Netflixの密着取材がF1をダメにした?英ベテラン司会者が辛辣批判

Netflixの大ヒットドキュメンタリーシリーズ『Formula 1:栄光のグランプリ』は、F1を新たなファン層に広めたと評価されているが、一部のF1ファンや評論家からは、ドライバーが以前よりもつまらなくなったという声も上がっている。

 

ドライバーがNetflixのカメラを意識しすぎ?

『Formula 1:栄光のグランプリ』は、世界各地で開催されるF1レースの舞台裏に密着し、ドライバー、チーム、マネージャーたちのドラマや戦略を映し出す。同シリーズは、F1の人気拡大に大きく貢献し、特にアメリカ市場ではF1の認知度が大幅に向上した。

一方で、同シリーズに対しては批判の声も挙げられている。世界的にヒットした英BBCの自動車番組『トップ・ギア』の元司会者であり、現在はAmazonプライム・ビデオの『グランド・ツアー』を率いるジェレミー・クラークソンもその一人だ。彼は英ザ・サン紙で、F1ドライバーの華やかさが失われたと指摘している。

クラークソンは、「F1ドライバーは週に3時間のレースよりも、300時間のインタビューに時間を取られている。トラックに向かう途中でも、トラックの上でも、レース前もレース後も、とにかく常にインタビューされているのが現状だ」と語る。

さらに、「トップ3に入ると事態はさらに悪化する。レース後すぐにインタビューを受け、その後、表彰台に上がったドライバー同士で話す場面も撮影される。そして、また次のインタビューが待っている」と付け加えた。

クラークソンは、これほど頻繁にインタビューが行われるスポーツは他にないとし、3月中旬に行われたオーストラリアGPを例に挙げた。このレースでは、フェルナンド・アロンソもマックス・フェルスタッペンも、Netflixのクルーが記録していることを意識しすぎて、本音を語ることを避けていたという。

かつての『Formula 1:栄光のグランプリ』では、ドライバーが録音されていることを意識せずに、白熱した口論が交わされる場面がよく見られた。しかし現在では、Netflixのマイクを見た途端、誰もがPRモードに入ってしまうとクラークソンは嘆く。

『Formula 1:栄光のグランプリ』は現在シーズン7を迎え、その大成功を受けて、スポーツ界の舞台裏を描く類似シリーズが次々と誕生している。テニス界の『ブレイクポイント:ラケットの向こうに』や、プロゴルフ界を描く『フルスイング:その一打が勝負を分ける』もその一例だ。

クラークソンの指摘が的を射ているかどうかは意見が分かれるが、F1のエンターテイメント性が変化しているのは確かである。Netflixによる密着取材が、F1ドライバーのキャラクターや発言にどのような影響を与え続けるのか、今後も議論が続きそうだ。

『Formula 1:栄光のグランプリ』シーズン1〜7は、Netflixにて独占配信中。クラークソンが司会を務める『グランド・ツアー』シーズン1〜6は、Amazonプライム・ビデオにて配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:Formula 1: Drive to Survive Season 7. (L to R) Lando Norris, Lewis Hamilton, in Formula 1: Drive to Survive Season 7.
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