『ウエストワールド』が4シーズンで打ち切られた理由

米西部開拓時代を再現したテーマパークを舞台に、人間そっくりなホスト(アンドロイド)たちの覚醒と復讐を描く米HBOのSF大作ドラマ『ウエストワールド』。2016年に放送がスタートした本作は、エミー賞では通算7冠を獲得するほど高く評価されていたが、残念ながら2022年にシーズン4をもって打ち切りとなった。人気作の幕が下された理由とは? 米The Hollywood Reporterが伝える。

 

映画『スター・ウォーズ』シリーズや、人気TVシリーズ『LOST』『FRINGE/フリンジ』などを手掛けてきたJ・J・エイブラムスが製作総指揮を務める本作は、HBOにとって大きな挑戦とされ、シーズン1の製作費は1億ドル(約151億円)と見積もられるほどであった。

シーズン1はその期待に応えるだけの成果を残し、全プラットフォーム合計で週間視聴者数は平均1,200万人を記録、HBOで最も視聴されたオリジナルシリーズとなった。しかし、シリーズの構成が変化したシーズン4では、視聴者数が約400万人まで減少。視聴者数が減ったものの、シーズン4の製作費は少なくとも1億6,000万ドル(約242億円)だったという。

これは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の新シーズンを1億2,500万ドル(約189億円)で製作し、その前日譚『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』はシーズン1の平均視聴者数が約2,900万人という大ヒットを記録していたことを考えると高額な製作費を正当化するには十分とは言えない数字だった。

『ウエストワールド』は2シーズンごとに舞台を変えていたこともあり、製作や宣伝に莫大な費用がかかっていた。しかし先述の通り、視聴率(及びレビュー)は下降の一途を辿り、HBOがより視聴率を稼げるほかの作品に注力する決断をすることは仕方なかったのかもしれない。

本作は放送期間中にエミー賞ノミネート数が50を超え、特にシーズン1&2ではそれぞれ20以上のノミネートを獲得。しかし、シーズン3ではその半数にとどまった。当初は6シーズンの製作が予定されていたが、莫大な製作費に見合わない視聴数や賞レースでの注目度の低下が打ち切りにつながってしまったようだ。

『ウエストワールド』全4シーズンは、U-NEXTで配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ウエストワールド』Photograph by John Johnson/HBO