
人気映画監督のクエンティン・タランティーノが、映画とドラマシリーズの違いについて語った。米Varietyが伝えている。
ドラマのことは「5年後には何も覚えていない」
もうすぐ引退するとほのめかしているタランティーノといえば、『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』『キル・ビル』といった数々の名作を世に送り出し、主に映画の世界で活躍してきた。そんな彼がポッドキャスト番組『The Joe Rogan Experience(原題)』に出演し、映画とドラマの違いについて語った。
彼は、自身が好きなドラマ『イエローストーン』でさえ、名作映画と比べるのは難しいとコメント。ケヴィン・コスナー出演の『イエローストーン』は、今年シリーズフィナーレに向けて全米で大きな話題を集めたが、タランティーノにとってはあくまでも昼メロでしかなく、感情的な見返りに欠けているようだ。
「みんなが今のドラマ番組について議論している。それはとてもいいことだと思うよ。今の作品って結構いいよね。でも僕にとってはやっぱりドラマシリーズでしかない。ドラマシリーズと名作映画の違いは何かって? 最近のドラマは、まるで名作映画のような雰囲気があることも多い。映画的な手法を駆使して視聴者を惹きつけているんだ」
「『イエローストーン』を例に見てみよう。(番組開始から)3年くらい経ってからシーズン1を見てみたら“ワオ、これは超最高じゃないか”って思ったんだ。ずっとケヴィン・コスナーのファンだったし、彼は素晴らしかったよ。シーズン1は大作映画みたいで、脚本家も素晴らしかった。力強いモノローグとかいろいろな見どころがあった。結局、シーズン3まで見たし、スピンオフの『1883』もチェックしたよ。良い西部劇の作品だと思う」
そのように「作品に引き込まれたし、没頭していた」ものの、最終的には『イエローストーン』のことを「ただのソープオペラに過ぎない」と語るタランティーノ。「たくさんのキャラクターが登場して、それぞれの生い立ちやほかのキャラクターとの関係が描かれる。でも、視聴者は5年後には何も覚えていない。今その瞬間の細かいことに没頭しているだけなんだ」
「違いは、優れた西部劇の良い映画を見ると、それを一生覚えているということ。物語もシーンの数々もね。それが感情的なクライマックスに向かっていく。人間関係だけじゃなく、ストーリーが良いんだ。そしてちゃんとした見返りがある。ドラマシリーズには見返りがない。ドラマではとにかく次々といろんなことが起きて、見ている間はそれで満足だけど、全部終わった後には結局何が起きたのかを話すこともできない」と持論を展開した。
ドラマに対してやや辛辣な意見を披露したタランティーノは、確かに映画界を主戦場にしてきたが、ドラマ界と無縁だったわけではない。かつて自身がファンだと公言していた『CSI:科学捜査班』で脚本・監督を担ったことがあるほか、『エイリアス』に数話出演したり、『スーパーパンプト/Uber -破壊的ビジネスを創った男-』に声のみ参加したり、自身が脚本・出演などを務めた『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のドラマ版では製作総指揮に名を連ねたりしている。
いつかタランティーノに彼自身が納得のいくドラマを作ってほしい気もするが、引退をほのめかしていることから、実現の可能性は低そうだ。
『イエローストーン』シーズン1~3とスピンオフ『1883』『1923』はU-NEXTにて配信中。(海外ドラマNAVI)
Quentin Tarantino Says 'There's Not a Payoff' on TV Shows Like 'Yellowstone': When It's Over 'It's Out of My Head. It's Completely Gone' https://t.co/TXcSluHwRF
— Variety (@Variety) December 13, 2024
参考元:米Variety
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Photo:『イエローストーン』© 2018 Viacom International, Inc.