【Netflixドラマ】米メディアが選ぶ2024年のベスト&ワースト20作品

2024年も数多くのオリジナルシリーズを配信したNetflix。今年は今の時点でおよそ50作品の新作ドラマが誕生したが、Rotten Tomatoes(ロッテントマト)の評価をもとにしたベスト&ワーストそれぞれ10作品をご紹介しよう。

ベスト10

10位『ブラザーズ・サン』(84%)

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーが主演を務めた。

台湾の犯罪組織のリーダーだった父が殺され、追われる身になった伝説の暗殺者チャールズ・サンが、母と弟を守るためにロサンゼルスへ向かうところから幕を開ける。チャールズ役をジャスティン・チエン(『日月潭 異国で教師をはじめたら』)、弟ブルース役をサム・ソン・リー(『ベター・コール・ソウル』)、そして母“ママ・サン”ことアイリーン役をミシェルが演じていた。

シーズン1で打ち切りとなったが、評論家からは愛され、打ち切りを嘆く声も多かった。The Hinduは「ミシェルがアクション満載の犯罪家族ドラマを陽気な演技で主演している」と評価。

 

9位『リプリー』(86%)

パトリシア・ハイスミスの小説「太陽がいっぱい」のドラマ版。貧しい青年トム・リプリーかれる。過去にはマット・デイモン主演で映画化もされた作品だ。Netflixドラマ版では、『SHERLOCK シャーロック』『Fleabag フリーバッグ』で人気のアンドリュー・スコットが主演を務める。

贅沢な白黒の映像化のおかげで、古典小説からまだ得られる題材があることを証明したと評判になった。Award Buzzは「以前にも映像化はされたものの、Netflix版は新鮮で魅力的だ。チャーミングで驚くほどに注目を集め永続的な印象を残す」と書いている。

 

8位『グリセルダ』(86%)

『モダン・ファミリー』のソフィア・ベルガラが実在の麻薬女王を演じ、製作総指揮としても名を連ねた本作。莫大な利益を上げる一大カルテルを築き上げた、コロンビアの女性実業家グリセルダ・ブランコ。巧みな経営手腕と大きな野心を持ち、そして献身的な母親であった彼女の波乱万丈な生き様を描く。

推進力があり、暴力的で釘付けになると高評価。特に、ソフィアの演技力に絶賛する声が多く聞かれた。「道徳的な本質よりも、スタイルの勝利のように感じることがある。しかし、ソフィアはスクリーンを、そしてドラマ全体を見事に支配している」と、The Times誌のキャロル・ミグリー。

 

7位『Signal/シグナル』(86%)

『お名前はアドルフ?』のフロリアン・ダーヴィト・フィッツが主演を務めるドイツ発のミステリードラマ。

突然行方不明になった宇宙飛行士を必死で捜し始める家族たち。だが真実に近づくことは、自分たち、そしてこの世界をも危険にさらすことを意味していた。

野心的なストーリーに対し、地に足の着いたアプローチをとっていると高評価を得た。

6位『One Day/ワン・デイ』(91%)

2011年公開の映画『ワン・デイ 23年のラブストーリー』のドラマ版。

若い頃の恋愛の幸福感と悲しみの心痛を等しく優雅に捉えることができるTVドラマ、あるいは映画化されたエンターテイメントは稀である、と評価したのはThe Indian Expressのローハン・ナイ―ル。映画版と異なる描き方をした結果、説得力が高まり、ドラマ版のほうが良い出来であるとColliderは紹介している。

5位『デッドボーイ探偵社』(92%)

幽霊のエドウィンとチャールズがデッドボーイ探偵社として超常的な事件を解決していくSFミステリー。ニール・ゲイマンとマット・ワグナーによるDCコミックスが原作で、『サンドマン』のスピンオフドラマ。高い評価にも関わらず、残念ながらシーズン1にて打ち切りに。

カリスマ的なキャストと生き生きとしたストーリーが絶賛され、「包括性と想像力の光として際立っている。超自然的な陰謀、心のこもった友情、LGBTQ+の表現がシームレスにブレンドされたこの作品は、探偵というジャンルの新鮮なテイストを切望する視聴者にとって必見のドラマだ」とQ+マガジンのアレックス・ヴァレンシア。

