが、物語の核心をなすのは、やはりパティとエレンの間にある激しい駆け引きと緊張感であり、それこそが『ダメージ』を見逃せないドラマにした最大の要因だろう。

『ダメージ』はHuluU-NEXTにて全シーズン配信中。(海外ドラマNAVI)

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