『SHOGUN 将軍』作曲家、石田多朗とのコラボについて語る

2024年6月16日 2024年6月13日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

ジェームズ・クラベルの小説をドラマ化した米FXの大河ドラマ『SHOGUN 将軍』。当初はリミテッドシリーズだったにもかかわらず、大ヒットを受けてシーズン2＆3の製作が決まったことは当サイトでもお伝えした通り。そんな大ヒット作を裏から支える作曲家たちが、日本の作曲家とのコラボレーションについて語った。米Deadlineが報じている。

『SHOGUN 将軍』クリエイターがシーズン2以降の計画を語る「どう終わるのかは分かっています」

ジェームズ・クラベルの小説をドラマ化した米FXの超大作ドラマ『SHOGUN 将軍』のシーズン2＆3の製作が決定したことは、当サイトでもお伝えした通り。クリエイターが今後の計画について「（本シリーズが）どう終わるのかは分かっています」と語っている。あの凸凹コンビのバディ・コメディ！？日本の封建時代...

フィードバック・ループで作り上げた理想の音楽

人気ロックバンド、ナイン・インチ・ネイルズのメンバーであり『ソーシャル・ネットワーク』と『ソウルフル・ワールド』でアカデミー賞を受賞しているアッティカス・ロス、そしてニック・チューバが、Deadlineが開催したサウンド＆スクリーン・テレビのライブ・ミュージック・イベントに参加し、本作の楽曲制作について語った。

日本の封建時代を舞台にした『SHOGUN 将軍』では、“五大老”に任命された有力大名たちの間で覇権を懸けた争いが勃発する中、孤立無援の状態に追い詰められた関東領主の吉井虎永（真田広之）が、日本に漂流したイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン／のちの按針（コズモ・ジャーヴィス）を軍事顧問に任命する。虎永に気に入られたブラックソーンは実は、日本で勢力を増していたイエズス会司祭とポルトガル商人の立場を一変させることができる秘密を握っていた。虎永とブラックソーンの運命は、通詞（通訳）である戸田鞠子（アンナ・サワイ）と表裏一体となっていく。一方の鞠子も、不安定な政治情勢の中で主君の虎永に仕えながら、ブラックソーンとの交友関係、精神的な救いとなったキリスト教への信仰心、そして亡き父への義務という様々な思いを抱えていた。

そのように絡み合った物語と登場人物の複雑な関係性を、ロスとチューバは視聴者が理解できるよう、音楽的に結びつける術を生み出さねばならなかった。「虎永もブラックソーンもそれぞれのテーマを持っていて、それが物語に織り込まれている。ブラックソーンと鞠子（の曲）はストーリーが進むにつれて交じり合い、一つのテーマになっていくようにね。登場人物たちの感情の核をつかみ、本編を見ている時に共鳴できるようなものにしようと考えていたんだ」とチューバは語る。

一方のロスは、この作品を控えめな日本のシンフォニック・コレクションの音楽では描きたくなかったと説明する。「最悪なケースは、日本音楽の模倣になってしまうこと。どんな作品でも、訴えたいことは何なのか、何が作品の核心なのかを見つけることが重要だ。そして今回はそれを見つけることができた。日本の伝統的な楽器と、私たちが持ち込んだものを混ぜ合わせた様々な実験を通してね」

正しい音楽を求める彼らの助けになったのが、奈良時代に誕生した雅楽に精通した音楽家である石田多朗だ。「彼は私たちに、それまで聞いたこともないような楽器の世界を紹介してくれて、とても興奮したよ。それから私たちは彼におおまかな曲の草案を渡し始めた。それを即興で演奏してもらい、私たちが手を加え、また即興で演奏してもらうということを繰り返した。自分たちの音を聴きつつも、曲が（作品の）雰囲気や風景に変わるというフィードバック・ループの中にいるような感じだったんだ。それをすべてリモートでやったなんて驚きだよ」

音楽制作の過程をこう振り返った彼らは、石田のことを絶賛。「彼と出会えて本当に光栄だった。彼はシンセサイザーやコンピューターの仕事もこなせるし、私たちが目指しているものを非常に深く理解してくれていた。単に“時代もの”の音楽を作るということではなく、視聴者にとって異国風に感じる“ブレンドされた”音楽を生み出すということをね」

劇中の物語と同じように、西洋と東洋のコラボレーションに多大な貢献を果たした石田も、自身のInstagramで制作過程について言及。「リモートで日本から参加。ロス、チューバとの共作は非常に刺激的なものだった」と述べている。