4位『ヴィンス・ステイプルズ・ショー』(94%)

シーズン2の制作も決定済みのコメディシリーズ。

ラッパーで俳優のヴィンス・ステイプルズが地元ロングビーチのやばすぎる日常を描きだす本作は、シュールなスタイルが特徴的。『バリー』『アトランタ』を彷彿とさえ、批評家に衝撃を与えた。

予測不可能で面白く、しばしば奇妙なほどシュールな『ヴィンス・ステイプルズ・ショー』は、個人的な趣向と独自の場所感覚に満ちている」とジョニー・ロフタスはDecider誌に寄稿した。

3位『こんなのみんなイヤ!』(94%)

『ヴェロニカ・マーズ』のクリステン・ベルと『The OC』のアダム・ブロディが共演するロマンティックコメディ。オーバー40となった二人だが、ティーンの時に二人が活躍したドラマを見ていた人たちにとっては嬉しい共演。

そんな二人の間にあるケミストリーに絶賛する声が続出。「ウィットに富んだセリフと主演二人の抜群の相性が光る魅力的なロマコメだ」と、The Australianのジョーディ・グレイはコメントしている。

シーズン2へ更新済み。

2位『私のトナカイちゃん』(99%)

ストーカー被害にあっていたクリエイター&主演のリチャード・ガッドの実体験を基にしたリミテッドシリーズ。賞レースはもちろん、ストーカーのモデルとなった女性から訴えられるなどし、ニュースのヘッドラインやトークショーを席巻。インターネット上でも多くの議論を引き起こした。

Loud and Clear Reviewsのヘイリー・クロークは「一見すると、狂気的で過激なストーカーの物語のように見える。しかし、その中には正直さ、共感、そして心の温かさが込められており、その余韻は最終話を見終えたあとも長く心に残るだろう」と評価した。

 

1位『OUR LIVING WORLD:生きている地球』(100%)

気候危機への巧みなアプローチが評価され、見事100%評価を獲得したのは、自然界を追ったドキュメンタリーシリーズ。

「気候緊急事態の深刻さや、私たちが犯してきた罪の規模については他の番組に任せています。その代わりに、この作品は希望の光を描き、私たちが皆一緒にこの問題に取り組んでいるということを思い出させてくれます」とThe Guardianのジャック・シール。ちなみにナレーターを務めたのは、ケイト・ブランシェット(『ディスクレイマー 夏の沈黙』)。

ワースト10

10位『レスピーラ/緊急救命室』(67%)

スペイン発の医療ドラマ。バレンシアにあるホアキン・ソロリャ公立病院の緊急救命室を舞台にしているが、医師である登場人物たちの人間ドラマが色濃く描かれる。

いくつか注目すべきハイライトがあったものの、多くのレビューでは予測可能な医療ドラマとして評価された。

「他のことをしながら観るには十分楽しめる内容です。特に英語吹き替えをオンにすれば」と米Deciderのジョエル・ケラー。「でも、これまで何十回も見てきたものと何ら変わりはありません」と付け加えている。医療ドラマ+恋愛といえば、やはり『グレイズ・アナトミー』が不動の人気を誇るだけに、難しいジャンルなのかもしれない。

 

9位『理想のふたり』(65%)

ニコール・キッドマンとリーヴ・シュレイバーが夫婦役を演じ、『バッド・シスターズ』のイヴ・ヒューソン、『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』のメーガン・フェイヒー、『エイリアニスト』のダコタ・ファニングと豪華キャストが揃った話題作。

批評家たちの意見は「何も考えずに楽しめる最高のドラマ」と評価する人もいれば、「イライラする」と真っ二つに分かれた。Time誌のジュディ・バーマンは“脳が空っぽになる楽しさを拒むには、私以上の大きな気取り屋でなければならない。すべてのドラマが傑作である必要はなく、良い時間を過ごせれば十分です”と皮肉を交えたレビューをした。

8位『アバター:伝説の少年アン』(60%)

