『コンコルディア』AIやカメラ監視技術は「リアリティを追求した」【インタビュー】

11月8日(金)よりHuluにて独占配信がスタートするHuluオリジナル『コンコルディア/Concordia』。本作の製作総指揮であるフランク・ドルジャーに直撃インタビュー! 本作の構想や、今後のプロジェクトについて話を伺った。

Huluオリジナル『コンコルディア/Concordia』フランク・ドルジャー インタビュー

――AIを活用した監視による完璧な社会が描かれる本作ですが、着想をどうやって得たのでしょうか?

これまでの歴史上、健康的に働くことができるユートピアのようなコミュニティを追い求める動きがありましたよね。その21世紀版があるとしたら、どんなものだろう? と思ったのです。そんなとき、医療系の仕事をしている友人から、AIの進歩がいかに目覚ましいかという話を聞きました。肉体にデバイスを埋め込んで、健康状態をモニタリングするようなことも考えられているそうです。

それで、AIを活用した街があったとしたら、物理的な安全だけでなく内面的な健康についてもサポートするだろうと考えました。年齢を重ねていくと、たとえば友情が破綻して孤独を感じる状況もありますよね。共同体を描くにあたって、そういったメンタルヘルスは重要なポイントだと思いました。

一方で、AIによる監視社会というと、一般的にはディストピアを連想しますよね。本作はあえて真逆を目指しました。コンコルディアの街は常に光で溢れていて、壁は少なく、ガラスを多用しています。透明性を具現化したようなデザインになっているわけです。

ただ、どんなに素晴らしくデザインされていたとしても、やはり邪悪なものを完全にシャットアウトすることは不可能ですよね。そこで、スリラー的な要素が加わりました。本作で起きる事件については、実際に起きたものをもとにしていますが、それは意図的なものです。

コンコルディア/Concordia

――コンコルディアの街には、さまざまな人種の人が暮らしていますが、こういった国際的な作品を描くにあたって気を付けていることはありますか?

まず、国際的と掲げておきながら、数か国しか参加していない作品もありますよね。本作に関しては、そうしたくありませんでした。

本作では未来的な共同体を描いていますが、移民など現実に起きている社会問題についても当然反映させなければいけないと思っています。だからこそコンコルディアの街を、バックグランドに関係なく誰もがなじめる場所にすることを大切にしました。

また、本作のデフォルト言語は英語ですが、同じ国から来ているキャラクターだけの空間であれば、その国の言葉を話すであろうといったディティールにもこだわりました。たとえば、日本人二人で旅行した際、旅行先ではその国の言葉を話しても、二人きりのときは日本語で会話しますよね。そういったリアリティに関しては自負があります。

コンコルディア/Concordia

――フランクさんがリアリティ溢れる作品作りを目指すことになったきっかけなどはあるのでしょうか?

『ゲーム・オブ・スローンズ』が終了したとき、今後のキャリアをどう歩んでいこうかと過去作を振り返ったのですが、それまでに手掛けていたものは過去を題材にしたものが多かったんです。

もちろん、昔の時代を描いていると言っても現代にも通ずる内容ではあるのですが、フィルムメーカーとして次の一章を踏み出すにあたって、これからは未来に目を向けたいと考えました。ドキュメンタリーとして扱われがちな題材ですが、あえてフィクションで挑戦したいと思ったのです。

また、キャスト・スタッフ含めこれまでお仕事する機会がなかった国際的な方々とも、一緒に取り組むことができるなと考えました。さまざまな要素を併せた結果、今のスタイルがぴったりだったんです。

コンコルディア/Concordia

――本作は、もともと未来を舞台にする予定だったものの、現代に変更したそうですね。撮影は2022年頃だったと思いますが、リリースまでの期間は、映画・TV業界ではAIの活用について議論が活発になった時期でもあります。現実の状況によって、本作の内容を一部変更するようなことはありましたか?

AIに関する議論は、やはりたくさんしました。脚本を開発していく中でどのように進歩しうるかについて触れた方が良いのではという意見もありましたが、結果的にはそこまで言及しないことになりました。

変更した点としては、当初想定していたよりも顔認証のレベルを上げました。専門家に話を聞いて、瞳孔の開き具合や体温の変化など、そういった情報から多くのことを読み取れることがわかりました。最初はとてもシンプルなものを想定していましたが、顔だけで健康・心理状態がある程度読み取れるというような変更を加えました。

それから、監視カメラの映像について、最初はワイドショットをイメージしていましたが、寄りのカットも増やしました。パソコンに向かっているときは、手元など近くを撮ることもあるわけです。

『コンコルディア/Concordia』

――今年は『SHOGUN 将軍』がエミー賞を獲得し、世界的にも日本が注目されているかと思います。今後日本を舞台にしたTVシリーズの構想はありますか?

やはり、大きな賞をもらえるような作品を作りたいですよね。そういう大志を私も持っています。

様々な国で撮影すると、その国の風味が加わりますし、視聴者もそれを求めているように感じます。日本を舞台にした作品もぜひやってみたいです。実はすでにメンバーが日本を5~6回訪れていて、フィルムメーカーの目で街を見ています。

特に国際的な作品の場合、ロケーションなどのコストが上がってしまう分、製作費の確保も重要な要素の一つです。近年は、動画配信サービスの台頭によって、特にアメリカの若い人の間で字幕への抵抗がなくなってきている傾向があります。ほかの国の文化にすごく興味を持っている。そういう波がちょうど来ているので、これからも国際的な作品に関わっていく予定です。

日本に関しては、日本人の大役がある企画が一つあり、ほかにも日本で撮影を行うシリーズを予定しています。うまくいけば1年後には何か発表できるかもしれません。本当にワクワクしています。

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Huluオリジナル『コンコルディア/Concordia』は11月8日(金)よりHuluで日本独占配信中(毎週金曜新エピソード更新/全6話)。(海外ドラマNAVI)

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Photo:©Hulu Japan