3年に1度の世界バレエフェスティバル開催記念!バレエを描いた海外ドラマ【4選】

3年に1度、世界中のトップダンサーたちが東京に集うバレエの祭典「世界バレエフェスティバル」が、2024年7月27日(土)より東京・上野の東京文化会館大ホールにて絶賛上演中だ。

これにちなんで、この記事ではバレエ歴20年以上の編集部メンバーがバレエの世界を描いた海外ドラマをご紹介。バレエ好きの人も、そうでない人も、ドラマを通してその魅力を体感してほしい。

バレエを描いた海外ドラマ①『タイニー・プリティ・シングス』

シカゴの名門バレエ学校を舞台に、生徒たちによる熾烈な競争と愛憎劇、そして校内で起こった事件を巡る謎を描く学園サスペンス。

雰囲気は『リバーデイル』などのティーンドラマに近い印象で、登場人物たちの人間関係はとにかくドロドロ。セックスシーンも1話に2回ずつかそれ以上の頻度で描かれるので、それが苦手な人はUターンして! また、ストーリーやキャラクター設定にツッコミどころが多々あるため、程よいスルースキルを以て鑑賞した方が楽しめるのではないだろうか。

ダンスシーンについては、本当にダンサーとして活躍しているキャスト陣を揃えていることもあり、ダイナミックかつパワフルで見ごたえ十分。劇中に使われる音楽や編集も“Netflixオリジナル”っぽいスタイリッシュさが感じられる。だからこそ、「バレエのドラマか~」と思って敬遠してしまいがちな人でも、そのカッコよさを楽しめるはず。

『タイニー・プリティ・シングス』はNetflixで配信中。

バレエを描いた海外ドラマ②『オペラ / バレエに魅せられし者たち』

名門パリ・オペラ座バレエ団を舞台に、ダンサーやディレクターの葛藤を描いたヒューマンドラマ。

ドラマの冒頭にでてくる「実在のパリ・オペラ座とは関係ありません」という注意書きの通り、パリ・オペラ座の裏側をリアルに描くというよりかは、ヒューマンドラマに重きを置いた作品。バレエファンの私としては「世界最高峰のパリ・オペラ座のダンサーが、そんなに意識低いわけあるかい!」とツッコミたくなってしまうようなシーンもあるが、こうした破天荒さがあった方がドラマとしては盛り上がる。

個人的に最も衝撃を受けたのは、打ち上げの場で二人の女性ダンサーがピルエット(片足で回転するテクニック)対決をするシーン。ショットグラスでグイッと酒を飲んで、そのままピルエット…というのを交互に繰り返していき、先にグラついて失敗した方が負けというルールのようだが、大怪我に繋がりかねない悪ふざけに戦慄してしまった。

ダンスシーンはクラシカルな印象。『白鳥の湖』のシーンなども描かれるため、バレエに詳しくない人でも“これぞバレエ!”を楽しめる点が良いところだ。パリ・オペラ座が舞台ということで、ゴージャスな内装なども目に楽しい。

また、主人公の一人が黒人ダンサーである点も他の作品とは一味違ったポイント。ちなみに、実在のパリ・オペラ座でも黒人のエトワール(パリ・オペラ座バレエ団における最高位のダンサー)が誕生したのは2023年で、つい最近の出来事だ。

『オペラ/バレエに魅せられし者たち』シーズン1~2は、U-NEXTにて独占配信中

バレエを描いた海外ドラマ③『フレッシュ・アンド・ボーン』

ニューヨークの一流バレエ団に入団した若き女性ダンサーが、その魅惑的で異質なバレエの世界に生きる姿を描く。

4作品の中で個人的に一番楽しめたのがこちら。製作は『アウトランダー』などで知られる米Starzで、本作も骨太な人間ドラマに仕上がっている。全編通してダークな質感の作品で、みんなギスギスしているし、痛々しいシーンとエロティックなシーンも少なくないが、それぞれに闇を抱えた登場人物たちが丁寧に描かれており、ストーリーの見ごたえも十分。この作品もダンスができる人材をキャスティングしているためダンスシーンはもちろん文句なしなのだが、それぞれの難しい役どころを違和感なく表現できるだけの俳優としての演技力も輝いていた。

とはいえ、なんといってもダンサーとして活動するキャストたちが披露するダンスシーンが最高。肉体の強さと美しさが感じられ、先に紹介した『タイニー・プリティ・シングス』や『オペラ / バレエに魅せられし者たち』とはまた違う、生々しさが良かった。

バレエを題材にした作品として最も有名な映画のひとつ『ブラックスワン』が面白かった!という人は、ぜひこちらもチェックしてみて。『ブラックスワン』ほどの派手さや華やかさはなくて、雰囲気がすごく似ているというわけではないのだが、どこか通じるものが感じられるのではないだろうか。

『フレッシュ・アンド・ボーン』Amazon Prime Videoにて購入可能

バレエを描いた海外ドラマ④『ファインド・ミー ~パリでタイムトラベル~』

100年以上も先の未来にタイムスリップしてしまったロシアのプリンセスが、未来の世界のパリ・オペラ座で最高のバレリーナになる夢に邁進する青春ドラマ。

ここまでの3作品しかり、バレエをテーマにした作品は、子ども向けのものを除くと、どうしてもドロドロ・ギスギスな世界観で描かれることが多いが、そういった作品が苦手な人でも大歓迎の明るい雰囲気を纏った一作。個性豊かなキャラクターが登場するからか、レビューサイトなどを覗いてみると「このキャラクターが一番好き!」といった、“推し”を見つけて楽しんでいる視聴者の声も多かった。

米Huluにてシーズン3まで製作されており、日本ではシーズン1と2がNHKのEテレで放送されていた。そうした面からみても、今回紹介した中では最も見る人を選ばないといえるかもしれない。

ダンスシーンの迫力は他の3作品と比較すると全体的に劣る印象だが、クラシック・バレエやコンテンポラリーダンスだけでなく、ヒップ・ホップが得意な仲間が出てきたり、サルサ・ダンスに挑戦したり、主人公が色々なジャンルのダンスと出会うシーンは、見ていてとてもワクワクさせられる。

『ファインド・ミー ~パリでタイムトラベル~』は現在、日本のサブスクリプションサービスでの配信はナシ。

Photo:『オペラ / バレエに魅せられし者たち』シーズン2© VICTORIA PRODUCTION (NEWEN France) - ORANGE STUDIO - 2022