『ザ・タワー』木下紗華、三上哲が明かす海外ドラマ吹替の難しさとは【インタビュー】

世界70エリア以上で放送され大ヒットした英国ミステリー『ザ・タワー ~刑事サラ・コリンズの捜査~』。本作の日本語吹替版で、サラ・コリンズ役を務めた木下紗華、キーラン・ショウ役を務めた三上哲にインタビュー! 本作の見どころやアフレコ現場での舞台裏について話を伺った。

『ザ・タワー ~刑事サラ・コリンズの捜査~』あらすじ

ベテラン警官と10代の少女が、ロンドンの高層ビルの屋上から転落して死亡した。屋上には新人警察官のリジー・アダマと5歳の少年が残っていたが、数時間後、リジーは姿を消す。DSI(特別捜査局)のサラ・コリンズは、事件の真相を探るべく捜査を進めるうち、複雑で多様性にあふれた都市警察の闇を目にすることになる。

『ザ・タワー ~刑事サラ・コリンズの捜査~』日本語版吹替声優インタビュー

――まず、本作の率直な感想をお聞かせください。

木下:刑事モノというと、銃撃戦などアクションの激しい作品が多いですが、本作は全体的な流れがとても静かですよね。そういったところがとてもイギリスのドラマらしいなと感じました。

三上:脚本がとにかく緻密ですよね。事件発生直後から物語が始まりますが、淡々と話が進んでいく。警察の内部事情など、とてもリアルに感じました。原作者がもともと刑事だったそうなので、我々が知りえない警察の闇を如実に表現できるのかなと思いました。

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――日本語吹替を担当するにあたって、アフレコで意識したことはありますか?

木下:会話が中心なので「伝える」ことを常に意識しました。特にサラはとても頭のいい人で、整理したことをすぐ言葉に出すタイプです。説明するような場面が多いので、視聴者さんに向けてってわけではないんですけれども、なるべく伝わりやすいように心がけました。

三上:キーランについては…、話過ぎるとネタバレになっちゃうね(笑) 本心がわからない人なので、匂わせてますよっていうのも出さないようにしなきゃならない。

木下:引っかき回す役ですよね。

三上:そう。演じている役者さんの表現にできるだけ忠実にしました。説明しすぎないように気を付けましたね。

――会話が中心ということですが、言い合うシーンも多いですよね。

木下:皮肉をチクチク言い合いながら、それを受けてちゃんと返す静かな喧嘩がありますね。

三上:反発する方も仲間意識ゆえにというか、身内を守るためだという心理なのはわかるので。完全な悪というのが存在しないのが本作の特徴かなと思います。

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――海外の作品を吹替版で視聴することの魅力は何だとお考えですか?

木下:字幕を追わなくていい。やはり役者さんの表情が見られることが一番大きいですかね。

三上:吹替版は情報量が多いってよく言いますよね。音を聞きながら表情にも集中できるので、ストーリーを楽しみたい人には吹替版がおすすめかもしれません。

木下:吹き替えって職人仕事な部分がありますよね。声を当てると言っても、役者さんの表情ありき。例えば呼吸の回数にも気を付けます。今、役者さんは息を吸ってからセリフを喋る。そういう細かいところを見て、本番でさりげなくやるのが仕事だなと思っています。役者さんは口閉じてるのに話してるなとか思われちゃったら…。

三上:違和感があったらダメだからね。表現が良くても、噛んじゃったらNGだし。

木下:それでいうと、本作では「マシューズ巡査」というフレーズが何度か出てくるんですけれども、我々でもなかなか難しくて。いかに手こずってない感を出すかが大事。

――興味深いです。そのほか、アフレコ現場での思い出があれば教えてください。

三上:ちょっとネタバレになっちゃいますけど、キーランはベッドシーンがあるんです。本作には、東京アニメーションカレッジ専門学校の学生4人がアフレコに参加していて。そのシーンのときもキラキラした顔でアフレコを見学していたから、ちょっと照れ臭かったですね(笑)

木下:私も、学生たちにかっこ悪いところを見せないようにって思いつつ、噛んじゃったことがありました(笑)

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――コロナ禍では、個別に収録されていたと聞きました。本作では皆さん現場にそろっていたそうですが、いかがでしたか?

木下:やっぱり、一緒かどうかで演技に違いが出てきますね。もちろんリハーサルは自宅でしてくるんですが、みんなで一緒に録ると、相手の熱量とか周りが作る空気感を感じて、家で練習してきたものと違うものが出ることがあります。

三上:一人での収録だと、家でやった通りのものしか出なかったり、ディレクションを受けて変わったりとかしかないので、やっぱり変わりますね。

――最後に、本作を楽しみにしている視聴者にメッセージをお願いします。

木下:一見普通の人に見えても、実は…という、奥深い作品です。

三上:事実かわからない情報もたくさん入ってくる。全3話で一気見しやすいのもいいですね。まずは吹替で見て、そのあと字幕でもう一度見ると、より理解できると思います。

木下:そうですね。ぜひ2回視聴してください!

――ありがとうございました!

『ザ・タワー ~刑事サラ・コリンズの捜査~』(日本語吹替版)

『ザ・タワー ~刑事サラ・コリンズの捜査~』はCSホームドラマチャンネルにて1月12日(日)放送スタート! 毎週日曜日19:30に最新エピソードを放送。
※2月2日(日)からは日本語字幕版を放送!

出演:ジェマ・ウィーラン、ジミー・アキンボラ、タヒラ・シャリフ、エメット・J・スキャンラン
声の出演:木下紗華、田島章寛、宮白桃子、三上哲

ドラマの詳細・予告編はこちら:https://www.homedrama-ch.com/series/17901