人気アニメの実写ドラマ版。シーズン2と3がまとめて更新され、第3章をもって幕を閉じることが決まっている。

「映画版の大失敗よりは高い評価を受けているが、やはり原作のアニメシリーズには及ばないと」評価した人が多く、『シックス・センス』のM・ナイト・シャマランによって映画化された『エアベンダー』よりは評価されているよう。

「オリジナルのすべての要素を再現することに忙しすぎて、この作品に魂を吹き込むのを忘れてしまった」と、Seventh Art Studioのビクター・ピネイロは述べている。

 

7位『トラストゲーム 選択は欲 or 信頼』(57%)

25万ドルを平等に持って帰るか、誰かを裏切るか?! 参加者たちの信頼関係を試すリアリティ番組。批評家の中でも評価が分かれた本作だが、一致したのは「まぁまぁ楽しめるが、目新しくはない」という意見だった。

「シリーズの最大の見せ場への展開を見ていると、予想がつき、特に考えさせられるようなものではないと感じてしまう。参加者の中には見かけ以上の存在の人もいるかもしれないが、この番組自体はそうではない」

6位『成りあがり者』(50%)

デヴィッド・E・ケリー(『ビッグ・リトル・ライズ』)がクリエイターを務め、ジェフ・ダニエルズ(『ニュースルーム』)とダイアン・レイン(『ジャスティス・リーグ』)共演のリミテッドシリーズ。

クリエイターもキャストも実力派が揃っているのにも関わらず、50%と厳しい評価。「原作小説に比べて規模が小さく薄っぺらい。より単純に感じられ、独立した作品として見ると、ケリーのかつてのソープオペラ風弁護士ドラマの中でも最高作とは言えない印象を与える」と、人気の原作には及ばず。また、数多くの傑作ドラマを生みだしてきたケリーの作品にしては残念な出来だったからのようだ。

5位『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』(43%)

スリル満点な血が満載の韓国ドラマ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』だが、多くの批評家の心には響かなかったようだ。

「複雑な時系列の物語には、気まぐれな視聴者を引きつけるだけのひねりがある」と、The Independentのニック・ヒルトン。「しかし、『イカゲーム』や『マインドハンター』のファンにとって、この作品は前者の明確なビジョンも後者の洗練さも欠けているため、期待外れに終わるだろう」

4位『タイヤーズ ~それでも回るよ人生は~』(40%)

自動車整備店を舞台にした職場コメディ。

多くの評論家は、下品なコメディの一線を踏み越えたと感じる一方で、最大の欠点は脚本が不十分であることだと指摘。ジョークの平坦さに触れる以前に、そもそも内容が薄いと感じられます」と、CNNは酷評している。

評価は高くないものの、シーズン2へ更新済み。

3位『神と交わした約束:モーセの物語』

モーセの生涯を追う3話構成の壮大なシリーズ。

3つの宗教的な出典から導き出したことで、古くから知られている物語に新たな刺激を与えることに失敗したと評価されている。

「このような番組ではもはや標準となっているが、制作は明らかに質素で、セットはプラスチックのように見え、スケールには限界がある。これほど広大な物語を展開しようという野心的な試みにもかかわらず、その制約が常に見え隠れしている」と、Indian Express。

2位『Accidente/アクシデンテ』(29%)

悲劇的な出来事に見舞われた4つの家族の心の傷に迫るスペイン発のヒューマンドラマ。

実力派キャストが揃っているのにも関わらず、「空に浮かんで飛んでいく巨大な遊具が滑稽で仕方ない」と、肝心な設定に無理があったことが低評価の理由のようだ。

1位『グッド・タイムズ』(10%)

1974年から6シーズン続いた同名のシットコムを過激なアニメーションとしてリメイク。オリジナルはアメリカではじめて製作された二人の両親が揃った黒人ファミリーが主人公のドラマとして人気を博し、スピンオフも2作品作られた。

一部の批評家は、「攻撃的で時代遅れだ」と感じ、1970年代の人気シットコムと名前で結びつけた製作者たちを非難。「オリジナルドラマとの共通点は、登場人物が公営住宅に住んでいて黒人であるということだけです」などと残念な評価を得ている。

2025年はどんな新作が登場するか、今から楽しみだ。(海外ドラマNAVI)

 

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